鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.471(口腔ケアに関する講演会)

2015-02-19 17:22:34 | 日記
前のメールでも書きましたが、「口腔ケア」は在宅医療を担う医師にとって必須
の知識です。

例えば、

“毎日朝晩歯を磨く”、“口の中を清潔に保つ”こうした基本的な口のケアが、
糖尿病、腎臓病、心筋梗塞、さらには認知症など全身の疾病に深く関係している
ことが、最新の研究で明らかになってきました。

また、ガンなどの手術の前後に口腔ケアを行うと、副作用や合併症を減らし入院
日数も短縮、医療費抑制の効果が大きいこともわかってきました。

さらに、要介護の高齢者に口腔ケアを継続して行うと、“食べる機能”を回復で
き、栄養状態が改善することで起き上がれるようになった、認知機能が上がった
という報告も相次ぎ、口腔ケアは、健康長寿を伸ばす鍵として注目を集めていま
ます。

しかし、病院と歯科医との連携が進まない、在宅の高齢者の訪問診療が広がらな
いなど、課題は山積しています。継続的に口腔ケアを実践し、健康寿命を延ばす
体制をどうつくるか、今後の大きな課題です。

そこで、在宅医療を考える会では、口腔ケアで高名な日本歯科大学教授 口腔リ
ハビリテーション多摩クリニック院長 菊谷 武先生をお招きした、講演会を2月
22日に予定しています。この機会に、是非、口腔ケアの最新の知見を学んでみま
せんか。

多くの会員の参加をお待ちします。

日 時:平成27年2月22日(日)13:30~16:30
場 所:鶴岡市先端研究産業支援センター(鶴岡メタボロームキャンパス)
   レクチャーホール


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平成 26 年度 第 3 回 南庄内在宅医療を考える会開催のご案内
南庄内在宅医療を考える会
世話人:石橋学、土田兼史、中村秀幸、三原一郎

今年度3回目の「南庄内在宅医療を考える会」のご案内を差し上げます。

当地域においても、特に高齢者在宅医療においては不可欠な「口腔ケア」を含む
摂食・嚥下に関する知識がまだまだ十分ではなく、それらについて学ぶ場もだい
ぶ増えては来ているものの、もっと知識が必要とのニーズがあります。そのよう
な背景もあり、この分野においてご活躍中の日本歯科大学教授 口腔リハビリテー
ション多摩クリニック院長 菊谷 武先生をお招きしご講演を賜ることとしました。

テーマ 「在宅で“食べる”をささえるということ」

菊谷先生は以前にも歯科医師会でお招きしたこともあり、その際の講演内容は、
“目から鱗”のわくわくするものでした。今回は、歯科口腔ケアの重要性を多く
の方々に知っていただくために、医師、歯科医師をはじめとする医療職のみなら
ず、介護職など多職種を対象とする研修会形式の企画としました。
ぜひ、多くの皆様の参加をお待ちいたします。



日 時:平成27年2月22日(日)13:30~16:30

場 所:鶴岡市先端研究産業支援センター(鶴岡メタボロームキャンパス)
レクチャーホール(住所:鶴岡市覚岸寺字水上246-2 TEL:0235-29-1620)

対 象:医療、介護、福祉従事者、その他興味のある方どなたでも

主催 南庄内在宅医療を考える会
共催 鶴岡地区医師会 地域医療連携室ほたる.
庄内プロジェクト ,地域連携ワーキンググループ,鶴岡市(予定)

菊谷先生が出演したクローズアップ現代
長寿の鍵は「口」あり ~口腔ケア最前線~


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No.470(庄内プロジェクト スキルアップ研修会)

2015-02-19 09:27:57 | 日記
昨晩(2月18日)は、庄内プロジェクトの医療者教育WGの活動の一環として年4回行われているスキルアップ研修会の最終回でした。

 *庄内プロジェクト
   南庄内緩和ケア推進協議会が取り組む鶴岡・三川地区の緩和ケア普及のためのプロジェクト


今回は、介護支援専門員を対象とした「他職種連携への意識」に関するアンケート調査の報告があり、次いで、湯田川温泉リハビリテーション病院における口腔ケアの取り組みについての講演がありました。


