8時間寝て朝5時に起きたワタシの体力は、映画を1本観てもまだまだバッテリーは満タンで、返却日も迫っているし、外は風台風だし…ってんで映画再生2本目に入りました。
2本目の映画は『For The Boys』
公開は1991年、ワタシは当時銀座で働く29才独身。
この映画を観た時のシチュエーションは今でもくっきり覚えています。
銀座の映画館に普段だったら絶対にご一緒しないであろう職場の先輩(女性)と2人で観に行きました。
タイトルの『For The Boys』は直訳の「男の子たちへ」というよりは『兵士たちへ』という方が正しいでしょう。
部隊慰問を生業とした女性ディクシーと、その相棒エディの友情とも憎しみとも腐れ縁とも…そんなお話です。
この手のお話、ワタシは絶対に好き、それは幼い頃に観た『New York,New York』と背景がダブルから。
なので映画公開を待って銀座の映画館へ行ったんでした。
エディは人気のあるスタンダップコメディアン。
戦時下にある(っていうかアメリカは四六時中戦争中だが)この時代は、主に部隊へ慰問に行き、兵士たちを癒しています。
ある日、エディ一座の歌い手が欠員になり、エディの台本を書いているアートおじさんの紹介で姪っ子のディクシーが急きょ駆り出されることになりました。
歌には自信のあるディクシー。
でも歌の前にはエディと軽く漫談(のような掛け合い)をしなければならず、「そんなの無理!」と尻込みしてしまう。
「無理よ、無理!」
「台本があるから大丈夫だって!」
「無理よ、覚えられないわ!」
ステージ上では、ミニスカートのかわい子ちゃん
お色気アクロバットダンスで兵士たちを喜ばせます。
いよいよディクシーの出番です。
台本が覚えられないと舞台袖ではビビっていたディクシー。
実際はアドリブでエディと軽妙な掛け合いをしちゃうの。
男たちが喜ぶような下ネタをぶっこむ機転もあり、ヤンヤの拍手をもらいます。
少しあきれ顔のエディ。
というか、ペースが彼女主導なことにムカついてる?
それでもこの日、この部隊を制圧したのは他ならぬディクシーね。
ここで歌う「P.S.I Love You(ビリー・ホリデイ)」の素敵なこと!
戦で疲れた男たちの心のスポンジに水がしみていきます。(もちろんワタシの心にも)
電力の供給が不安定な戦地で突如停電が起こっても、ディクシーはアカペラで兵士たちに歌を語ります。
そうか、部隊には負傷兵もいるんだもんね。
手を差し伸べ、優しく微笑み、P.S.I Love You~
兵士たちは称賛の証としてディクシーを自分の懐中電灯で照らすのです。
歌い終わるとまたこの感じ。
カッコいい。
あぁーもうワタシ、ディクシーが大好き
決して美人ではないのだけど、垢抜けない美しさというかな…こういう野暮ったい女性がさなぎから蝶になる映画が大好きです。
(プリティウーマンの前半の、拍手に品のないジュリア・ロバーツとか)
おしゃべりは皮肉っぽくお下劣でも、歌になると圧巻。
なんてカッコいいのかしら。
ところがステージが終わり、エディはカンカン
「品がなさすぎる!俺はそういう会話は好かん!」
しかし、結局はアドリブセンスと歌唱力のあるディクシーを切ることはできず、2人は名コンビとして人気を博していくのです。
この物語は、恋人や不倫を描いた映画ではありません。
生涯を慰問に捧げた男女のショービスの世界と、そこにからむ戦争の悲惨さ、そして晩年。
そんな映画です。
しかし歴史を振り返ると、アメリカは本当に四六時中戦争をしている国です。
第二次世界大戦が終わり、次は朝鮮戦争。
エディとディクシーは、ある時は砂漠の国にも慰問に行きました。
詳しくは書きません。
色々あって、もう慰問の旅はしないと決めたディクシーなのだけど、愛する息子に会えるならとベトナムの地へ、これが最後と決めて赴きます。
ベトナムの兵士たちは、これまでの兵士の秩序と違ってすごく荒んでいました。
