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安楽死が合法の国で起こっていること 児玉真美

2024年12月17日 | 
 図書館の案内: 拡大していく対象者像、合法化後に緩和される手続き要件、安楽死を「日常化」していく医療現場…。安楽死が合法化された国で起こっていることに加え、世界的なコロナ禍で医師と家族が抱えた葛藤や日本の実状などを紹介する。

 この本も実に考えさせられるというか、何事も単純じゃない、この本にはグラデーションと書いてあるが、何事も多面的なのだと思う。
 「尊厳死」たしかにスパゲッティ症候群で尊厳もなく生きたくない。だが尊厳死から安楽死へ、さらに…。それをこの本では「すべり坂」と書いてあるが「なし崩し」でいいじゃないか、安楽死の線引きの曖昧化。そして「安楽死は臓器移植と直結している」。あるいは安楽死と医療の「コスト」の問題、「無益な医療」「無益な患者」「新鮮な臓器」差別される障害者、傲慢な医者という専門家、家族に依存する日本の福祉。なし崩しと横すべりとでも言うべき現状と議論。
 そういえば僕の父もパーキンソン病で長いこと入院していたが、今思えば邪魔にされていたよなあ。「ベッドブロッカー」という言葉があるのを初めて知った。
 死ぬ権利の前に「死んだ方がまし」な現状がなぜなのか、それを変える、あるいは苦しみを減らす社会の取り組みが必要なことはたしかだ。カナダの世論調査で、安楽死を認めての良い理由として「貧しいこと」「ホームレスであること」を選択した人が25%いたという。なんという恐ろしい世の中だろうか。