Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

消費期限

2007-02-11 | 医療・病気・いのち
消費期限をごまかしたとか
期限を越えたものを材料として使った
ということが問題となっている
腐ったものを食べるのはまずいので
その期限を守ることは大切だろうが
人が決めた数字に振り回されているようにも見える

昔は
食べ物を見たり
においを嗅いだり
口に入れてみたりして
食べられるものかどうか ある程度判断していたと思うが
身の回りから
ものが腐敗する過程を見る機会がなくなるにつれ
危険な食べ物をかぎ分ける能力を失い
自然からも離れてしまっているのだろう

それにしても ものが腐る現場を見ることが本当に少なくなった
公衆衛生の進歩なのか
山のように食物に注ぎ込まれた防腐剤によるのか
食べ物はなかなか腐らない

腐敗は生あるものが朽ち果てていく過程
そして粒子に 分子に 原子に戻っていく過程

身の回りから死が遠のけられていることと
食物の腐敗をみかけないことと
どこか通じているような気がする

つまずき

2007-02-11 | 想い・雑感
つまずいたり こけたりすると
ちょっとした段差や石ころなどの
障害物があることに気がつく

人生の中でも
つまずくことによって気がつくことがある

何か病気が見つかることも
人生におけるつまずきの一つとも言える
体のこと
いのちのこと
生きるということ
などの中に改めて気づかされることがあるだろう

気づくと言うことは
そこからまたちょっと違った生き方ができるチャンスでもある
そのチャンスを良い方向に持って行けたら良いなと思う

ガスの燃焼

2007-02-10 | 想い・雑感
私たちは電気を利用した生活に慣れすぎたのかもしれない
ものを燃やしてエネルギーを得るということがどういうものかを
理解していないのかもしれない

炭素を含んだものを燃やせば二酸化炭素ができる
しかし常に完全燃焼となるわけではないから
一酸化炭素だって産生される

昔 石炭 木炭 石油
などを利用して暖をとることが普通だったころ
時間おきに窓を開け室内を換気することは常識だった
しかし冬になれば
一酸化炭素中毒による死亡事故が必ずニュースで流れていた

ガス湯沸かし器による死亡事故
湯沸かし器の構造欠陥を追及することも大切だが
今一度
ガスを燃やしているということの危険性を
認識する必要もある

バランス

2007-02-08 | 想い・雑感
うまい話などそうそう転がっているものではない
とわかっているつもりが
うまい話にころっとだまされるものなのだろう
人は 自分が信じたいことを信じるものだというから
仕方のないことかもしれない

とはいえ
何かを食べればやせますよ
などという話を鵜呑みにする人がいるというのは不思議だ
何かを食べればほとんどの場合ある程度のエネルギーを含んでいる
たくさん食べれば 摂取エネルギーもたくさん
必要以上にエネルギーを摂れば 余分なエネルギーは脂肪として蓄えられる

食べてやせるならば
恐らくそれは 毒である

食べるという行為は
生きることそのものである
生を保つためには
いろいろな食物をバランスよく摂取することが肝心
その上で腹八分に押さえるというのが
養生の鉄則

食べまくってやせようなどと考えてはいけない
それにしても
どうしてそうまでしてやせたいのだろう
肥えたくてもなかなか肥えられない患者さんと接していると
また 齢を重ね食が細くなった方を見ていると
長生きすれば肥えたくても肥えられない日が来るのになあ 
と 思ってしまう

笑顔で
楽しい気分で 
食卓を囲む
それで十分じゃないかなあ
幸せじゃないかなあ

聞きたいことリスト

2007-02-07 | 医療・病気・いのち
セカンドオピニオン外来の申し込む際には
聞きたい内容をきちっとリストアップするのがよい

リストアップすることによって自分が受診をする目的がはっきりするし
受ける側も前もって伝えるべき内容がわかるので
スムーズに説明ができる

説明を受けた上でさらに疑問点が出てくればその点を聞けばよい

セカンドオピニオン外来は時間制になっているところも多いので
上手に利用しよう

不健康?

2007-02-07 | 医療・病気・いのち
切除すれば直ってしまうような腫瘍が見つかることが時々ある
そのような方は症状が全くないので
「健康と思っていたら知らないうちに病気になっていた。」
とがっかりされることが多い

私は
「体調が良く、食事もおいしく召し上がれているのだから、健康ですよ。」
と申し上げる

健康というものをどうとらえるかにもよるが
簡単に治療ができて 
取れば直ってしまうような腫瘍が見つかったからといって
不健康とは言えないだろう
何らかの病名がついたからといって気まで病んでしまう必要はないのだ

腫瘍に限らず
血圧が高いとか 高脂血症があるとかのレッテルを貼られたからといって
直ちに落ち込む必要はない
まずは生活習慣を見直すチャンスをもらったくらいに思えばよいのだ

