ギフチョウの保護増殖に汗を流していらっしゃるH先生から電話をいただきました。“先生” を付すのは,教育現場での大先輩だからです。もう80代。リタイア後,地域での活動を精力的になさっていて,このギフチョウの取組もその一つなのです。「孵化後,順調の育っているので,見に来て」とのこと。
もちろんのこと,さっそくお訪ねしました。
久しぶりにお出会いするH先生はゆったりとした感じで,ギフチョウに思いを込めながら一途に保護に努めていらっしゃるといったふうに見えました。箱には,食草カンアオイが無造作に置かれ,葉の裏面には幼虫がぎゅうぎゅう。うようよ。結果,ウンコもどっさり。
どんなしくみで,なかまであることを知るのでしょうか。
これらの幼虫が,やがて春の妖精として乱舞するのです。それを思うと,あまりの違いに目をぱちくりしてしまいそう。
H先生から,ミュージアムで展示しないかとの提案をいただきました。カンアオイを与え続けなくてはならないので思案していると,「自生地を教えるから」とおっしゃいました。それで,雑木林に案内していただいたのです。そこにはたくさんのカンアオイが生えていました。わたしにとっては,初めて見る世界でした。自然界でまだ見られるなんて,夢のよう!
あちこちに生えているのでびっくり。
食草がなくなれば,ここに来て採集すれば済みます。これで飼育展示できる見込みがつき,数匹いただきました。1匹が幼虫期に食べる葉は,平均して21枚だそうです。