鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.138 (地域をかえる「つながる力」~かがやく最期を迎えるために~)

2013-07-16 17:18:02 | 日記


昨日(7月25日)13:30~、からだ館とほたる主催の市民向け勉強会が行われま
したので報告します。
http://karadakan.jp/2013/07/post_321.html

今回は、講師にNHK 『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも紹介された、市ヶ
谷のマリア・テレサ、こと秋山正子氏をお迎えし、『地域をかえる「つながる力」~
かがやく最期を迎えるために~』と題した講演を拝聴しました。

その人らしく、輝く最期を迎えるために奮闘するカリスマ訪問看護師のプロフェッ
ショナルな仕事ぶりを学びました。大量死時代を迎え、End of Life Careの質が
問われる今の時代、どう死を迎えるべきか、市民にとっても、われわれ医療者に
とっても、大変教訓的な講演だったと思います。

講演のなかで、NHK 『プロフェッショナル 仕事の流儀』で放映された動画が紹
介されました。在宅の現場で先生がどのような想いで活動をしているのか、先生
の訪問看護師としての仕事のプロフェッショナルぶりがよく分かります。

プロフェッショナルとは、目の前に委ねられた人々に対して最善を尽くして自分
の与えられた使命を果たしていく。そして限界を知りながらそこを越えられるチャ
ンレンジをする。それがプロフェッショナルだと思います。(秋山正子)

http://www.nhk.or.jp/professional/2010/0316/

you tubeでもみれるようです。

http://jp.channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ref=em_over&ch_userid=fx_keaton&prgid=37380824

■パネルディスカッション
後半は「地域をかえる つながる力」をテーマに、秋山正子氏(訪問看護師)、
中村秀幸氏(医師)、原田真弓氏(鶴岡市)、秋山美紀氏(からだ館)の4名の
パネラーによるパネルディスカッションが、武林亨先生コーディネートのもとに
行われました。

パネルでは、各パネリストから趣味、生きがい、最期の幕引きをどう迎えたいか
などに答えるかたちでの自己紹介のあと、2つの事例が報告され、フロアーを交
えてディスカッションしました。

事例1:中村先生が主治医として看取ったがん患者の1例

Net4Uを有効に活用した事例。今回の発表のあたり、150に及ぶNet4U上でのやり
取りを振り返って改めてそれぞれの役割を認識できた。

Net4Uについては、お互いの思いがリアルタイムにわかるだけでなく、記録に残
せることで振り返りができることが素晴らしいと、秋山正子さんからもコメント
を頂いた。

病院緩和専門医からの発言として、困った時はNet4Uは勿論、 電話をしたり一緒
に訪問をしたりしている。患者は病院と繋がっていることで安心を得ていること
も多いので、病院の医師が退院後も、患者のところに行くことが 安心して自宅
で過ごせることに役立っていると思う

秋山美紀さん
 自宅の力はすごいと感じた。とくに、患者さんの孫の存在が生きがいのひとつ
 になっていることがよく分かった。 役割を果たせることで人は輝やける。

事例2 原田さん(鶴岡市健康課課長)

庄内で死亡数が多いのは肺がん、肺がんは罹患すると死亡率が高い
要介護認定者 8454人 年々増加傾向
7軒に1軒は高齢者世帯 独居が1.1倍

鶴岡市では、以下を重点的に取り組んでいる。
・がん精密検査受診率の向上
・職場のがん検診受診率の向上と受動喫煙の防止
・グループ育成 生活習慣病予防
・高齢者の介護予防実践

困難事例を地域疱支援センター、行政、住民などが連携した地域ケアネットワー
クで対応したという成功事例の報告

ディスカッション
 鶴岡の人の優しさがよく分かった。
 より多くの人たちが関わることが必要
 本心を表出してくれるようになったプロセスが大事
 生活を知っている お付き合い~ 信頼関係 があるとうまくいくことが多い
 自分の気持ちを書く力
 独居 : 聞き 書き ボランティア 文章に残す 後で家族がほっとする
 鶴岡に足りないのはボランティア
 これからは、共助と互助を繋ぐ仕掛けが必要

最後に私の方から閉めの挨拶をしました。(以下その概要)