病名がついたからといって
突然別の人間になったわけではない
状況を理解してうまくつきあっていけばよい

癌細胞の逆襲

2007-02-05 | 医療・病気・いのち
 胃癌に対する抗癌剤が、以前より効きが良くなっているのは間違いない。実際に基本となる薬剤を使い切ることによって、予後が改善傾向だ。しかし、抗癌剤が効かなくなると、癌細胞は一気に力を取り戻し、ものすごい勢いで増殖をしてくる。

 外来で抗癌剤治療を行い、元気に通院していた方でも、ある時を境にして急速に全身状態が悪くなる。何もかも飲み込むように燃えさかる火に対して、私たちがなすすべもないのに似ている。

 如何ともし難い。

独立と従属

2007-02-04 | 医療・病気・いのち
生物は
必要なものを体内に取り入れ
不要なものを排出する

必要なもののうち
エネルギー源や 体の構成要素を作るのに必要な材料
これを栄養素という

体に必要なものを太陽のエネルギーや化学物質から自分で作り出せる生物を
独立栄養生物
他の生物を取り入れることにより初めていのちを維持できる生物を
従属栄養生物
と呼ぶようだ

人は当然ながら 従属栄養生物
生命を維持するという意味で
完全に他者 他の生命に従属しているのだ
多くのいのちの死の上に
私たちのいのちは成立しているのだ

ひとり?

2007-02-04 | 想い・雑感
一人で生きるんだ
と宣言する人がいる
肩肘張らずに 心を柔らかくすればいいのにね と 思う
他者との軋轢の中で
そのような決心をするのだろうし
その心のこわばりを解くのにも時間がかかるだろう

確かに自立した態度は必要であろうが
それは他者との交わりを絶つことを意味しないだろう
他者との関わりを絶つことが
偉いわけでも 立派なわけでもないしね

周囲との関係の中で 
日々を送ることこそ
生きる ということなのだろう

機械

2007-02-03 | 想い・雑感
柳沢氏が女性を子供を産む機械と表現したことが大騒ぎを引き起こしている
女性を機械と表現したこと
それを産むという機能に限定した表現になったことなどが
いかんともしがたく配慮を欠いた表現であるのは確かである



女性が怒り
男性も怒り
その怒りに政党がのっかり
メディアがのっかる

ただただ騒いでいるようにも見える

冷静に今の社会の有り様をひろく見てみると
あちこちで人は機械扱いにされているのが現実だろう
機械になれればまだ良い方で
機械を動かす歯車としか見られてない場面も多々ある
さらに人を単なる道具としてしか見ないように感じることもある

人間機械論は医療 特に西洋医学を基礎とする現代医療の分野も席巻している
移植医療などは 機械の部品交換を思わせる
遺伝子工学は 生命体の根元とも思える遺伝子に対し
一連の核酸を取り除いたり 加えたり 入れ換えたり
という操作をする
人を巨大な代謝工場と見る見方も やはり人体機械論だろう

このような見方に私の脳もかなり慣らされていると思われ
柳沢大臣の発言を非難できる資格を
私は持たない
ただ これを機会に 生命とは? という問いかけを
さらに自分に課していきたいと思うばかりだ

会えないということ

2007-02-03 | 想い・雑感
あの時会いに行っておけばなあ・・・

もう会えないという状況になって
気になったあのときに会っておけばよかったと後悔することがある
私は父母両方に対して その思いが強い
どちらも 急な別れだったというのもある

進行癌のようにある程度死が近い将来に予測される場合も
後悔する人がわりと多いように感じる
癌の進行につれて少しずつ体調が悪くなるというより
階段をトンと下りるように
あるときガクッと状態が悪くなる

最後が近くなるまで比較的全身状態が保たれることが多いので
周りのものにも油断が生じる
そんな時急速に患者さんの状態が悪化し
最後を見守ることもできずにお別れとなってしまう
一言言葉を交わしたかったと思っても
二度と叶わぬこととなる

親の遠方に住んでいる人は
何か機会があれば ぜひ会いに行っていただきたい
旅立ってしまうと 本当に会えない
この会えないという重みを
親がいる間はなかなか実感できない

本心

2007-02-01 | 想い・雑感
運転免許取り立ての頃
車の運転をしていると緊張して
周りの状況把握を十分できていたとは思えない
状況が見えていないと
変化への対応が遅くなる

手術の時も
切ったり 剥離したり 結紮したりと
その時行っているところだけに注意が集中しすぎると
周りが見えてこなくなる

集中しながらも
視野の周囲で起こっていることに
気を配る必要がある
姿勢を正して 心に余裕を持って
そしてできれば器械出しの看護師の動きまで感じていることが望ましい

妄心という言葉があるそうだ
この対語は 本心
こころが凝り固まっていては
生きていく上で身に起こる出来事に柔軟には対応できない
水のごとく流れている必要がある
その柔らかな心のありようが 本心
一点に凝り固まってしまったありようが 妄心
と呼ぶようだ

常に
というのは難しいが
本心
を心がけて生きたい