ダンサーの可愛い子ちゃんに近づき、腕をつかみ、自らの腰を振り、ダンサーが恐怖を感じるほど大勢で取り囲んだり、
もう十分おばちゃんの(だって部隊キャプテンでもある息子の母だからね)お話にも耳を貸さず、
「いいからおっぱい見せろよ~」みたいな
ベトナム戦争を題材にした映画はアメリカでたくさん作られているけれど、確かにこれまでの戦争と違って、兵士たちの精神的苦痛がすごかったり、戦争後遺症が大きかったということを聞きますよね。
それはベトコンとの戦いの恐怖。
そして、ベトナムの地を借りた代理戦争のようなことだからでしょうか。
戦争を正当化するわけじゃないけれど、これまで(の戦争)がアメリカの正義に基づくものだとしたら、ベトナム戦争だけは兵士たちも納得がいかぬまま駆り出され、罪のないベトナム人を殺戮し、戦わなければならなかった矛盾が、そこにいる荒んだ兵士たちに見て取れました。
それは怖くて、悲しいシーンでした。
「おっぱいとか言ってないで、黙れ。ここまでプライドのない兵士は初めて見たよ」
言葉選びは荒いけど、ディクシーはそんな彼らの心にも水を与えようと頑張るのです。
ここで歌う「In My Life(ビートルズ)」。
すーーーーっごく、沁みますよ~
1991年以降、ワタシはThe Beatlesの曲では「In My Life」が一番好きになりました。
決定されました(笑)
この映画でワタシの毛細血管の隅までこの曲が沁み、このイントロが流れるだけで、ここベトナムのこのシーンが浮かび、涙腺が壊れるのがわかるようになりました。
ワタシはここから最後までずっと泣きどおしでした。
“In my life I love you more…(この人生の中で僕はあなたのことをもっと愛していこう)”
ディクシーの歌声に秩序や誇り、国で待つ家族を思い出し、ピースをする兵士たち。
「戦争を終えて、俺たちは必ず帰るんだ」
そんなシーン。
(と考えるとほんのり反戦映画のような気もします)
息子とのつかの間の貴重な時間。
「つらければ帰れるようにしてあげる。エディは国にも口がきけるわ」
母としては当然の思いです。
でも「何言ってるんだ、ママ。僕はキャプテンなんだぜ」と息子。
精神を病む兵士が多く、この戦争がいかに悲惨かを語る貴重なシーンです。
ここから最後まで、もうね、ワタシ29歳当時、声をあげて泣いてしまって(笑)、ヒックヒックうぇうぇっと声が漏れてしまって、先輩に背中をさすってもらいながら観たんですよ。
(だからよく覚えているんです)
20数年ぶりに見直した今回は、1991年の時ほど泣きはしなかったけど、後半はずっと悲しく、そして老女になったディクシーの姿が自分もそこに近づいているのを思うと、ディクシーの生涯は、エディの生涯は幸せだったんだろうか?と自問自答の心境になりました。
きっと幸せだったんだよな。
そうでなければ悲しすぎる。
たくさんの兵士に癒しという水を与え、それは選ばれし2人だからできたことで、その生涯は崇高であったと思います。
このブログをビリー・ホリデイの「P.S.I Love You」をリピート聞きしながら書きました。
秋の夜長のメロウなジャズの心地よさ。
ベット・ミドラーはライザ・ミネリの力強さ・華やかさとはまた違い、本当にこちらの心が震えるような語りのできる歌い手です。
どちらも甲乙はつけがたいけれど、どちらかと言えばワタシはベット・ミドラーのようなフラダンサーになりたい。
そうそう、もうひとり、バーブラ・ストライサンドも好きだったな。
この3人からしたらマンマ・ミーアのメリル・ストリープなんて到底ミュージカル女優ではないですわよ。
(もうすぐ観に行きますけれど)
『For The Boys』・・・やっぱりワタシの一番好きな映画は今のところこれです。
アカデミー賞にはご縁がなかったらしいけれど、ワタシにとっては何度でも観たくなり、何度でも泣ける大切な映画だってことがわかりました。
アンケートに書くことがあったら(ないんだけれど)この映画をワタシは書きますっ!