 肺がんの妻を在宅で看取った体験談を話したあと、以下を話しました。

 施設に入ることは、本人が本当に望んだことなのだろうか。そこにはプライバ
シーはないし、これまで頑張ってきた人たちが最期を迎える場所として適切なの
だろうか。そこで亡くなることが、本人はほんとに幸せだと思っているのだろう
か。施設は、例えば、震災時の避難所や仮設住宅と似たような場所ではないだろ
うか。仮設住宅に居る人たちは、いずれは家へ帰りたいと思っていると同じよう
に、施設にいる人たちも、本当は家に帰りたいんじゃないだろうか。

 われわれは、輝く最期を迎えることができるよう、市民と一緒に努力していき
たいと考えている。市民の皆さんには、死を自分のことと考え、最期をどう迎え
たいのか家族で話し合って欲しい。また、互助という話があったが、これからの
高齢化社会は、共助、公助など行政のサービスだけでは不十分であり、お隣同士
の助け合い、ボランティ―の力が必要となる。その方面でのご協力もお願いした
い。

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No.137 (5大がん個別パス委員会)

2013-07-12 10:26:36 | 日記
昨晩(7月11日)、荘内病院で5大がん個別パス委員会を行いました。
以下報告します。

1、運用状況報告

 24年4月現在のパス登録:40例
  胃:23、肺:5、乳:2、大腸:10

2、県のがん診療連携協議会地域連携パス部会報告

昨日は、山大で県全体の会議も行われ、当地区からも数名が参加し、パスの改定
などについて当地区からの要望を提案してきたそうです。

県全体での運用症例数;368
施設別
県中:52、山大:81、済生館:8、新庄:21、置賜:65、日本海:94、荘内:37
臓器別
肺:41、胃:125、肝:22、大腸:73、乳:97

5大がんパスのそれぞれの今後の方向性
 (県のがん診療連携協議会地域連携パス部会での話合いから)

・胃がん、
 運用の自由度を拡大する
 たとえば、現在のパスは退院後、3か月後に手術病院あるいはかかりつけ機関
 に受診となっているが、それ以前でも受診可能とする。また、患者の都合での
 受診を妨げないし、主治医の判断で受診させても構わない。
 
 なお、ESDは内科が主であり、再発もありうるので、新たなパスを作成予定

・乳がん
 ホルモン剤を使っていない症例も対象とすることとする
 化学療法が終わった状態で、パスに登録可能となった
 対象症例が広がったことで、今後パス登録が伸びることが期待される

・肝がん
 県のパスは、stageIに限定しているわけではない
 この件に関しては、荘内病院での誤解があったので、今後パスに登録可能な症
 例は増えると期待される

・大腸がん
 stage1,2 ハイリスクではCTも必要なので、改訂が必要
 投薬蘭は削除
 ガイドラインが変わった時点で本年度中に改訂予定

・肺がん
 病院医師からかかりつけ医からの報告書への返事が面倒との指摘があったが、
 パスの運用ルールでは、返事の必要はない

3、5大がんパス研修会について

・目的をどう設定するのか?
  連携医療機関を増やすという目的には疑問がある
   かかりつけ医は本当に算定が欲しいのか?
   登録医療機関でなくても、運用は可能なのではないか?
  がんパスの目的を共有すること → がんパスの周知すること
  を目的にしてはどうか
  連携医療機関が登録しない理由を聞いてみたい(病院医師)
  → 病院と診療所医師とがディスカッションできる場にしてはどうか

・開業医へのアナウンスポイントは?
  病院側のメリットについて意見、
   仕事が楽になっている(検査などをスタッフに任せることができるように
   なった)、検査などを忘れることがない、5年間しっかり継続して診れる
   スタッフに任せていないこともあり、パスがあってもなくても変わらない、
   そもそも、年間数例と対象者が少ない
   O先生が登録医にならない理由は、参考になるのでは
   病院から退院するときに、パスにのっていると楽
   登録していない医療機関に戻せないという弊害がある、

  診療所のメリットについてのかかりつけ医の意見?
   病院と繋がっているとの安心感がある
   入力の手間はほとんど感じていない
   日本海からの乳がんの管理症例が多いが、最新の治療が分かるので勉強に
   なっている
   診療所にとって、新規の開拓になるのではないか

