本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

壺切茶

2017-10-29 17:57:12 | 住職の活動日記

八十八夜で刈り取った荒茶を

壺に入れて夏場涼しいところで

熟成させる

そしてその壺の封を切るのが

11月といわれています。

 

 

散歩道途中の

丸久小山園のショーウィンドーには

もう壺切茶が売り出されています。

 

「ズイズイズッコロバシ

ごまみそズイ、茶壺に追われて

トッピンシャン…」

と子どもの頃よく歌いましたが、

よくよく見るとなんの意味だか

よくわかりません。

宇治から将軍へお茶を献上する

そのお茶壺道中の時の歌のようです

まあ、それほどお茶壺道中とは

権威があったものでしょう。

 

 

ショーウィンドーの上には

「茶は知己に逢って喫す」

とあります。

 

 

添え書きのように

亭主は今日の客のすべてを

知己として歓迎する意、

とあります。

 

一服の茶を通して

亭主と客との心の触れ合いを

表しているのでしょう。

 

禅の言葉には

「酒は知己に逢うて飲む」

という言葉があります。

肝胆相照らすということがあって

酒をのみ、飲むほどに

人生の本当のことを語り合う

飲んでくだを巻くのではなく

お互いの本心で語り合う

 

なかなか、こういうことが

なくなりました。

三浦先生の頃は教えを聞いた後

お酒が出て、そして自分を語る

ということがありました

飲んだ時くらいはめ外して

楽しく飲んではどうか、と

思っていたのですが、

 

今ごろになると

そういう真剣に語ることが少なくなり

淋しい思いもします。

 

また、

「喫茶去」(きっさこ)

という言葉もあります。

「どうぞお茶を召し上がれ」

ということです。

誰に対しても分け隔てなく

平等にお茶をどうぞ、と

この言葉も禅の言葉です。

奥深い意味があるようですが、

お寺では、まず

「喫茶去」です。

お茶をどうぞ召し上がれ

それから

一杯のお茶を味わい

そのお茶によって心もほぐれ

本当の話も出てくるものです。

 

心を込めて入れたお茶

その味を味わい

お互いのことを話し合う

「喫茶」ということも

そういう意味があります。

 

早速、

壺切茶を味わってみたいものです。

 

 

 

 

 

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