潜り込む

どこにでも潜り込むのが好きなレモン
猫たちは皆　
狭い空間に入り込むのが大好きだが
こいつは別格

掃除のために
普段閉めている扉を開ければ
急に現れて走り回る

知らないうちに
閉じ込めてしまわないように
注意しなければいけない

腹腔穿刺

悪性腫瘍がお腹の中に散らばると
腹水が溜まってくることがよくある

悪性腫瘍に対するお薬が
効いてくれれば
その腹水も一旦は消失するが
いずれ効かなくなり
再び水が溜まり出す

消化管間質腫瘍を治療していたUさん
ここに来て腫瘍が再増大し
腹水が急速に溜まってきた
様子を見ていたが
息苦しさを訴え始めた
お腹に溜まった水に
横隔膜が押し上げられ
息を吸いにくくなってしまったのだ

すぐに入院していただき
針をお腹にを刺して腹水を抜いた

随分楽になったと喜ばれたが
原因の治療を行ったわけではないので
再び腹水が増加してくるのは
目に見えている

お腹の中に薬を入れて
再貯留を先延ばしにするよう努めるが
治療選択肢は限られている

いよいよ難しい段階に入ってきた

味覚

病院中庭の渡り廊下に
柿の種が落ちている
鳥が実を食べた後のようだ

確か渋柿のはずだが
鳥には渋みを感じる
味覚がないのだろうか

そもそも味覚があるのだろうか

梢

家の前の桜たちも
少し離れたところにある銀杏の木も
すっかり全身の葉を落としてしまい
こずえが寒風に揺れている

落ち葉が舞うことも
なくなった

枯木の様に見える
その内部では
来春に向けて
静かに命を燃やしている

時節に合わせ
あるがままに
あるべきように
生きて行く姿に乾杯

と言いながら
言い訳しながら
今夜は熱燗かな

摩擦

エンジンをかける前
駐車場でバイクの方向転換をする時
シートにまたがり
足を踏ん張って移動する

枯葉やビニール袋その他の
すべりやすいものを踏んだりすると
バイクを倒しそうになる

摩擦の有り難さを感じる瞬間

摩擦という抵抗があるからこそ
得られる自由がある

完璧

人は皆心の何処かで
完璧をもとめている
生きるほどに
不完全でしかありえない自分だと
思い知らされても
なお完全を求めがち

血液検査で
少しでも正常範囲からずれると
とても気にする方がいる

これくらいは問題にならないと
説明しても
どうも気にする

他の正常値や
日常生活を送れるだけの
十分調子の良い身体の状態などは
全部おいといて
異常値ばかりを気にする

血液データを正常にするために
生きているわけでは
ないと思うけどなぁ

ただ
検査に限らず
生きていると
人それぞれにこだわりや執着があり
それらに絡め取られてもがきがち

そんなもの捨てちゃえば
もっと楽に生きられるだろうね

多発

胃癌が見つかる場合
病変は一カ所の場合が多いが
二カ所三カ所と多発することもある

そういう方は
胃粘膜の状態が
発ガンしやすくなっていると
考えられる

治療として胃全摘が施行されれば
新たな胃癌が発生することはないが
胃切除が施行され
残った胃がある場合には
その残った胃から
新たな胃癌が発生してくることがある

特に初回治療の時に
多発病変を認めた方は
残胃に癌が発生してくる可能性を考え
定期的に検査を受けることを
お勧めします

階段

外科の患者さんは
主に4階に入院される

病棟に行く際
以前なら何も考えずに
階段を使ってあがっていたのだが
ふと気が付くと
ほとんどエレベーターを利用している

どうしても楽な方に流れるのですね
最近あまり体を動かしていないし
関節が硬くなったような気もするから

なるべく階段を使用して
こまごまと体を動かすように
心がけましょうかね

温もり

冬至間近のこの時期
おひさま特に朝日を拝めると
嬉しい気持ちになる

夜中にだって太陽は輝き続けている
と頭ではわかっていても
お天道様は朝 顔を出し
夕方にはさよならしてゆく
という風に
どうしても感じてしまう

特に寒さの厳しいこの季節
穏やかなぬくもりを
頬にそっと届けてくれる太陽は
実にありがたいものである

判断機能

高齢になれば
様々な機能が徐々に低下してくるのは
仕方がない

状況変化に対し
瞬間的に判断する能力も
衰えてくる

その衰えが加齢によるもの以上で
病的と判断されると認知症
現在日本での認知症患者数は
450万人とも550万人とも言われる

認知症でなくても
認知機能が若干落ちてきた高齢者が
今後ますます増えてくると思われる

となると社会の仕組み自体
認知機能が多少落ちても
活動していけるように
していく必要がある

先日線路に入り込んでしまい
列車に轢かれて亡くなった
認知症の方がニュースになっていた
この方のご遺族に対し
鉄道会社から補償金を求められた
と聞く

これでは
まずいような気がする

素麺

片付けをしていると
そうめんがたくさんでてきた

すでに冬
冷たいそうめんを
食べる気にもならない
少しくたびれかけていたので
捨てようかとも思ったが
まずはネットで調べてみた

炒めるという手があるとのこと
早速ゆがいたそうめんと
長ねぎの千切りを用意し
ごま油でさっと炒め
塩 胡椒 一味で味付けをしてみた
なかなかうまい

素麺を炒めるという発想は
全くなかったのだが
これはオススメの食べ方である

代謝

歳をとってお酒が弱くなった
というようなことをよく聞く
そういえば私自身も
お酒に酔いやすくなってきたような
気がする

アルコールを代謝する酵素が
あまり作られなくなるのだろうか

少し不安になってきたので
忘年会に参加する前に
ウコンの入った飲料を飲んでみた

歳をとってくれば
身体の機能を補うため
色々試してみるのも良いかもしれない

まあその前にあまり飲まないように
控えればいいといいだけの話だろうが
ついついという事もありますから

翌朝起きてみると
普段よりアルコールの残った感じが
少なかったような気がした
実際に効果があったのか
気のせいなのかは
判然としないけれど

低気圧

冬になると
日本海を西から東へ移動しながら
勢力を強めていく低気圧

その力は
台風を凌駕することも
あるらしい

台風と違う点は
北の寒気まで引き連れて
襲いかかってくることだろうか
それは蟹工船の舞台へも
繋がるのだろう

その舞台から遠く離れた地でも
北で大荒れの時には
強風がしばしば吹き荒れる
きっと低気圧の動きと
大きく繋がっているのだろう
と思っていたら
そのダイナミックな空気の流れを
見せてくれるページを発見

納得である

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http://earth.nullschool.net/jp/?...

付き合う

飲み会に参加して
1次会で帰るようになったのは
この数年のことだ

以前なら
最後の1人が帰ると言うまで
トコトン飲んでいた私だが
これが年齢と言うものなのでしょうね

しかし
一次会だけでも
充分楽しませていただいています

私の人生が
あとどれくらい残っているのか
わかりませんが

この刹那
この一瞬を
味わい愉しみながら
生きていきたい
と思っています

持ち物

入院期間が長くなってくると
患者さんのベットの周りに
次第に物が増えてくる

しかしそうは言っても
退院のときには
カート1台で充分運べる程度の量にしか
ならない場合がほとんど

家に帰れば
再び多くのものに囲まれて
生活することになるのだろうが
退院の時の荷物を見ていると
ふだん我々が
いかに多くのものに囲まれているか
思い知らされる

在庫の仕分けを行って
身も心も軽やかに
生きていきたいのだ

年末の大掃除
今年はしっかりやってみよう