  日程は?
   10月29日(火曜)19:00~ 医師会講堂

  内容は?
   運用状況報告
   二瓶先生テーマ
   正岡先生テーマ
   登録の手順の説明

4、その他
 病院、連携医療機関へ 9月内にアンケート調査を行う


次回の委員会は、10月の研修会終了後に予定する、


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No.136 (Net4Uヒアリング)

2013-07-12 10:26:07 | 日記
今日(7月11日)は、富士経済というマーケティング会社のヒアリングでした。

富士経済という会社について以下をご覧ください。

https://www.fuji-keizai.co.jp/

さまざまな業界の市場調査(マーケティング)を行い、それをレポートとしてま
とめ書籍などで情報提供することや、戦略的な提言・提案することを生業にして
いるようです。

今回は、地域医療連携システムに着眼して特集を組むということでの取材でした。

今回取り上げる5つのシステムと選択理由は以下だそうです。

・道南メディカ(函館):ID-Linkによる主に病病連携
・あじさいネット(長崎):ID-Linkなどを利用した病院カルテ情報の診療所へ
  の公開
・わかしおねっと(千葉、東金):糖尿病の疾病管理を目指した電子化
・Net4U(鶴岡):在宅、介護との連携
・晴れやかネット(岡山):県主導にる医療情報ネットワーク

以下に沿って、質問を受け、率直な意見、考えを述べてきました。

1、地域概要
2、システム概要
3、地域が抱える課題・背景
4、システム構成
5、導入システムの評価した点・課題点
6、キーとなる施設・キーパーソン
7、運営を継続する上でのビジネスモデル(課金)・課題
8、ベンダ・メーカーに求めること・課題
9、国・自治体に求めること・課題


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No.135 (パス協議会講演会)

2013-07-10 15:14:35 | 日記


昨晩(7月9日)は、パス運営協議会主催のパス講演会を行いました。
今回は、黒部市民病院の今田先生をお呼びして、「パス医療原則の確認と連携パ
スへの応用」と題した講演をいただきました。

先生がもっとも伝えたかったことは、

パス医療の本質は何なのか、その原則を再確認しよう!

ということだったと思います。

とくに、先進地区の鶴岡だからこそ、知ってほしいと力説していました。

講演後のディスカッションでは、多くの先生たちから質問が寄せられ、
さすが鶴岡!、とても活発な講演会でした。

パスは、多職種協働によるチーム医療が不可欠な病院でこそ必要なツールです。
医療の安全性の向上、効率化、さらには病院経営においても有用です。
病院でのさらなる普及を期待したいと思います。

以下、講義メモです。
私にとってはパスとは何かを再確認するよい機会だったと思います。

パスの最大の効用は、最適な医療の標準化
 例えば
 ・手術を行う基準・手術の準備
 ・合併症を発見するためには、採血をいつ行うのかが最適化
 ・立位訓練を開始する時期の基準は
 ・どういう状態になったら、合併症予防タスクを開始するのか
 ・どの状態で退院するすのか

標準化 は 画一化 ではない!
 画一化 「何日目に何をする」「この治療にはこの薬を・・」
 標準化 「こうなったら こうする」、「こういう人は こうする」、
     「こうでない人には こうする」」

パスで絶対しっておかなければならないこと
パスの基本構造
 その1:パスはステップ構造になっている
 例)小児呼吸器疾患のパス
 step1、「呼吸困難が解消する」 という条件があり、それをクリアーして初
    めて次のステップへ進む、
 step2、「酸素や持続吸引を用いないで安楽なできる」をクリアーして
     次のステップへ 
 step3、「活動時の安楽な呼吸ができる」をクリアーして次へ
 step4、「酸素飽和度が90%後半を維持し、眠れる、食べられる、
     遊べるようになる」

 その2:パスにはアウトカムが必須(アウトカム設定がなければパスではない)
  アウトカムとは、期待される治療の成果・目標
  アウトカムには4種類がある
  1)チェックポイント的なアウトカム(次のステップへ進むための確認)
  2)毎回確認するアウトカム(維持すべき患者状態の項目)
  3)パス終了時のアウトカム(パス終了時に達成しているべき患者状態項目)
  4)時限のアウトカム(1,3が達成できるまでの期間)

