いつものようにソファに二人で並んで座って
まったりとしていたら
「そう言えば、もうすぐ翔くん誕生日だね?」
ふと思い出したようにそう言ってくる。
「そうなんだよー」
そう言って横にいる智くんの顔を期待しながら見る。
「…何か欲しいものある?」
何か言いたげなのを察したのか、そう恐る恐る聞いてくる。
その言葉に待ってましたとばかりに
「智からの愛情」
即答した。
智くんの誕生日の時に言われた言葉。
ずっと言ってみたかったんだよね。
そう思いながら、一体どんな反応をするんだろうと
ワクワクしながら顔を見る。
「……。」
智くんは無言でちょっと何かを考えているような
表情をしていたが
「分かった」
そう言うと、おもむろに手を差し伸べてくる。
「……?」
意味が分からずその手を見つめまま動けないでいると、
にっこりと笑って左手を掴み、口元へ持っていった。
そしてそのまま左手の甲にそっと口づけをする。
そしてそのまま唇は移動し人差し指の第二関節に、指先に、と
口づけを続ける。
それをただ呆然として見つめていた。
顔が紅潮してくるのを感じながら自分の手が智くんの
唇に触れられるのを見つめる。
そして手に一通り口づけをすると満足したように
その手を元の場所に戻す。
そして目が合うとニコッと笑って両肩を掴んだ。
そのまま体重をかけてきたと思ったらソファに押し倒される。
そして智くんは上に跨るような体勢になった。
そして今度は額に、瞼に、頬に、
そして耳に、首に、
と口づけをゆっくり落としていく。
「あ、あの智くん?」
我慢できなくなって思わず名前を呼ぶと
ゆっくりと唇が離され、その美しい顔を上げた。
そして顔を見つめたかと思ったら
「翔くん、顔真っ赤」
そう言ってクスリと笑った。
そして今度は両手で顔を包み込み、
ゆっくりと顔を近づけてきて唇にチュッとする。
唇はすぐに離され今度は角度を変え
また唇にチュッと触れるだけのキスを、と繰り返す。
「さ、智くん?」
たまらずまた名前を呼ぶと、その動きを止めた。
そして黙ったまま顔を見つめ、
んふふっと妖艶に笑う。
そして緩く口を開くと深いキスをしてきた。
いつもの消極的な彼からは想像もつかない積極的な口づけ。
もうそれだけで、何も考える事ができず、
ただその動きについていこうと必死に追いかける。
そして唇をゆっくりと離すと
「ちょっと早いけど誕生日、おめでとう。
今日は翔くんの好きにしていいんだよ」
そう言ってまた妖艶に微笑んだ。
その表情、言葉に我慢できず
身体を起こすと、ぐるりと体勢を変えるように
智くんを下にし自分が上の体勢になった。
そして少し強引に自分の唇をその唇に押し付けた。
“負けた、完敗だ”
勝ち負けではないけど、やっぱりあなたにはかなわない。
持っていかれる。身も心も何もかも。
どれだけ夢中ににさせたらこの人は気が済むのだろう。
そんな事を考えながら夢中でその人を求めた。