あぁ!次はベット・ミドラーの『ステラ』を観よう。
観たか観てないか、お話の内容ももう覚えてないんだもん!
2本目の映画は『For The Boys』
公開は1991年、ワタシは当時銀座で働く29才独身。
この映画を観た時のシチュエーションは今でもくっきり覚えています。
銀座の映画館に普段だったら絶対にご一緒しないであろう職場の先輩(女性)と2人で観に行きました。
タイトルの『For The Boys』は直訳の「男の子たちへ」というよりは『兵士たちへ』という方が正しいでしょう。
部隊慰問を生業とした女性ディクシーと、その相棒エディの友情とも憎しみとも腐れ縁とも…そんなお話です。
この手のお話、ワタシは絶対に好き、それは幼い頃に観た『New York,New York』と背景がダブルから。
なので映画公開を待って銀座の映画館へ行ったんでした。
エディは人気のあるスタンダップコメディアン。
戦時下にある(っていうかアメリカは四六時中戦争中だが)この時代は、主に部隊へ慰問に行き、兵士たちを癒しています。
ある日、エディ一座の歌い手が欠員になり、エディの台本を書いているアートおじさんの紹介で姪っ子のディクシーが急きょ駆り出されることになりました。
歌には自信のあるディクシー。
でも歌の前にはエディと軽く漫談(のような掛け合い)をしなければならず、「そんなの無理!」と尻込みしてしまう。
「無理よ、無理!」
「台本があるから大丈夫だって!」
「無理よ、覚えられないわ!」
ステージ上では、ミニスカートのかわい子ちゃん
お色気アクロバットダンスで兵士たちを喜ばせます。
いよいよディクシーの出番です。
台本が覚えられないと舞台袖ではビビっていたディクシー。
実際はアドリブでエディと軽妙な掛け合いをしちゃうの。
男たちが喜ぶような下ネタをぶっこむ機転もあり、ヤンヤの拍手をもらいます。
少しあきれ顔のエディ。
というか、ペースが彼女主導なことにムカついてる?
それでもこの日、この部隊を制圧したのは他ならぬディクシーね。
ここで歌う「P.S.I Love You(ビリー・ホリデイ)」の素敵なこと!
戦で疲れた男たちの心のスポンジに水がしみていきます。(もちろんワタシの心にも)
電力の供給が不安定な戦地で突如停電が起こっても、ディクシーはアカペラで兵士たちに歌を語ります。
そうか、部隊には負傷兵もいるんだもんね。
手を差し伸べ、優しく微笑み、P.S.I Love You~
兵士たちは称賛の証としてディクシーを自分の懐中電灯で照らすのです。
歌い終わるとまたこの感じ。
カッコいい。
あぁーもうワタシ、ディクシーが大好き
決して美人ではないのだけど、垢抜けない美しさというかな…こういう野暮ったい女性がさなぎから蝶になる映画が大好きです。
(プリティウーマンの前半の、拍手に品のないジュリア・ロバーツとか)
おしゃべりは皮肉っぽくお下劣でも、歌になると圧巻。
なんてカッコいいのかしら。
ところがステージが終わり、エディはカンカン
「品がなさすぎる!俺はそういう会話は好かん!」
しかし、結局はアドリブセンスと歌唱力のあるディクシーを切ることはできず、2人は名コンビとして人気を博していくのです。
この物語は、恋人や不倫を描いた映画ではありません。
生涯を慰問に捧げた男女のショービスの世界と、そこにからむ戦争の悲惨さ、そして晩年。
そんな映画です。
しかし歴史を振り返ると、アメリカは本当に四六時中戦争をしている国です。
第二次世界大戦が終わり、次は朝鮮戦争。
エディとディクシーは、ある時は砂漠の国にも慰問に行きました。
詳しくは書きません。
色々あって、もう慰問の旅はしないと決めたディクシーなのだけど、愛する息子に会えるならとベトナムの地へ、これが最後と決めて赴きます。
ベトナムの兵士たちは、これまでの兵士の秩序と違ってすごく荒んでいました。
ダンサーの可愛い子ちゃんに近づき、腕をつかみ、自らの腰を振り、ダンサーが恐怖を感じるほど大勢で取り囲んだり、
もう十分おばちゃんの(だって部隊キャプテンでもある息子の母だからね)お話にも耳を貸さず、
