漢方を扱う薬局などに行くと、漢方のやせ薬として宣伝されたりするのがこの防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)。患者さんや看護師さんから時に処方してくれと言われる。その時は、「言っとくけど、これを飲んだからと言ってやせないよ。」と伝える。脂肪細胞などでの代謝が活発になり、基礎代謝が上がると言われてはいるが、決してやせ薬ではない。痩せようと思ったら、食事と運動をコントロールしなければ結局ダメ。
イメージとしたら、いろいろなものをため込んでしまって調子を崩した人に対して、たまったものを出させるというところ。発汗や利尿で水分を出し、下剤として働き便を排出することを目指している。メタボ体形の太鼓腹で便秘気味、高血圧やむくみを伴ったりという方に処方する。のぼせや頭痛、耳鳴り、肩こりなどを認めることもある。
《保険適応病名》
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症
:高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘。
《処方語呂合わせ》防風(ぼうふう)黄芩(おうごん)甘草(かんぞう)連翹(れんぎょう)生姜(しょうきょう)石膏(せっこう)桔梗(ききょう)白朮(びゃくじゅつ)麻黄(まおう)山梔子(山梔子)荊芥(けいがい)芍薬(しゃくやく)薄荷(はっか)当帰(とうき)川芎(せんきゅう)滑石(かっせき)芒硝(ぼうしょう)となんと18種類もの生薬から成っている。
◎ 防風散 王冠大王 暁鐘 説教百述 迷う参詣者 初当選 渇望
防風散(防風)王(黄芩)冠(甘草)を載せた大王(大黄)が明け方の鐘、暁(連翹)鐘(生姜)とともに長々と説教を百述(白朮)している。何を言っているかよくわからず迷う(麻黄)参(山梔子)詣(荊芥)者(芍薬)は初(薄荷)当(当帰)選(川芎)を渇(滑石)望(芒硝)しているだけなのに。