アウトカムにはアセスメント項目がもれなくついてくる
 例)感染症の兆候なしというアウトカムには
  以下のアセスメント項目がある
   CRP < 0.5
   WBC <9000
   体温<38.0
   術創の発赤腫張なし
   機嫌がよい

バリアンスとは
 アウトカムの未達成
 日程の延長・短縮
 パスからの変更事項【オーダーの追加、削除)
バリアンスを集積、分析することで
 ・アウトカムの設定が適切なのか?
 ・適応基準が適切か
 ・パスの中身が適切か
 を確認でき パスを改善へつなげることができる。

パスをチェックするための多職種によるパス大会は極めて有用

まとめ

・パスは連絡帳ではない
 分析を行うことで、地域の医療ケア向上の改善に繋がらないものは
 パスではない
・アウトカムのないものはパスではない
・パスの分析には
 連携がうまくいっているか?
 患者状態が予定通りか
 地域全体の治療ケア成績はどうなったか
 の3者が必要である。

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No.134 (一緒に学ぼう 社会保障のABC:第8回)

2013-07-10 15:13:41 | 日記
回は、国民年金制度がどのような議論を経て実現したのかについて解説してい
ます。税方式にするか、社会保険方式にするかでもめたようですが、自分の老後
のことは自分で備えるという自立自助の考え方を基本とすべき、税だと国の財政
負担が膨大となる、税収はそのときどきの経済状況に左右される、などの理由で、
社会保険方式になったようです。一方で、保険料を免除する制度や納付期間の短
縮などで、保険料を払えない人にも考慮し、国民全員が加入する制度となりまし
た。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国民皆保険・皆年金(7)国民年金の創設
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 前回、1955年頃から国民年金制度を作ろうという機運が高まり、1959
年に国民年金法が成立、1961年に国民皆年金が実現したことをご紹介しまし
た。

 今回から、国民年金制度の内容について見ていきます。最終的に決まった内容
と、そこに至るまでの議論の経緯を知ることで、日本がなぜ「国民皆年金」とい
う理想的だけれど無理もある仕組みを採用したのかが、わかってくると思います。

 制度創設にあたっては、幾つもの論点がありました。

・ 保険料の拠出を条件に年金を給付する「社会保険方式」にするのか、保険料
 の納付を求めず、税金を財源に年金を給付する「税方式」にするのか。

・制度の対象を、国民全員とするのか、既に存在する制度に適用されていない
 人だけを対象とするのか。保険料負担能力のない学生や専業主婦などは
 どうするのか。

・保険料を納めてもらう期間やその額、年金の額などはどうするのか

 これらの点について、総理府(当時)の社会保障制度審議会や、厚生省(当時)
の学識経験者5人による国民年金委員などがそれぞれ検討し、案を公表しました。

■社会保険方式か税方式か

 中でも大きな論点となったのが、社会保険方式にするのか、税方式にするのか
です。今回は、ここを重点的に見てみたいと思います。

 もちろん、社会保険方式にするといっても、当時、既に高齢になっている人な
どへの年金は税金で賄うしかありません。だから、何らかの形で税方式による年
金給付も行う必要があったのですが、制度の基本をどちらの方式で行うのか、ま
た、社会保険方式を基本とした場合、税方式の年金をどのように取り入れるかで
意見が分かれたのです。

 社会保障制度審議会は、社会保険方式を原則としつつも、税方式も恒久的に制
度に組み込む案を主張し、国民年金委員は、社会保険方式を原則とし、税方式に
よる給付は例外・一時的とする案を主張しました。

 一方、農業者団体や社会党などは、国民年金の対象者は低所得者が多いことな
どから、社会保険方式は難しいとして、税方式一本の制度にするよう主張しまし
た。社会保険方式だと、保険料拠出の記録・管理や、保険料の徴収に手間がかか
るという問題もありました。

