~ 恩師の「心行の解説」下巻より ~
講演 九
「己の心・意識のエネルギー源は調和のとれた
日々の生活のなかに神仏より与えられることを悟るべし」
先の続き・・・
「私の心が安らかになった、
これなら心を苦しめることはもうない」と日頃は思っておりましても、
何かの縁に触れた時に、たちまちにして自分の持っている悪い癖、
欠点がむくむくと頭をもたげてきます。
しかし、欠点が出てきても肉体を持っておればこそで、
これは致し方のないことです。
ただその時、いかに早く捉われの思いを捨てるかが、
私たちの修行であります。
高知から来ていただいたおばあちゃんは、ある信仰をなさっていて、
ご縁の信者さんがたくさんあるそうです。
しかし信者さんのことでいろいろ心を苦しめ、
このままでは死んだら地獄へ行くかもしれないから、
何とか地獄へ落ちない方法を教えて下さいとのことで、
お話させてもらっていたのです。
その宗教では、前世の因縁によって、
あなたは今こういう苦しみを受けているとか、
過去世にカルマによって今このような裁きを受けているとかいう
「前世論」という教えを説いています。
しかし前世論では人は救われません。
私たちは前世で何をしたのか今の自分には分からないのです。
どれほど前世で悪いことをしたのか、善いことをしたのか私たち自身、
分かりません。
その分からないものによって今生が苦しいのだとしたら、
苦しむ方があまりにも可哀相です。
苦しんでいる方を諦めさせるしかないことになります。