本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

調伏とは教育

2023-06-04 20:51:33 | 十地経

「調伏」とは教育

ここを読んだ時ちょっと

不思議な気がしたのです

普通には

「調伏」というと

「調伏護摩」ということが

頭に浮かびます

敵を調伏するというような

意味でいうのですが

 

辞書を見てみると

「調和征伏の意で、

対内的には自己の心身を

制御して悪徳を排する、

対外的には敵意のある者を

教化し悪心を捨てさせ

障害をもたらすものを

撃破することをいう」

とあります。

 

講義では

「調伏ということは、

やっぱり教育ということでは

ないか。

衆生を調えるという意味です

からね、機を調える。

真理に相応するように

衆生を調えていく。」

 

という短い言葉です

そういうことから思うと

「如来の十号」

ということがあって

如来のはたらきを表すのに

十の名前でもって表現して

いるのです

その中に、

「調御丈夫」

(じょうごじょうぶ)と、

読みますが、

衆生をよく調伏制御して

涅槃に導く者、

という意味です

まあ、チャリオット

御者という意味でしょう

 

こういうことから

思い出すのは

師匠を見ていると

まさにいうことを聞かない

猛獣たちを制御しながら

導いていくようなもの

のようにも思えてきます。

 

高校を卒業して

東寺にお世話になったとき

何も分からない私たちを

厳しくも根気よく指導して

頂いたように思うのです

 

私にとっては師匠の言葉は

難しいもので

言えば勝手に理解するし

言わなきゃ、なお分からない

師匠も本当に困られたと

思うのです

それまで、

洗濯も掃除も炊事も

したことのない私に

手取り足取り

それは大変だっと思います

 

風呂も檜の風呂で

掃除もタオルでぬめりを取り

入るのも

寒い日でも入る前に体を洗い

入った後は湯舟を一杯に

するという

そうすると次の人も

きれいな風呂に入れると

なにせ15人ほど

入るのですから

 

そのように何から何まで

僕のようなわけの分からない

弟子たちを導くのですから

それは大変だっと思います

今頃になって

やっと気がつくのです。

 

まあその当時は大変でした

米のとぎ方、出汁の取り方

お櫃の使い方、茶碗の洗い方

今頃になって

やっと師匠のご苦労が

分かるのです

それはまさしく「調伏」、

「調御丈夫」です

如来の十号という

他人事の話でなく

人を教育するということが

こういうことなのでしょう

 

そういうことからすると

お母さんはの仕事は

調御丈夫というハタラキです

ですから

仏さんといっても

あのような

仏像があるのではなく

仏とはハタラキそのもの

なんだろうと思います

 

こういう「調伏」という

こと一つとっても

考え直してみると

新たな一面というか

本当のことが見えてくる

ようです。

 

 

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「何等の乗に置くとは」 | トップ | 吉野・金峯山寺 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

十地経」カテゴリの最新記事