Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

栄養指導

2009-01-13 | 想い・雑感
以前当院看護師のお父さんに早期胃癌がみつかり
腹腔鏡下幽門側胃切除を施行したことがある
経過は順調で特に問題なかったのだが
なかなかのお酒好き
術後 深酒というほどではないが
毎日焼酎を3合 4合と飲まれていたようだ
その分食事がややおろそかになっていた

これはいけないと感じた娘さん
お酒ばかり飲んでいるから入院させる
と私が言っているということにし
いつ入院するか決めるように父親に迫った

びっくり仰天したお父さん
直ちに焼酎はやめ発泡酒に変更
するとそのころから食事が進むようになり
どんどん元気が出てきた

私も一応お酒を控えて食事をするようにはいっていたのだが
アルコールのことになると
どうも指導に迫力がなかったのだろう
それにしても娘の力は強し
いまや顔色もすっかり良くなった

20年かぁ

2009-01-12 | 想い・雑感
小渕首相がフリップを手に持ち
平成という新しい年号を世に示して
もう20年
何とも うかうかと
時を取りこぼしているような気がして少し焦ります

かといって
いつどうなるかわからぬのが人生ですから
今を
 今できる判断で
 生きていくしかありません

ロウソクの科学

2009-01-11 | 想い・雑感


昔はろうそくが今より身近で
電線が切れて停電などということは珍しくなかったので
年に何回かはお世話になった
特に台風の時などは停電で真っ暗になった家の中をほのかに照らし
吹きすさぶ風の音
打ち付ける雨の音
を聞きながらも励まされたものである

いまでは随分インフラが整備され
そうそうは停電を経験しないし
ランタン型の電池式電灯などもあるのでろうそくの出番は少なくなったが

仏壇に供えられ
洒落たレストランで恋人たちを照らし
クリスマスに聖夜を演出し
精霊流しで故人をしのぶ想いを高める

今はどうか知らないが
ファラデーの「ろうそくの科学」は必読の書とされており
私も中学生のころ岩波新書を買い求め読んだ記憶がある
そこではろうそくの身の上話として
広く科学が物語のように語られるわけだが
内容はほとんど忘れてしまった

その時本に触発され
ロウソクをじっと眺めていたことがあった
ほんの内容を反芻したりするつもりが
揺れる炎をただ見つめて時間が過ぎた
炎の揺らぎには人の心に訴えかける何かがあるのだろう

燃えるに従い次第に短くなり
燃え尽きる直前には
一度ぐっと炎の勢いが強くなる様は
人の命にもなぞらえられる

実際患いの後亡くなられる数日前に
妙に元気な時があることはしばしば経験する
そしてスーッと遠くへ旅立つ



癌の手術

2009-01-08 | 想い・雑感
消化器癌の手術では
癌が転移しやすいリンパ節を
きちっと取ってくる(隔清する)ことが重要
丁寧に確実に操作を進める

でも仮に
今が戦時下だとしたら
手術をしている病院の近くでは
爆弾が落ち
人が傷つき倒れていっているということになる
そのような状況で
癌に対するきちっとした手術なんてできるだろうか
おそらくできない

戦争で傷ついた若者の治療を優先することを
国は求めるだろうし
病院自体が危険にさらされているような状況で
丁寧な手術ができるとも思えない
また医療物資も不足してくるだろう

そしてなにより
癌にかかるほど長生きできる人が
少なくなる

彫り物

2009-01-07 | 想い・雑感
温泉などの公衆浴場に行くと
刺青の方お断り
という張り紙をよく見かける

私が小さい頃
近所の銭湯に行くと
時たま刺青の入った背中を見かけることがあったものだが
最近では温泉に行っても見た記憶がない

先日彫師の方に聞いたという話の又聞きだが
どうもそういう方専門の銭湯があるらしい
体を洗ってくれる下っ端もいるとのこと
間違ってその銭湯に紛れ込んだりすると
随分居心地の悪い思いをしそうである

しかし病気ということになると
彫った方専門の総合病院というわけには行かず
手術が必要となれば
私どもの病院に入院されることもある

太もも辺りに ○○命
などという文字が小さく見て取れる
若気の至りです風のものから
ほぼ躯幹全体に立派な模様を彫りぬいているものまで
その個人の歴史を多少語っていたりする

立派な彫り物を背負っている方は
「模様は気にせずにズバッとやってくれ」
なんて言われたりするわけですが
こちらとしてはどうも気になります
お腹を切る場所は正中切開といって
お腹の真ん中を縦に切ることがおおく
そこには絵が入っていないことが多いのでまだ良いのですが
管を入れるための切開などは
まさに描かれている場所に行うことが多いので
模様の線に沿って入れたりと少々気を使うわけです