「いいからおっぱい見せろよ~」みたいな
ベトナム戦争を題材にした映画はアメリカでたくさん作られているけれど、確かにこれまでの戦争と違って、兵士たちの精神的苦痛がすごかったり、戦争後遺症が大きかったということを聞きますよね。
それはベトコンとの戦いの恐怖。
そして、ベトナムの地を借りた代理戦争のようなことだからでしょうか。
戦争を正当化するわけじゃないけれど、これまで(の戦争)がアメリカの正義に基づくものだとしたら、ベトナム戦争だけは兵士たちも納得がいかぬまま駆り出され、罪のないベトナム人を殺戮し、戦わなければならなかった矛盾が、そこにいる荒んだ兵士たちに見て取れました。
それは怖くて、悲しいシーンでした。
「おっぱいとか言ってないで、黙れ。ここまでプライドのない兵士は初めて見たよ」
言葉選びは荒いけど、ディクシーはそんな彼らの心にも水を与えようと頑張るのです。
ここで歌う「In My Life(ビートルズ)」。
すーーーーっごく、沁みますよ~
1991年以降、ワタシはThe Beatlesの曲では「In My Life」が一番好きになりました。
決定されました(笑)
この映画でワタシの毛細血管の隅までこの曲が沁み、このイントロが流れるだけで、ここベトナムのこのシーンが浮かび、涙腺が壊れるのがわかるようになりました。
ワタシはここから最後までずっと泣きどおしでした。
“In my life I love you more…(この人生の中で僕はあなたのことをもっと愛していこう)”
ディクシーの歌声に秩序や誇り、国で待つ家族を思い出し、ピースをする兵士たち。
「戦争を終えて、俺たちは必ず帰るんだ」
そんなシーン。
(と考えるとほんのり反戦映画のような気もします)
息子とのつかの間の貴重な時間。
「つらければ帰れるようにしてあげる。エディは国にも口がきけるわ」
母としては当然の思いです。
でも「何言ってるんだ、ママ。僕はキャプテンなんだぜ」と息子。
精神を病む兵士が多く、この戦争がいかに悲惨かを語る貴重なシーンです。
ここから最後まで、もうね、ワタシ29歳当時、声をあげて泣いてしまって(笑)、ヒックヒックうぇうぇっと声が漏れてしまって、先輩に背中をさすってもらいながら観たんですよ。
(だからよく覚えているんです)
20数年ぶりに見直した今回は、1991年の時ほど泣きはしなかったけど、後半はずっと悲しく、そして老女になったディクシーの姿が自分もそこに近づいているのを思うと、ディクシーの生涯は、エディの生涯は幸せだったんだろうか?と自問自答の心境になりました。
きっと幸せだったんだよな。
そうでなければ悲しすぎる。
たくさんの兵士に癒しという水を与え、それは選ばれし2人だからできたことで、その生涯は崇高であったと思います。
このブログをビリー・ホリデイの「P.S.I Love You」をリピート聞きしながら書きました。
秋の夜長のメロウなジャズの心地よさ。
ベット・ミドラーはライザ・ミネリの力強さ・華やかさとはまた違い、本当にこちらの心が震えるような語りのできる歌い手です。
どちらも甲乙はつけがたいけれど、どちらかと言えばワタシはベット・ミドラーのようなフラダンサーになりたい。
そうそう、もうひとり、バーブラ・ストライサンドも好きだったな。
この3人からしたらマンマ・ミーアのメリル・ストリープなんて到底ミュージカル女優ではないですわよ。
(もうすぐ観に行きますけれど)
『For The Boys』・・・やっぱりワタシの一番好きな映画は今のところこれです。
アカデミー賞にはご縁がなかったらしいけれど、ワタシにとっては何度でも観たくなり、何度でも泣ける大切な映画だってことがわかりました。
アンケートに書くことがあったら(ないんだけれど)この映画をワタシは書きますっ!
あぁ!次はベット・ミドラーの『ステラ』を観よう。
観たか観てないか、お話の内容ももう覚えてないんだもん!
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