■社会保険方式を基本に

 これに対し、政府は、社会保険方式を原則とし、制度発足時に既に高齢となっ
ている人や、身体障害がある人、どうしても保険料納付の条件を満たせない人な
どにだけ経過的・補完的に税方式による年金を給付することにしました。なぜ社
会保険方式を基本としたのか。その理由を、国民年金法案の提案理由説明(19
59年2月13日衆参両院本会議、厚生大臣発言)や、当時書かれた本(小山進
次郎著「国民年金法の解説」、1959年)などから見てみましょう。

 主な理由として挙げられているのは次の通りです。

 社会保険方式は、「若いうちから、自らの力でできるだけ老後の備えをして
おく」という自立自助の考えに基づいており、それは生活態度として当然である
ほか、資本主義的な経済体制にも合っている。そうした考えを取ることで、制度
の持続可能性も高まる。

  高齢者人口が急激に増えていく中で、税方式にすると、国の財政負担が膨大
になり、将来の国民に過度の負担を負わせる結果となる。それを避けようとすれ
ば、年金額など給付の内容が、社会保障の名に値しないほど不十分なものになら
ざるを得ない。

 税収はその時々の経済・財政事情の影響を受けやすいため、税方式を基本とす
ると、制度の安定性や確実性に不安が残る。

 諸外国でも年金制度の先進国といわれる国はすべて社会保険方式を原則として
いる。

 社会保険方式にしたのは、自立自助の精神が日本の社会・経済生活に合ってい
ること、また、高齢化が進む中で、税方式では国民の老後を支えられる本格的な
年金制度にならないと考えられたからといえます。

■所得が低い人も含める

 社会保険方式を基本に国民皆年金を実現するということは、保険料負担が困難
な低所得の人も、制度の対象に含めることを意味します。「国民年金制度が社会
保険方式を基本とするならば、保険料の徴収確保が制度の成否を決めるカギとな
るはずだから、保険料納付を期待しにくい人は、はじめから制度の適用外とする
べきだ」――。こうした反対意見も多く聞かれるなか、貧富や保険料負担能力の
差を問わず、基本的に全員を制度の対象とした主な理由としては、以下の点が挙
げられます。

 一般に、保険料を拠出する能力の低い人こそ年金を最も必要とする人たちだ
から、その人たちをはじめから除いたのでは、全国民に年金を保障し、それを生
活設計の拠り所として、国民生活の安定をはかる、という制度の趣旨が実現でき
ない。

 年金制度は長期にわたって保険料を納める仕組みなので、人生のある一時期
に負担能力がなくても、後に負担できるようになると考えられる。ある一時期の
負担能力だけを問題にして制度の対象外としてしまうと、低所得者にかえって不
利な制度となってしまう。

 実際上の問題として、拠出能力が十分な人だけにすると、国民年金制度とい
う名を掲げながら、本来、カバーすべき人の2割に満たない人だけを対象にする
制度になってしまう。

 「保険料の拠出をしたことで、給付の権利が得られる」ことが社会保険の最大
の特徴です。その根本的な性格を変質させる恐れがある人たち、すなわち保険料
を拠出する能力が十分ではない人たちまで制度に含めた理由には、国民みんなに
年金を行き渡らせ、福祉国家を実現したいといった理想や、財政運営上から見た
現実的な判断があったといえそうです。

■免除期間を設ける

 さて、保険料は所得捕捉の難しさを考慮して定額とされ、その水準も国民の大
部分が負担できる額に設定されました。しかし、それでも低所得の人には何らか
の配慮が必要です。そこで、生活保護を受けている人や保険料を負担する能力が
乏しいと認められる人には、保険料を免除する制度が設けられました。

 さらに、普通だったら年金を受け取るのに25年以上保険料を納めなければな
らないところ、低所得で免除を受けている人の場合は、納付済みの期間は最低1
0年あればよいとされました。最低10年の保険料を納めた期間と、保険料免除
期間とを合わせて25年以上あれば、年金を出すこととしたのです。これは社会
保険の仕組みからすると「極めて異例な仕組み」(「国民年金法の解説」、19
59年)といえます。

 そうまでしても、できるだけ多くの人を社会保険方式による年金制度に含め、
年金を給付したいと政府は考えたのです。

 国民年金の内容については、次回も引き続き、見ていきたいと思います。

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No.133 (鶴岡地区救急医療対策協議会総会)

