鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.138 (地域をかえる「つながる力」~かがやく最期を迎えるために~)

2013-07-16 17:18:02 | 日記


昨日(7月25日)13:30~、からだ館とほたる主催の市民向け勉強会が行われま
したので報告します。
http://karadakan.jp/2013/07/post_321.html

今回は、講師にNHK 『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも紹介された、市ヶ
谷のマリア・テレサ、こと秋山正子氏をお迎えし、『地域をかえる「つながる力」~
かがやく最期を迎えるために~』と題した講演を拝聴しました。

その人らしく、輝く最期を迎えるために奮闘するカリスマ訪問看護師のプロフェッ
ショナルな仕事ぶりを学びました。大量死時代を迎え、End of Life Careの質が
問われる今の時代、どう死を迎えるべきか、市民にとっても、われわれ医療者に
とっても、大変教訓的な講演だったと思います。

講演のなかで、NHK 『プロフェッショナル 仕事の流儀』で放映された動画が紹
介されました。在宅の現場で先生がどのような想いで活動をしているのか、先生
の訪問看護師としての仕事のプロフェッショナルぶりがよく分かります。

プロフェッショナルとは、目の前に委ねられた人々に対して最善を尽くして自分
の与えられた使命を果たしていく。そして限界を知りながらそこを越えられるチャ
ンレンジをする。それがプロフェッショナルだと思います。(秋山正子)

http://www.nhk.or.jp/professional/2010/0316/

you tubeでもみれるようです。

http://jp.channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ref=em_over&ch_userid=fx_keaton&prgid=37380824

■パネルディスカッション
後半は「地域をかえる つながる力」をテーマに、秋山正子氏(訪問看護師)、
中村秀幸氏(医師)、原田真弓氏(鶴岡市)、秋山美紀氏(からだ館)の4名の
パネラーによるパネルディスカッションが、武林亨先生コーディネートのもとに
行われました。

パネルでは、各パネリストから趣味、生きがい、最期の幕引きをどう迎えたいか
などに答えるかたちでの自己紹介のあと、2つの事例が報告され、フロアーを交
えてディスカッションしました。

事例1:中村先生が主治医として看取ったがん患者の1例

Net4Uを有効に活用した事例。今回の発表のあたり、150に及ぶNet4U上でのやり
取りを振り返って改めてそれぞれの役割を認識できた。

Net4Uについては、お互いの思いがリアルタイムにわかるだけでなく、記録に残
せることで振り返りができることが素晴らしいと、秋山正子さんからもコメント
を頂いた。

病院緩和専門医からの発言として、困った時はNet4Uは勿論、 電話をしたり一緒
に訪問をしたりしている。患者は病院と繋がっていることで安心を得ていること
も多いので、病院の医師が退院後も、患者のところに行くことが 安心して自宅
で過ごせることに役立っていると思う

秋山美紀さん
 自宅の力はすごいと感じた。とくに、患者さんの孫の存在が生きがいのひとつ
 になっていることがよく分かった。 役割を果たせることで人は輝やける。

事例2 原田さん(鶴岡市健康課課長)

庄内で死亡数が多いのは肺がん、肺がんは罹患すると死亡率が高い
要介護認定者 8454人 年々増加傾向
7軒に1軒は高齢者世帯 独居が1.1倍

鶴岡市では、以下を重点的に取り組んでいる。
・がん精密検査受診率の向上
・職場のがん検診受診率の向上と受動喫煙の防止
・グループ育成 生活習慣病予防
・高齢者の介護予防実践

困難事例を地域疱支援センター、行政、住民などが連携した地域ケアネットワー
クで対応したという成功事例の報告

ディスカッション
 鶴岡の人の優しさがよく分かった。
 より多くの人たちが関わることが必要
 本心を表出してくれるようになったプロセスが大事
 生活を知っている お付き合い~ 信頼関係 があるとうまくいくことが多い
 自分の気持ちを書く力
 独居 : 聞き 書き ボランティア 文章に残す 後で家族がほっとする
 鶴岡に足りないのはボランティア
 これからは、共助と互助を繋ぐ仕掛けが必要

最後に私の方から閉めの挨拶をしました。(以下その概要)

 肺がんの妻を在宅で看取った体験談を話したあと、以下を話しました。

 施設に入ることは、本人が本当に望んだことなのだろうか。そこにはプライバ
シーはないし、これまで頑張ってきた人たちが最期を迎える場所として適切なの
だろうか。そこで亡くなることが、本人はほんとに幸せだと思っているのだろう
か。施設は、例えば、震災時の避難所や仮設住宅と似たような場所ではないだろ
うか。仮設住宅に居る人たちは、いずれは家へ帰りたいと思っていると同じよう
に、施設にいる人たちも、本当は家に帰りたいんじゃないだろうか。

 われわれは、輝く最期を迎えることができるよう、市民と一緒に努力していき
たいと考えている。市民の皆さんには、死を自分のことと考え、最期をどう迎え
たいのか家族で話し合って欲しい。また、互助という話があったが、これからの
高齢化社会は、共助、公助など行政のサービスだけでは不十分であり、お隣同士
の助け合い、ボランティ―の力が必要となる。その方面でのご協力もお願いした
い。

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