104つの奇跡

見えてるのかな、これ?

難しい問題だけど

2018年06月02日 21時22分29秒 | Weblog
「『死なない程度』のサポートしか…」介護経験者が明かす“失望”


 今の仕事に就いてかれこれ5年以上経ちますかね。職場は変われど、同じ仕事を続けているのは飽きっぽい私にしてはある意味奇跡かもしれません。そんな中見つけたこんな記事。


 他の介護士の方もコメントしていますけど、「他人だから仕事と割り切れる。だからやっていられる。」と。確かにそうですね。施設の特色上、認知症の方が基本となりますが、在宅から入所される方は結構対応に苦慮することが多い印象。特に本人の意思とは無関係で入所された方が。


 俗にいう「帰宅願望」と言うヤツです。都度説明して納得してもらいますが、短期記憶を保持できないため何度も数十秒~数分で同じ内容を質問されてきます。尋ねる方も答える方も次第にイライラしてきて、負の連鎖に繋がります。研修などでは「否定せず丁寧に都度応える」と言う方法が解答例として出されていますが、こちらも普通の人間ですので、何度も同じ内容の質問を聴き、それに答え続けるってのを耐えきることは不可能です。


 こう言ったことが日常的に起こっていますが、上記のように「他人相手だから仕事として割り切れる」ってのが大きいと思います。それがもし、一つ屋根の下に住んでいる家族だったら。昼間は仕事で疲れて帰ってきてから今度は家族の面倒を見る。認知症も進行すると昼夜逆転現象や徘徊のコンボに繋がったりしますので、正直休まることはありませんね。うちの施設でも「あのまま在宅で介護していたら、最悪の結末を迎えていただろうな」と思われる利用者さんが入居されてきたこともありました。こちらとしては大変でしたけど、入所出来て家族さんは安心することが出来たんじゃないでしょうか。


 施設に入所するのは非常にお金もかかりますし、政府自体が在宅介護の意向を示しています。「地域で介護する」ってのは言葉の響きとしては良いですが、いざ実行となると中々に難しいと思います。現在ではボランティアでお話相手なんかもあるみたいですが、身体介護となるとやっぱりテクニックやある程度のパワー&メンタルが必要になってきます。


 記事では主に在宅での介護経験のある方のコメントをまとめてありますが、もし悩んでおられる方がおられましたらお近くの介護施設に相談することを強くおススメします。出向くことが難しいならば、電話すれば自宅に来てくれる事業所もありますので。費用の面が心配かもしれませんが、それも個々に合わせたプランを立てることで少しでも良い方向に向かうかもしれませんからね。何もしないよりは少しでも変化を付けた方が良いと思います。



 ただ、一つ懸念されるのは一定数いる「入所させたら全く/ほとんど面会に来ない家族」が増えないかと言うこと。相談→入所までこぎ着ける→あとは丸投げって感じですかね。いや、丸投げならまだマシなんですが、中途半端に口だけ出ししてくる家族さんも中にはいて、施設や職員サイドから見たら「一番お近づきになりたくない」ですね。「家族の顔を見るとまた『帰る』って続くから(なるだけ顔は見せません)」と、もっともらしい理由を付ける家族がおられましたが、私が見てきた限り、家族の面会頻度が高い利用者さんほど落ち着いている印象ですね。やっぱり他人と家族は別物でしょうから。