老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1444;ひと夏の生命

2020-03-09 20:42:42 | 空蝉
     
書店に立ち寄り 不図目にとまった『生き物の死にざま』

ひと夏の生命

29の生き物の限られた命を綴ったエッセイ
生き物の生きざま死にざまと言えば「蝉」が真っ先に思い浮かぶ

木につかまる力を失った蝉は、地面に落ち上を向いて死ぬ。
蝉の死体が、路端や地面に落ちている。

「仰向けになりながら、死を待つセミ。
 彼らはいったい、何を思うのだろうか。
 彼らの目に映るものは何だろう。」
(稲垣栄洋著『生き物の死にざま』草思社 10頁)

仰向けになった蝉の目は、地面の方を向くことになる。
蝉にとっては、「その地面こそが幼少期を過ごしたなつかしい場所」(前掲書11頁)

蝉の命は短く、ひと夏のはかない命。
蝉の雄は、俺は此処にいるぞ」、大きな声で鳴き叫び、雌を呼び寄せる。
雄と雌は繁殖行動を終え”生きる目的”を終え、死を迎える。

蝉に限らず、老いびとたちも、死を迎えるとき何を思い
最後にどんな風景が目に映るのだろうか

                  八日目の蝉



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