2002年に公開されたトム・ダイ監督、ウィル・スミス製作総指揮によるアメリカ映画。なんとロバート・デ・ニーロ&エディ・マーフィー!という豪華な組み合わせによるバディ物。
とはいえ、お二人とも全盛期が過ぎてる上にポリスアクションのブームも下火になったせいか、あまり話題にならなかった印象があります。
ちなみにハリソン・フォード&ジョシュ・ハートネット主演による『ハリウッド的殺人事件』が公開されたのはその翌年で、両作とも俳優志望の刑事が活躍する変化球コメディー。もはやアクション映画の主役は元特殊工作員たちに乗っ取られ、ポリスアクションを旬のスターが真面目にやる時代は終わってしまった……のかも知れません。
でも、だからこそ全盛期には有り得なかった贅沢な共演が実現したんだろうし、旬は過ぎたとは言えデニーロ氏とマーフィー氏が演じればやっぱり面白くなりますよ。それはもう、確実に笑わせてくれます。
ロサンゼルス市警の堅物刑事=ミッチ・プレストン(デ・ニーロ)は犯人逮捕に失敗した現場をテレビの取材班に撮られ、カッとなってカメラをぶっ壊しちゃう。
その放映を観た多くの視聴者が喜んでる事実に眼をつけたプロデューサーのチェイス(レネ・ルッソ)は、ミッチを主役にした密着ドキュメント番組(今風に言えばリアリティーショー)を企画し、嫌がるミッチにカメラの損害賠償と引き換えに出演契約を結ばせ、彼の相棒役を探します。
それで選ばれたのが、チェイスの鞄を盗もうとしたチンピラを見事な立ち回りで逮捕した、俳優志望のパトロール警官=トレイ・セラーズ(マーフィー)。その逮捕劇がトレイ自身の仕組んだヤラセなのはバレバレなんだけどw、ヤラセ番組を得意とするチェイスには気に入られたワケです。
かくして、テレビ番組に協力する気などまったく無いミッチと、スターになりたくて仕方がないトレイという、まったくソリが合わないコンビによるリアリティー番組『ショウタイム』がスタートし、瞬く間に人気を集めます。
だけど新型マシンガン密造組織の摘発に夢中になり過ぎた二人は、派手なカーチェイスと銃撃戦の末に街を破壊しちゃう。それが問題となって番組は打ち切られ、あっさりコンビは解散……するかと思いきや、最終回のVTR映像に組織摘発の決め手となる証拠が写っており、二人はクビを覚悟でテレビクルーたちと共に最後の決戦に臨むのでした。
ぶっきらぼうなデ・ニーロ氏と、口八丁のマーフィー氏。それぞれの持ち味を活かしたポリスアクションが観られるだけでも楽しいのに、ハリウッドきっての名優がヤラセ番組の猿芝居を演じる可笑しさもあるし、刑事部屋やそれぞれの住居を「映える」ように改装したり高級車に乗らせたりする、テレビスタッフたちのヤラセ体質を皮肉った社会派コメディーの側面もあり、私は存分に楽しませて頂きました。
おまけにエンドクレジットにはNG集まであり、あのロバート・デ・ニーロが台詞をトチる!というレアな映像まで見せてくれます。
また、かつて刑事ドラマ『パトカーアダム30』に主演してたウィリアム・シャトナー氏が本人役で登場、ミッチ&トレイに演技指導するというお遊びシーンもあり、プロデューサーのチェイス役に『リーサル・ウェポン3』で本格ブレイクを果たしたレネ・ルッソ氏がキャスティングされたのも、たぶん偶然じゃないだろうと思います。(ちなみにチェイスのアシスタント=アニーを演じたドレナ・デ・ニーロ氏はロバート・デ・ニーロ氏の養子)
そんな感じで遊びごころ満載にして刑事物への愛も感じられるこの映画を、私が気に入らないワケがありません。
デ・ニーロ氏には『ミッドナイト・ラン』、マーフィー氏には『48時間』というバディ・アクション物の代表作(いずれも大傑作!)があるんだけど、私はこの『ショウタイム』が一番好きかも知れません。
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