「優しき歌」から「樹木の影に」 2020年05月14日 | 立原道造 立原道造詩集「優しき歌」から「樹木の影に」 江古田での彼を泊まり込みで看護したのは、許嫁者であった水戸部アサイだった。彼女はここで、文字通り母に代わったのだ。これはもしかすると立原道造にとって、その短い生涯の最後にほんの幾日かの間だけ実現した本当の幸福だったかもしれない。 立原道造の死後しばらくして、アサイは他家に嫁ぎ、1995年三月、76才で穏やかな一生を終えた。 「新生の歌声」 安藤元雄