ロウバイの花の盛りが過ぎ,散り始めました。最後の芳香を名残り惜しそうに放っているようで, 近くを通ると確かに微かに匂ってきます。
朝,昆虫はいないかなと思い探すと,すぐに見つかったのがキアシブトコバチです。体長は5,6mmといったところです。一年前に,赤花マンサクで見て以来の対面です。活動に適した気温にまで上がっていないらしく,花の中でじっとしていました。
黒くって,脚が黄色くって,後脚が異様に太く頑丈で。体を表す名は忘れられません。命名の妙です。太腿には筋肉が詰まっているのです。
背中に花粉が付いているのがよくわかります。これはもう,送受粉に十分貢献している証拠です。
からだの表面がこれだけデコボコしていると,花粉が付き易く,効率よく運ぶことになるでしょう。もちろん,コバチ自身はまったく知らないのですが。
コバチを特徴づける後脚がこんなに丈夫で,こんなふうに曲がっています。なんと優雅な線なのでしょう。脚を曲げたとき,太腿とぴったり重なるのです。
腹を後方から見ると,体節が同心円を描くようにして並んでいます。後脚の関節が曲がって,脚が重なっている様がよくわかります。
撮影しているうちに,コバチはほんのすこしずつ動き始めました。三つある単眼も見えます。口器の顎が一人前(?)に発達しています。
小さくても,毛で覆われたからだはいかにも昆虫としての誇りのようにさえ見えてきます。
キアシブトバチの生態について調べると,活動期は3~12月とか,幼虫はチョウやガの蛹に寄生しているとか,そんなことがわかってきました。成虫が蛹に産卵するところを見たくなりました。しかし,なかなかそんな場面には出合えないでしょう。たとえ産卵していても,こんなに小さなからだではこちらが気づかないままに終わってしまいそうです。