常念が見える部屋から

ここから北アルプス常念岳が眺望できます。
季節の移ろいに写真を添えて発信します。

木枯らし

2008年11月19日 | 季節の便り
落葉松

冷たく強い風が吹いて、木の葉が、晴れ上がった空を、群雀のように渦を巻いて飛んだ。
キラキラと風に舞う欅の落ち葉を追いかけた幼い日を思い出す。
無数に舞い落ちる木の葉に、ただ右往左往するだけで、捕まえられそうで捕まらないそのもどかしさは、後に体験したその種のもどかしさの原点であったように思う。
朝日が黄葉しきった落葉松の梢を照らして、林の中では音を立てて金の針が降り積もっていることだろう。


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琵琶の花

2008年11月18日 | 季節の便り


残り葉の少なくなった沙羅の枝に、ヒヨドリのつがいがやってきて何かを狙う気配である。
その目線に先に琵琶の花があった。
今年は琵琶の花付きが良い、花を食べられた気配はないから、ヒヨドリは花に集る羽虫を狙っていたのかもしれない。
明け方の月を囲んだ大きな光の輪が見えた、「お月様のお笠」といって天気の変わる前触れである。
冷たい時雨か、ことによると初雪かもしれない。
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日暮れ

2008年11月17日 | 季節の便り


初冬の日暮は早い、庭の落ち葉を掃き集めていて、手元が暗いと思ったらもう日没である。
あたりは余韻もなく闇に包まれる。
窓から洩れる明かりの中に深紅のモミジが華やいだ。
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大鋸(木挽きノコギリ)

2008年11月16日 | 季節の便り


地区文化祭に出品された大ノコギリである。
出品者によれば「切り倒された大木から板を切り出すためのノコギリ(木挽き鋸)」で代々受け継がれたものだそうだ。
手入れを怠らないから、今でも使うことが出来る、が使いこなす人はいないだろうと言う。
私はこの手の大鋸の使い手を見たことがある。
切り倒された直径が子供の背丈をはるかに越える大木を、縦に二つ割りにする作業であった。
最初の作業は見なかったけれど、既に中ほどまで切り進んでいて、材木の重量で切り口が押しつぶされるのだろう、それを防ぐために切り進んだ隙間のところどころに楔が打ち込んであった。
親方が鋸をゆっくり押して、ゆっくり引く、その時わずかな木挽糠(大鋸屑)が地面に舞い落ちた。
しばらくすると、鋸を引き抜いて丁寧に時間をかけて目立てをする。
鋼を削る鑢の音を聞きながら、親方の真剣な所作を子供達は凝視した。
うなりを立てて大木を切り裂く、現在の帯鋸からは想像も出来ない景色であった。





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悲願 10年(実は産地偽装)

2008年11月15日 | 季節の便り
パッションフルーツ


ついに結実したパッションフルーツ
表面に少しヒダが出来たら食べごろだと教わったので、二つに割ってテーブルへ出す。
想像していたより酸味が強い、蜂蜜を断面にたらしてスプーンでかき混ぜる。
上品な酸味と濃厚な甘さが調和して、まさしく王侯貴族のデザートである。
原村の正木様が、花は咲けども、山吹のように結実しない、我が家の「パッションフルーツ」を哀れに思し召して、分け与えたたもうた貴重な1果である。
冬ごもりのために取り込んだパッションの蔓に括りつけて、実りの実感を教え込んだから来年は王様の気分を満喫できるだろう。

コメント (3)
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常念と白い月

2008年11月14日 | 季節の便り
白い月と常念


常念の山並みに白い月が落ちて、ぶどう畑の耕された地表一面に霜が降りていた。冬が迫ってくる。
夜半 満月の光の中に晩秋の木々を見た。
昼間の輝きを落として、そよとも動かずにいた。
昨日 関係する協会の10周年に当たり、特別功労表彰者3名の中に選ばれたという知らせが届いた。要はもうお年寄りだということなのだろう。
そういう感慨で月の照らす木々を見ていた。
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メール

2008年11月13日 | 季節の便り
小さな稲荷の杜


不器用で、その上指が太いので、携帯電話からのメール発信は敬遠せざるをえない。
しかし日常、パソコンのメール機能によって、助けられることが多い。
出社して、メールの確認から一日が始まる。
「野球部の朝練習では寒い日も暑い日も、常念と槍ヶ岳がセットで、冬の晴れた日でもキラキラとした雪が舞って、その先のアルプスの嶺嶺は気持ちを静めてくれたり、奮い立たせてくれました。
オフィスから東京タワーや日比谷公園が見下ろせますが、北アルプスに比べたら何とも無機質な感じがいたします、郷愁を覚える年齢になったのかもしれません」
先日初対面した同窓生が、30年も以前のことを思い出してメールをくれた。




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ちゃんちゃんこ

2008年11月12日 | 季節の便り
ダンコウバイ


何かが引き金になって、突然チャンチャンコを思い出した。
チャンチャンコは、幼児やお年寄り用の綿入れ防寒衣と理解している。
今風にいえばベストに近いものなのだろう。
炬燵しか暖房がない部屋で、チャンチャンコを着ていると、背中がぬくぬくと暖かく気持ちが良かった。
兄弟姉妹のチャンチャンコは全て母の手作りであった。
もしかしたら、布も母の手織りだったかもしれない。
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放置された農地

2008年11月11日 | 季節の便り
蒲の穂



美田を5年間放置すると、こんな風に変貌する。
柳と蒲に覆われて、初夏にヨシキリが営巣し、ホタルが飛ぶ。
この景色 日本の豊かさの象徴であり、復元力の豊かさの象徴でもある。
山の頂きまで耕された一頃に比べればである。
必要になったら、柳を切って、蒲を掘り抜いて、また稲を植えればよい。
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紫式部

2008年11月10日 | 季節の便り
紫式部

石山寺を参詣した折、源氏物語を執筆中の紫式部さんにお会いした。
勿論それらしき人形なのだけれど、古刹の、思ったより狭隘な書斎に押し込められていて窮屈そうだった。
私は源氏物語を知らないから、想像するところの壮大な舞台装置に比較して狭いと思ったのかもしれない。
野にある式部も淡く黄葉を始めた。
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