湯田川温泉リハビリテーション病院が取り組んだ口腔ケアは、まずは、患者に関わるスタッフ全員が口腔ケアを実習を通して学び、次いで観察と評価を行うためのアセスメントシートを作成し、全での患者さんを対象に口腔アセスメント~ケアを行い、さらには週1回の口腔ケアラウンドで評価するというもので、まさにPDCAサイクルの実践でもありました。

臨床研究としては、100名の患者さんを4か月フォローしたところ、すべての観察項目(口腔乾燥、出血・腫張、歯石・プラーク、分泌物付着、舌苔、口臭)で右肩下がりで(やればやるほど)改善がみられたとのことでした。また、口腔ケアの導入で、ほとんど話をしなかった患者さんがコミュニケーションができるようになった、表情が明るくなった、食べなかった人が摂取可能となったなど、大きな成果がみられたとのことでした。

このような取り組みは、病棟一丸とならなければ実現できません。可能としたのは、多分、演者の熱意とリーダーシップが大きかったのではないかと思っていますが、院長をはじめ病院全体の高い志も、このような取り組みを実現できた要因だったのだろうと感じました。また、阿部先生をはじめ歯科の先生や歯科衛生士の皆さんの熱心な指導も励みになったのだと思います。

口腔ケア、恐るべし!と感じた講演でした。今後は、口腔ケアを病院全体、地域全体に当たり前のこととして普及していかなければなりません。今回の湯田川温泉リハビリテーション病院の取り組みがその契機、また原動力になることを期待したいと思います。

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庄内プロジェクト スキルアップ研修会
平成27年2月18日 18:30~
荘内病院 講堂
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配布資料

以下、講演メモ。

患者さんの笑顔に繋げる口腔ケア
湯田川温泉リハ病院 看護師 斎藤 千鶴 氏

病棟における口腔ケアの取り組み
口腔ケアが患者さんの笑顔へ繋がった

湯田川温泉リハ病院の紹介
 入院患者の80歳以上が60%以上
病棟独自の口腔ケアシステム
病棟全職員へのアンケートで口腔ケアできていない:62%
理由:
 時間がない、
 あきらかな異常以外、分からない
 拒否する患者がいる
 口腔ケアに対する意識が低い
対策
 1)実習を含む研修会
 2)アセスメントシート
 3)口腔ケアラウンドによる評価
高齢者の特徴
 1)唾液の減少 乾燥
 2)十分に磨けない
 3)咀嚼・嚥下機能低下
アセスメントシートにおける観察項目
 口腔内乾燥
 出血・腫張
 歯石・プラーク
 分泌物付着
 舌苔
 口臭
介護レベルによるケア
 全介助レベル
  セミファーラー位、必要なら吸入を行いながらブラッシング、洗滌吸引、保湿剤塗布
 一部介助レベル
  セルフケア、磨き残しの確認、あれば再ブラッシング、義歯はブラッシングのみ、就寝以外は義歯装着
 自立レベル
  グループで研修会、口の働き、細菌と誤嚥性肺炎、嚥下体操、ブラッシング指導
困難事例の紹介

口腔ケアラウンド
 週2回、ケアプランの再検討
 伝達ノートで共有

データ解析
 入院患者:100名
 すべての項目で右肩下がりで改善

症例1
 ほとんど傾眠 → 話せるようになった

症例2
 開口しない 信頼関係を築くことで改善、経口摂取可能となった

症例3
 精神疾患あり、3食胃ろう注入、口腔ケアの実施で食べることが可能になった

取り組み2か月後、アンケート「口腔ケアできているか?」 86%が出来ていると答えた。

個別ケアプランを立案し適切なケアを行う。
口腔ケアは、口腔の清潔のみならず以下の効果があった=QOLの向上
 生活にメリハリができ、生活リズムを獲得できた
 味覚がはっきりし、美味しいと喜んで食べるようになった
 痰などの分泌物が減少することで吸引回数が減った


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