☆第5話『夜汽車で来たあいつ』
(1979.10.16.OA/脚本=丸山昇一/監督=澤田幸弘)
福井県の田舎町から上京した田村(水谷 豊)という男が工藤(松田優作)の事務所を訪ね、半年前に上京してから連絡がつかなくなった妹=由美(原田美枝子)の捜索を依頼します。
調べると、由美は恋人のゴロー(古尾谷雅人)が起こした事故の慰謝料を払うために、風俗の仕事をしているのでした。市役所に勤務する生真面目な兄に、変わってしまった自分を見られたくないと由美は言います。
工藤は理由を伏せたまま「会えない」とだけ田村に伝えますが、彼はどうしても会いたいと言って聞きません。実は田村は癌に冒されており、もう時間が無いと悟った矢先に妹の借金苦を知り、急いで大金を工面し東京へやって来たのでした。
ところが、その大金が悪徳企業の賄賂を横領したもので、工藤と田村はヤクザたちに追われる羽目になり……
松田優作さんと水谷豊さんは『太陽にほえろ!』の第54話(ジーパン刑事編の2作目)で出逢って以来の大親友で、今回のゲスト出演は『熱中時代 刑事編』の撮影を終えた水谷さんが友情出演的に駆けつけて実現したもの。(お返しに優作さんが水谷さん主演の『あんちゃん』にゲスト出演されたことも当時話題になりました)
加えて原田美枝子さん、古尾谷雅人さんも登場しちゃう豪華さで、このエピソードは後に第1話とのカップリングでブローアップ&再編集され、映画『蘇る優作/探偵物語特別編』として劇場公開されることになります。
キャストの豪華さもさることながら、素朴な田村と工藤が意気投合し、友情を育んでいく楽しさや、お互いツラい秘密を隠したまま笑顔で再会する兄と妹、そして希望に向かって歩み出すラストシーンなど、優作さんが目指された「ハートボイルド」を象徴するような温かいエピソードで、前回レビューの渋い第2話とは対照的ながら、これも名作の1本として記憶に残る作品です。
セクシーショットは、工藤探偵事務所と同じビルに住む女優の卵=かほりに扮した竹田かほりさん、当時20歳。ファッションモデルのルームメイト=ナンシー(ナンシー・チェニー)と二人で何かと工藤の世話を焼く、マスコット的なポジションで番組に花を添えてくれました。
にっかつロマンポルノ『桃尻娘』シリーズで人気を集め、優作さん絡みでは映画『殺人遊戯』『俺達に墓はない』や2時間ドラマ『死の断崖』にも出演、同じセントラル・アーツの探偵ドラマ『探偵同盟』に『プロハンター』、そして『Gメン'75』『大空港』『太陽にほえろ!』『爆走!ドーベルマン刑事』等の刑事ドラマにもゲスト出演されてます。
'82年にミュージシャンの甲斐よしひろさんと結婚、芸能界はきっぱり引退されましたが、もっとご活躍を見ていたかったのは私だけじゃないだろうと思います。
普通のドラマなら原田美枝子さんを風俗で働かなくて良くするため疾走したりしそうなんですが、そこまでは立ち入らない。
おっしゃるとおり、緩急のバランスが神がかり的なんですね、この作品
竹田さんがお風呂から全裸で急いで出るシーンがアップめのローアングルであるんですが、【カメラマンさんは多分もろ見え】そのシーンもう、何回見たかわかりません
ちょうどヤバそうなところはつままれていますが一時期はそのシーンを日課のようにみていました(笑)
ド変態w
あの時代、俳優たる者の活躍の場はあくまで映画である、という風潮がまだまだ強かったんでしょうね。
探偵物語はその点、演出面なんかは「映画的」な気も…いや、映画というかギャグ漫画といった方がいいか(ワロス)
そうそう、渋の小説…は大したことなかったとは思いますが、一応お聞きしましょう。どうでしたか?
個人的には、長谷部父娘をイジった、いかにも優作さんがアドリブで言いそうなギャグと、車へのこだわりや愛情が感じられる細かい描写が(私自身はまったく詳しくないのですが)ツボでした。
難点があるとすれば、やはりTVドラマの1エピソードとしては長すぎること。なので、これは最初から2時間の『探偵物語スペシャル』として発表された方が良いかも?
個人的な希望としては、読む時間がなかなか確保できないので次回は60分枠に収まる程度の長さにして頂くと助かります。
ともあれ、力作お疲れさまでした。楽しませて頂きました。