老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1449;母親の亡骸

2020-03-12 04:15:44 | 空蝉
石の下にハサミムシ まだ自分はハサミムシを見たことがない  yahoo画像より引用

母親の亡骸

石をひっくり返すと ハサミムシが生息している。

腹を空かしたハサミムシの幼虫は、
母親の体を食べ始める。

ハサミムシの母親は、子どもたち(幼虫)を慈しむかのように
自分の腹のやわらかい部分を差し出す。
母親は痛みにじっと耐えながら動くことなく
子どもたちが自分を食べる様子を静かに見守っている。

自分の命と引き換えに、子どもたちの成長を願うハサミムシの母親。
人間という生き物は、子育ての大変さ面倒くささを嘆き、
我が子を虐待死させてしまう。

子どもたちに体を食べられながら,遠ざかる意識のなかで、
ハサミムシの母親は何を思うのだろうか、
どんな思いで命を終えようとするのだろうか。

成長した子どもたちが石の下から這いだし
石の下には母親の亡骸が残っていた。


(稲垣栄洋著『生き物の死にざま』草思社 16頁~22頁)

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