石の下にハサミムシ まだ自分はハサミムシを見たことがない yahoo画像より引用
母親の亡骸
石をひっくり返すと ハサミムシが生息している。
腹を空かしたハサミムシの幼虫は、
母親の体を食べ始める。
ハサミムシの母親は、子どもたち(幼虫)を慈しむかのように
自分の腹のやわらかい部分を差し出す。
母親は痛みにじっと耐えながら動くことなく
子どもたちが自分を食べる様子を静かに見守っている。
自分の命と引き換えに、子どもたちの成長を願うハサミムシの母親。
人間という生き物は、子育ての大変さ面倒くささを嘆き、
我が子を虐待死させてしまう。
子どもたちに体を食べられながら,遠ざかる意識のなかで、
ハサミムシの母親は何を思うのだろうか、
どんな思いで命を終えようとするのだろうか。
成長した子どもたちが石の下から這いだし
石の下には母親の亡骸が残っていた。
(稲垣栄洋著『生き物の死にざま』草思社 16頁~22頁)
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