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ヘンな日本美術史 山口晃

2021年11月07日 | 
  とても美術史と呼べるようなものではなく、著者が思いつくまま古今の日本美術をかってに取り上げてあれこれ書いたもの。日本美術の歴史学ぶようなことはまったくできない。(著者もそう書いてる)むしろいろいろ知っている人が、山口晃はどう見ているのだろうと、山口晃興味で読む本だ。ぼくは著者には興味があるが、日本美術の素養はないので、この本を本当には楽しめてないと思う。でもおもしろかった。
 絵画・美術品は実物を見ないとわからない、置かれた環境も大切、美術館がベストとは限らない。教会の中の絵は教会の中で見なければ。とても共感する。白磁をじかに手に取る話 を思い出した。
 音楽も同じだ。録音と生ではまったく違うのだ。そして演奏会場がベストとは限らない。オルガンをヨーロッパの教会で聴きたいなあ。

 日本の絵の、視点が一点に固定されているわけではない。横顔なのに目だけ正面から描いている。(ピカソ!)

「せっかく300年、400年かかってここまで古びたものを、わざわざ新しくするのはどういうことなのかと思うのです。」
 などがとても印象に残った。

 漫画のことでちばてつやと池上遼一の絵で、みたいなことが書いてあり、池上遼一ねえ、ぼくは池上遼一の絵をうまいと思ったことがないのだ。漫画百冊で、竹宮恵子を入れなかったと書いたけれど、池上遼一は眼中にまったくなかった。池上遼一の絵には運動神経がないと思う。著者とは見え方が違うのかも知れないなあ。