私たちの日常の心は知的な部分が働いているに過ぎないと言われます。しかし、リラックスしている時は潜在意識が働くということは、最近では一部の医学者や科学者も言うようになりました。
潜在意識はとても素直で、命じられたことは即、実行します。したがって、指導者が邪悪な心をもっていればいくらでも悪いことを吹き込まれてしまいます。これは実際にカルト集団が台頭し社会問題にもなりました。
怖いのは、この無意識の領域は、その人が、正しい行動をしたり、異常な行動をしたりする根拠になっているということです。唯識でいうアーラヤ識です。
スワミ・サティヤーナンダ老師からこんな話を聞いたことがあります。
ムンゲールという地に最初に落ちついた時、誰かに、テープレコーダーをもらったので、それを使ってある少年に実験をしたそうです。
その少年は、すぐにぐっすり眠ってしまう子で、途中、何をされても全く気づくことがなかったそうです。
それで、老師は、その子が眠りについたとき、『バガヴァッド・ギーター』や他の聖典を録音したテープを少年のそばに置き、英語も流したそうです。そして、約半年それを続けたとか…。
何と、その少年が、後にビハール・スクール・オブ・ヨーガの若き総長になられたニランジャーナンダ師だったのです。私たちが随分前になりますがインドでお会いした方です。
潜在意識に溜め込んだ種によって、環境が変わり、人格をつくり、現在に現れ出るのですね。
『ヨーガ・スートラ』や『バガヴァッド・ギーター』を読んだり、朗唱することは確実に私たちの潜在意識に染みこみますから、少しずつヨーガが分かってくるはずですね。(荻山貴美子)