2013-07-08 18:04:08 | 日記
今日の昼、鶴岡地区救急医療対策協議会総会が行われました。報告します。

本協議会の目的は、鶴岡地区における救急医療体制の確立ならびに救急業務の円
滑な運営と改善向上を図ることです。

この協議会の会長も、鶴岡地区医師会長のあて職です。

メンバーは、鶴岡地区医師会、歯科医師会、市長、町長、保健所長、荘内病院長、
協立病院長、警察署長、消防長などです。

総会では、平成24年度に事業報告、決算報告、平成25年度の事業計画、予算につ
いて協議しました。また、鶴岡市健康課より、休日診療所の事業概況、消防本部
からは救急統計についての報告がありました。

本年度は新しい取り組みとして、昨年度行った「救急医療に関するアンケート調
査」で抽出された課題を検討する場として、協議会内に、庄内保健所の松田先生
を座長とした救急医療検討ワーキンググループ(WG)を設置することになりまし
た。WGは、検討結果について、協議会会長に報告(提言)することになっていま
す。

アンケートでは、患者情報の伝達や病院の受け入れ体制など連携が十分ではない、
患者への啓発強化が必要、病院の救急体制の強化・充実に対する要望や意見が多
数寄せられており、WGでの議論がそれら課題の解決の一助になることを期待した
いと思います。

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No.132 (羽黒)

2013-07-08 10:18:19 | 日記


昨日は、羽黒山の参詣道を歩いてきました。
毎年1回は登ることにしています。
延々と続く石段、杉並木、道端に咲く紫陽花などの花々、苔、シダ・・
羽黒山、ほんとにすばらしいところですね。

https://plus.google.com/photos/101791822828330277284/albums/5898022400809608353


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No.131 (鶴岡市介護保険事業者連絡協議会)

2013-07-06 12:37:27 | 日記
昨日(7月5日)18:30~、にこ・ふるで鶴岡市介護保険事業者連絡協議会が行わ
れました。報告します。

本協議会の目的は、「介護保険事業者ネットワークを構築し、事業者間の情報交
換や研修会、共通課題の協議や研究により、サービスの質の向上を図るとともに、
介護保険制度の円滑な実施に寄与する」ことです。

本協議会の会長は、鶴岡地区医師会長のあて職です。

本協議会には、市内の介護保険関連の224事業者が参加しており、以下、10の部
会が設置され、それぞれが研修会、情報交換会、事例検討会などの活動を行って
います

・施設サービス事業者部会
・福祉用具貸与事業者部会
・居宅支援事業部会
・通所リハビリテーション事業者部会
・通所介護事業者部会
・訪問入浴部会
・訪問看護・訪問リハ部会
・小規模多機能型居宅介護事業所部会
・施設サービス事業者部会
・訪問介護事業者部会

昨日の総会では、副会長の選任(池幸園の佐藤佐保子さん)、24年度の事業報告、
25年度に事業計画につき、各支部会長からの報告があり、その他として、鶴岡市
の介護保険事業状況、地域密着型サービス基準条例・規則の制定について、それ
ぞれ市の健康福祉部長寿介護課から説明がありました。

総会後

東北公益文科大学 准教授 鎌田 剛 先生の

「ひとを育てる対話術~スーパービジョンのすすめ」

という講演がありました。

鎌田先生は東北公益文科大学で教鞭をとりながら、福祉分野の人材育成に携わっ
ているそうです。

スーパービジョン、知ってましたか?

スーパービジョン(SV)とは
 スーパーバイザー(指導する側)とスーバーバイジー(指導を受ける側)
 による「対話」を通じた相互のスキルアップ

のことで、人を育てるのは、対話にあるという話でした。

以下講義メモ

まずは、ひとはどうすれば育つのか?