まあお腹の中に入ってしまえば
そこには当然模様はありませんので
いつもどおり手術は進んでいきますけどね

矢の如し

2009-01-06 | 想い・雑感
「光陰矢のごとし」
これまですばやく過ぎ去る矢の速さのみをイメージしてきたが
思えば放たれた矢はいずれどこかに刺さるか
勢いを失い地に落ちる
そこが個人が時間を認識できる最後の時
ということまで含めての 矢の如しかもしれないと思い至った

2000年に現在の病院に赴任しほぼ8年を過ごし
2006年の1月6日にこのブログを立ち上げ まる3年 これで1109件目の雑感
過ぎてしまえば夢の如し

時の速さに驚きつつも
いまだ矢は地に落ちず
時の流れを感じることのできる今を
ありがたく 感謝したい

2009-01-05 | 想い・雑感
年末は病院にチョコチョコ呼ばれたりしたのでアルコールなし
でしたが年が明けてからの4日間はいただきました
4日には頂いた濁り酒を夕方からちびちび飲んでおりますと
じつにおいしくついつい4合呑んでしまいました

しばらく焼酎に傾いていた好みが
ここのところ再び日本酒へ回帰
体の状態に合わせて好みも変化するものなのでしょうか

そういえば
以前は好んではいただかなかった
酢の物が最近随分好きになってきました
体が欲しているのでしょうかね

ところで1合 2合 などとは最近の方は数えないのでしょうか
30代後半の男性医師に4合飲んだといってもぴんと来ない様子
720mlと言ってようやく理解を得ることができました
電気釜でも4合炊きとか書いてあるから
死語ではないと思うのですがね

聞きたいけれど聞きたくない・・・

2009-01-05 | 想い・雑感
紹介で外来に来られた時には
肝転移や腹膜転移を伴なう進行胃癌の状態のYさん
癌であることを含め現状はすでに本人もご存知だった
手術は第一選択にならず抗がん剤による治療を行うことを説明し
入院していただいた

治療開始に当たって
予後などの詳しい話は聞きたくないということだった

抗がん剤による治療を開始したが
痛みなどの病状はやや進行し
CTやその他の検査でも効果なしと判断された

もうだめなんだろう
死んだ親父が俺を呼んでるよ
何でこんなに腹が張るのかねぇ
病気進んでるんだろう

聞きたかないが聞かずに居られないという不安の表出なのでしょうが
聞きたくないといっていながらそんなこと聞かれたって
なんと答えたら言いの?
と想いながら希望があることをお話しつつ抗がん剤治療の方法を変更した

2週間に1回の点滴を2回行ったところで
正月中自宅に戻られた
年が明け病院に戻ってくると表情がぐっと変わっている
体調が良くなり食事が食べられるようになってきたようだ
生きる希望がわいてきたのだろう
こちらも治療の希望がわいてきた

戦時医療

2009-01-02 | 想い・雑感
テロに紛争 戦争に関する報道があると
片隅に医療活動の報告が出ることがある
ガザ地区への空爆により
一般市民が300人以上死亡したとの報道の片隅に
国境なき医師団(MSF)が医療の提供を開始した記事が出ていた

過去 戦争において外傷に対する医療技術が進歩したという事実はあるにしろ
何とも空しい話である

医療行為というのは時間がかかる

目の前の傷ついた一人を救おうと懸命に努力をしている近くで
一発の爆弾が何十人何百人あるいは何万人もの命を奪う

点滴を行い 抗生物質を投与し
血圧をあげる薬を使用し
骨をつなぎ 傷を縫う
その時戦場では銃弾に倒れる人が発生している

なぜその人たちは傷つかなければならなかったのか
幼い子がなぜ手足の無い人生を押し付けられなければならないのか

傷ついた後に努力するより
傷つかない努力はできないものなのか

癌 脳血管障害 虚血性心臓病が死因の上位である現代において
外傷が死因の第一位にならないことを祈る

新年

2009-01-01 | 想い・雑感
地球温暖化のお話は違っているかと思われるほど
今年は寒い冬だ
日本海を通過する低気圧が
荒々しい寒風を引き連れ通り過ぎていく
これほど寒い正月は久しぶりだろう

年末年始は店が閉まっていて当然の時代は去り
いつもコンビニは開いている
デパートもそれほど休んではいない

よりよい一年への願いを込めるとともに
日持ちのする食事であるおせち料理も
以前ほどの重きを置かれなくなった感がある

お正月自体が昔ほどの重大行事ではなくなってきているのだろう

それでも大きな区切りである
また新たなる一年への夢と希望を抱き 祈りたい