自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

残ったキゴシハナアブ

2013-11-22 | 昆虫

夕方,キクの花を見ると,キゴシハナアブが一匹残されてじっとしていました。気温が下がって,動けなくなったのではないでしょうか。

撮影にはもってこいの場面です。それで,花を切り取って家の中で写真に撮ることにしました。ありがたいことに,アブはほとんど動こうとしませんでした。

真上から撮りました。頭部は複眼で覆われたといった感じです。オスです。複眼の間に,単眼が見えます。

 

やや角度を変えて撮りました。   

 

吸蜜に夢中になっているうちに,気温が下がって身動きがとれなくなったのかもしれません。口器が出ているようには見えません。 

 

ぐっと近づいて撮りました。単眼がはっきり確認できます。複眼が感覚器官として極めて重要な様子がうかがえます。 

 

口器辺りを確認したくて,さらに角度を変えました。それでも,吸蜜している様子ではありません。

 

頭部をトリミングしてみました。トリミングはわたしの好みではありませんが, これも生態を知る手段なので止むを得ません。個眼がじつに規則正しく並んでいます。数千個はあるのではないでしょうか。

 

撮影中,かすかに動きましたが,終始協力的でした。

 


ブナ帯の森林更新(中)

2013-11-22 | 随想

登山道の脇にはブナの大木が林立しています。 左右の森林は所狭しとばかりにブナが占有し,光を求めて伸びていっています。まことに高い梢!

 

夏の暑さの中で,水分をどっさり吸い上げて蒸散させ,冬の風雪に耐えて凛と立ち続けます。この繰り返しが年輪の一つひとつに刻まれると思うと,なんと厳かなことかと感嘆してしまいます。 

ブナの背を頼りに,蔦類が光を得たくてよじ登っています。ブナはちゃんとからだを貸します。枝が傷つけられたり,幹が締め付けられたりしない限り,気持ちよく許しているかのようです。梢近くの枝に,ヤドリギが育っています。鳥が訪れた証拠です。天然林のやさしさが伝わってきます。 

 

厳しい環境を生き抜いたブナにも,いのち果てるときが訪れます。幹の途中からからだを失ったまま立つ姿がありました。強風やら豪雪やら,豪雨やらの力に抗し切れなかったのでしょうか。樹皮がボロボロになっています。ボロボロになりながらも,昆虫や小動物に棲みかを提供します。蔦類の支柱にもなります。 

 

中には,完全にポール状になったものも。 青空に向かって立つ姿は,威風堂々としたものです。穴が無数に開いて,コケ類が生えています。キツツキ類が餌を求めて盛んにやって来た時代があったのでしょうか。

 

枯れゆく幹に,キノコが密生していました。それぞれの植物は,子孫を残す環境があるとみればわずかな空間でも入り込みます。 

 

 

登山道から,森林更新が進行している姿がいくらでも確認できます。ゆっくりゆっくり登る味わいが,こんなところにもあります。