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千年万年りんごの子 田中相  (ネタバレ注意)

2023年01月12日 | 漫画
 漫画同好会の同僚が貸してくれた。最近読むのは全部彼女からのものだ。もう少し自分でも開発しないといけないなあ。
 これもとてもおもしろかった。東北のりんごの木を巡る生け贄譚と言えばいいのか。おもしろかったが、だが、そうだなあ、なんか釈然としない。この結末に納得がいかないのかもしれない。そんなこと言ったってしょうがないのだけれど、つまりぼくが「政治的に正しい」結末を求めているのか。主人公はこの生け贄に抵抗し、戦い、ある意味勝ったのかもしれないが、でも結局この生け贄を巡るすべてを総体として肯定していると思える。それは主人公と言うより作者のことなのか。
 今杉浦日向子の百物語を楽しく読み返しているのだが、こちらもあらゆる理不尽かもしれない不思議を描いていて、それは肯定も否定もない、ただ放り出してあるのだが、それはつまり肯定していると思うが、それには納得できるのだ。なぜ?
 これは全然この作品のことでなく、僕の受け取り方の問題なのだけれど。

 作品としては全体としてとても完成されたもので、絵も良いし、ともかくとても良い。だれにでも推薦できる。