2021年夏シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠でスタートした、テレビ朝日&東映の制作による京都を舞台にした刑事ドラマ。
スマートフォンやリモートワークの普及により、サイバー犯罪も増加の一途を辿る現状に対応すべく、京都府警が新たに設立した部署「サイバー総合事犯係」メンバーたちの活躍が描かれます。
「0か1で割り切れない感情に固執するのは時間のムダ」というワケの分からない持論をぶつ「超デジタル人間」の主任=安洛一誠(やすみや いっせい)に、佐々木蔵之介。
新たに配属された新米刑事で、自分がもしかすると亡き母親と安洛がチョメチョメして生まれた娘じゃないかと疑い、それを確かめたくて刑事になった女=古宮山絆(こみやま きずな)に、福原遥。
そしてプロファイリング担当でやたら腰の低い係長=平塚に杉本哲太、鑑識課出身で映像解析を担当する川瀬に堀内敬子、安洛を監視する密命を受けた元捜査一課の刑事=多和田に間宮祥太郎、サイバーパトロール担当のオタク刑事=岡林に吉村界人が扮するほか、高畑淳子、中川知香、金山一彦、押尾佑、国木田かっぱ、升毅etc…といった俳優陣が脇を固めてます。
芸達者なキャストが揃い、初期の『相棒』や『科捜研の女』を支えられた戸田山雅司さんがメインライターとなれば、ミステリードラマとしてのクオリティーは保障されたようなもの。実際「ミステリードラマとしては」普通に楽しめました。
……が! この前さんざん苦言を呈した香取慎吾くんの刑事ドラマ『アノニマス/警視庁“指殺人”対策室』とめっちゃよく似てるんですよねw
と言うより、これまで放映されて来た全ての刑事ドラマと「ここが違う!」っていうポイントが、主人公がいつも羽織姿だったりシンキングタイムにお茶を煎じたりすること(いかにも京都を意識して取ってつけたルーティン)を除けば、何ひとつ無いんですよね。
一匹狼でやさぐれた主人公といい、物語を引っ張る元気な女性刑事といい、上層部からの密命を背負ったイケメン刑事といい、あまりに無能な捜査一課や二課の刑事たちといい、その連中からいつも揶揄され差別されてる主役チームの在り方といい、やけにオシャレな刑事部屋のセットといい、杉本哲太さんや升毅さんに至るまで、もう見飽きたなんて言葉じゃ言い足りない、定番中の定番設定ばかりです。
これはもう、明らかに、わざとそうしてるんですよね。そうせざるを得ない何かがあるんでしょう。上に書いたようなレシピをきっちり押さえないと番組を創らせてもらえない、しがらみのようなもんが業界に蔓延してるとしか思えません。
だって、クリエイターなら誰だって、みんながやって来たのと同じことだけは絶対やりたくない筈なんです。
違うのかなあ? 昨今のクリエイターたちはもう、何か新しいもの、自分にしか創れない作品を生み出したい!なんて野望は、いっさい抱いてないのかなあ? そんなことってあり得るの?
じゃあキミたちは一体、何のためにクリエイターになったの? ずば抜けてハードな職場でフラフラになりながら働く、キミたちのモチベーションって一体どっから湧いて来るの? ああキミたちがいてボクがいる。
……って、言ってやりたくなるんだけど、彼らも「ちゃんとレシピ通りにやらないとどうなるか、分かってるよな?」とか「可愛い娘さんがいるんだねぇ、うひひのひ」とかって、上から脅されて仕方なくやってるのかも知れません。そうでも思わないと私は見てられない!
それともう1つ大いに気になったのが、佐々木蔵之介さんのくっさい芝居。あれじゃ『アノニマス』の香取くんの方がよっぽど自然に感じちゃう!←相当クサいってことですw
まるでアニメみたいな台詞回し、って書くと声優さんに失礼だけど、人物の感情を絵で表現するには限界があるから、アニメキャラの台詞回しがオーバーになるのは仕方がない。
けど、それを実写で生身の俳優さんがやっちゃうと、クドいし、そんな喋り方する人間はこの世におらんやろ!って、少なくとも私は感じてしまう。誰か「蔵之介さん、それはちょっと」って注意してあげられる人はいないんでしょうか? もはやそんなことも許されない空気になっちゃってるの?
現行の刑事ドラマで私が一番好きな『警視庁・捜査一課長』シリーズは、ミステリーとしては凡庸かも知れないけど、そのぶん設定や世界観がすこぶるユニークだし、主人公(内藤剛志さん)の芝居もあくまで自然体で、この『IP』や『アノニマス』とは何から何まで対照的。
それを単なる「好みの違い」だけで片付けちゃって良いんでしょうか? 最近、新番組のレビューが全部おんなじ愚痴になっちゃってるのって、相当ヤバい状況だと思うんだけど、世間の人たちは何とも感じてないのかな? 謎解きさえ楽しめりゃ後はどうでもいいんでしょうか?
私にとって唯一の見所は、ヒロイン=福原遥さんのハツラツとした演技だけ……って、これも『アノニマス』の時(あっちは関水渚さん)と一言一句変わらんし!(金髪チャラ男のイメージが強い吉村界人くんのオタク役も新鮮だけど)
ヤバいよヤバいよ、本当にヤバいよ。TVドラマが本格的にヤバくなって来たよ! あ、ヤバいって、今は褒め言葉なんでしたっけ? なんて世の中だ!
破滅です。……って言い続けて苦節ウン十数年w 底無しですね。
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