サルトリイバラはルリタテハの幼虫の食草としてよく知られています。もちろん,単独でこの葉を食べているわけではなく,競合する相手がいます。競合するといっても,葉の数はたっぷりあるので,適当に棲み分けているって感じなのですが。
そんな相手の一つがトガリハチガタハバチの幼虫です。この幼虫は群れをつくって葉を見事なまでに食べていきます。群れを見ると,「こりゃ,なんだー!」と思わず叫びたくなる人もいるでしょう。
食痕を見ると,葉の端から丁寧に食べています。並んでなかよく食べるのですから,当然です。下側に葉には小さな糞がぱらぱら載っています。食痕と糞とでその存在がわかります。
わたしがこの日に見た幼虫は体長が10mm足らずでした。からだにはまだ透明感が残っていて,ひ弱そうな感じがしました。
この直後,スゴイ場面を見ることになりました。別の葉の表面にカメムシがいました。アカサシガメのようです。口吻の先にものが引っ掛かっているように見えたので,よく観察してみました。すると,どうやらトガリハチガタハバチの幼虫らしいのです。それも,ただ吻が引っ掛かっているのではなく,突き刺さっている!
それで,写真に収めて調べることに。結果わかったのは,幼虫のからだから体液がなくなって萎んでしまっていること,体液はサシガメに吸い取られてしまったと想像できること,でした。
こんなに小さな幼虫にも,こんなに大きな天敵がいるのです。クモ程度ならありふれているのでよくわかりますが,カメムシとは! 自然界の厳しい掟です。