 安心すれば育つ! のだそうです。
  安心すると、不安が減り、自信が増える
  プレッシャーのなかで力を発揮できるんは「安心感」があるから
  人は「安心」すると活躍できる

SVは、スキルアップを目的とした対話であり、
バイザー(上司)とバイジー(部下)がいい関係なら、バイジーは利用者ともい
い関係を結ぶことができる。要するに上司との部下の良好な関係は、仕事の成果
に大きな影響力がある

バイジーを安心させる基本条件
 ・話題の中心がいつもバイジーであること
 ・「xxさんとしてはどう思う?」バイザーの視点を聞いてあげる
 
バイジーを安心させる対話の方法

1、バイジーを支持する
 ねぎらう、最後までよく聴く、できていることを認める、共感し、
 勇気づける、ひとりではないことを伝える

2、バイジーのことを知る
 バイジーの価値観、思考・行動の特徴を理解して、どのように指導するば
 よいかを見極める
 その手順
 1)「話していいんだ」にスイッチを入れる

 2)第一印象(感想)を伝える (共感)

 3)整理整頓する
  4W1Hを使って客観的事実を整理する

 4)思い・考えにふれる
  話題の主観的事実を確認する
    
3、バイジーに教える
 教えられ方の理解度に個人差がある(例えば、口で伝えた方が伝わる人、
 文書の方が分かるという人、図解や写真を示した方が理解度があがるひとなど
 人はさまざまである。)
 すなわち、人にはそれぞれスキルアップの「鍵」があり、合わない鍵だと
 スキルアップへの扉が開かない
 そこで、バイザーはそれぞれのバイジーの固有の鍵を見つけ出し使う必要
 がある

人にはさまざまなタイプがある。
例として
視覚タイプの人は、
  自分の目で見て確かめる
  記録やメモに図、矢印を多用
という傾向がある

一方、聴覚タイプの人は
  話をよく聞く
  口頭の指示だけで伝わる
という傾向がある。

視覚タイプの鍵は
 実物・実際をみてもらう(例えば同行訪問)
 図、写真、動画で示す。
 手本をみせる。

聴覚タイプの鍵は
 話をして伝える
 「話をもらい、返答する」のキャッチボールを繰り返す

などなど、多くのタイプ(傾向)別に、鍵を教えてもらいました。

ーーーーーーーーーーーー

上司が部下を育てるための対話術、なかなかわれわれ医療者には聴くチャンスが
ない講義でなかなか面白かったです。人には多様性がある、それを見極めて、安
心感を与えつつ、一律な方法ではなく、個性に応じた対応が必要があるというこ
とを学習しました。

実践するとなると訓練、経験が必要になると思いますが、理論をまずは知ってお
くことは重要だと思います。

教えて頂いたノウハウは、上司部下の関係だけではなく、同僚、友人、夫婦、親
子などあるゆる人間関係についてもいえることなのでしょうね。

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No.130 (阿部寿美子先生葬儀)

2013-07-05 17:58:00 | 日記
本日(7月5日)12:30~、温海で行われた阿部寿美子先生の葬儀に参列し、会員
を代表して弔辞を述べてきました。

享年66歳、本当の人生はこれからというときに、道半ばにして、幽明境を異にさ
れたことは、先生ご自身にとりましても誠に無念なことであったろうと思います。
医師会にとりましても、有能でかけがえのない大先生を失い、誠に残念で惜しま
れてなりません。

先生のご功績と遺徳を偲びながら、心からご冥福を申し上げたいと思います。

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No.129 (パス運営委員会)

2013-07-04 15:52:35 | 日記
前後しますが、7月2日に行われた 庄内南部地域連携パス推進協議会 運営委員
会(第4回)を報告しておきます。

各個別パス委員会の本年度の目標はほぼ完成しました。その実現のためのプロセ
スとなるアクションプランは今後の課題ですが、目標の実現へむけて着実に事業
を進めていきたいと思います。

11月に盛岡で行われる第14回日本クリニカルパス学会学術集会へは、協立リハ病
院から2題、湯田川温泉リハ病院、荘内病院それぞれ1題、計4題の演題を応募
しました。

http://square.umin.ac.jp/jscp14/

先のメールでも書きましたが、
次週7月 9日(火) 19:00~ 荘内病院講堂で、今田先生の学術講演会が予定され
ています。当地区の連携パスの活動には、今田先生も一目置いているところです。
たくさん参加して、彼に鶴岡のすごさをみせてあげましょう!

今田先生のプロフィール
http://www.kenwakai.gr.jp/ootemachi/information/pdf/imada.pdf

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