ベニシジミとヤマトシジミは,おなじみのシジミチョウです。おなじみというほどに,普段から見かけます。
両者の幼虫は姿は似通っています。シジミチョウらしいというか,ワラジムシに似た格好をしています。生態は,食草をはじめとしていろいろ違っています。
その1つが蜜腺の有無です。幼虫が持つ蜜腺から甘露成分を分泌して,アリを招き,そのことで天敵から身を守っているのだとか。共生関係にあることを物語っています。
このことはヤマトシジミを観察していると,よくわかります。蜜を分泌するあたりに突起が2本あります。それが,出たり入ったり。とても特徴的な動きなので,一度見ると忘れられないでしょう。そこにアリが訪れるのです。
一方,ベニシジミには蜜腺はありません。したがって,アリとの関係はないということになります。
研究者の次の引用文(赤字)からも明らかです。
シジミチョウであるベニシジミには蜜腺が無く,アリはベニシジミ幼虫に出会っても興味を示しません。
しかしこの程,妙な光景を見ました。ベニシジミの幼虫にアリがわんさか。これをどう解釈してよいか,迷います。ヤマトシジミの幼虫と勘違いしているのでしょうか。すこしはお気に入りの分泌物があるのでしょうか。それとも,獲物として捕獲しようとしているのでしょうか。
アリは,ちっとも立ちそろうとする気配を見せません。わたしが指をそっと触れてもそうなのです。
翌朝,同じようにアリたちが群がっていました。幼虫が残した食痕辺りにも興味がありそうです。
翌々日。アリの数こそ減りましたが,いました。やっぱりなにか訳があって訪れているように思えます。横にいる若齢幼虫にも関心がありそう。
自然の解釈は,やはり一筋縄ではいかないようです。通り一遍の見方だけでは,どうも多様性を解釈し切れそうにありません。