庭の白菊でいちばん目立つ昆虫は,なんといってもツマグロキンバエです。わんさといます。縞模様のある複眼を一度見れば,もう忘れられないでしょう。よく見ると,個眼が観察できます。それがこの昆虫の特性でしょうか。
下写真はオスです。複眼が頭をすっぽり覆うように配置されていて,左右がくっ付いています。そして,その間に単眼が三つ見えます。眼でしっかり見て,触覚で大好物のありかを匂って,ひたすら舐めとります。
時には,脚をからだをきれいにする道具に使ったり。
慎重に写せば,ちっとも警戒心が現れません。口から液体を出して,口吻やら脚やらを清潔にしている姿も見えました。液体は光を反射して青く写っています。
メスはオスよりからだが一回り小さな感じです。複眼が離れているので,メスとはっきりわかります。
じっと見ていると,同じ花の上をじつに丹念に動いて食餌行動に熱中していました。あるとき,口から水滴が出てきたのには,すっかり驚きました。その水滴が丸くなって,今にも落ちそうになりましたが,また口内に戻っていきました。
そうそう,もう一つ驚いたことがありました。『ハナバエのからだ』 (11月18日付け記事)中のおしまいの写真に写っている,肛門からの排泄物をツマグロキンバエもそっくり同じに出したのです。それも数回。その一滴が,上写真に写っています。前脚の先近くに,透明感のある水滴がそれです。本記事の二枚目の写真にも,二滴写っているのがおわかりかと思います。
観察は簡単に済ませないことです。じっくり見つめることが肝要かと思われます。