本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

ハレとケ

2017-05-09 21:36:52 | 漢字

先日のお茶のお話で

茶室が晴れであれば水屋はケと、

いうような話でした。

晴れは分かるのですが

晴れ着とか晴れ舞台というように

表向きの、また正式なというような

意味があります。

 

そこで、ケということが気になり

辞書を引くと

難しい「褻」字が出てきました。

この字は衣へんで出てきます。

衣の字の間に埶(ゲイ)という字が

入っています。

 

似たような字では「褒」

ほめるという字があります。

この言葉も衣の間に保が

入った字です。

「裏」という字も同じで

衣と里から出来た字です。

 

衣が入っていることは

やはり着物に関する意味合いが

その成り立ちです。

 

褒めるも、

すそが広い美しい衣ということが

もともとの意味です

そこから、ほめるという意味も

出てきたのです。

 

そこで、

「褻」という字ですけど

読みはセツ、けがれるという意味

身につける、ということが原義で

普段着、肌着の意味です。

そこから、けがれるという意味に

借用した文字になります。

あまり使わない字ですが、

猥褻(わいせつ)

という言葉があります。

 

褻は普段着、

というようなことからすると

晴れということに対して

日常生活、普段の生活という

ことになるのでしょう。

 

だから私たちにとっても

生活の大部分は褻(ケ)の生活です

一定の規則に従った生活が繰り返され

それこそ日常茶飯事です。

 

お茶の世界でも裏方の仕事

ケの仕事がいかに大切か

晴れの世界は本に氷山の一角

水屋にはたくさんの約束事があり

どこに何を置くか

一定の決まりごとがあるのです。

 

客人をお迎えするのに

掃除が第一、

最後い水をまく

水には清めるという意味があり

そのあと、その水が

お客の着物に付かないように

石に撒かれた水で滑らないように

水をふき取っていく

葉っぱに付いた水を一枚一枚

ふき取っていく、

その細かい仕事にケとしての

大切な意味があります。

 

行住坐臥

当たり前の行動を

いかに巧みにこなすか

そのケの世界ができてこそ

晴れ舞台、晴れ姿が活きてくる

ということでしょう。

 

ハレとケ

日常と非日常

大部分は日常の世界

それはだらだらしたことではなく

一体の法則に則った

ある種のルーティンのような

 

イチロー選手の日常を見ると

自分で決めたことを

決められたように日々過ごしていく

そこから

あの偉業が出て来るのでしょう。

 

ルーティンを繰り返す

そこにもケということの

意味があるようにも思います。

 

ケの世界を仏教では

下座行(げざぎょう)と

いうようです。

衣着てお経読むということも

大切なことですが

それ以上に作務ということが

いかに大切な仕事であるか

ということを褻(ケ)ということは

教えているようでもあります。

 

 

 

 

 

 

コメント
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