カルテ番号 わ・9（32）
洋子はようやく院長の言う意味が全部ではないが、通じた。
それは洋子に回復をもたらす為だとわかった。
院長は、治療家なのだ。
この世はとても大きく広く深い。
そう認めるだけで、絶望が薄まる。
簡単に決めつけられない。
悲しい事、辛い事ばかりだと思っていたのは、僅か一面だけ。
「先生、少しだけど、おっしゃる意味がわかりました。
辛い出来事だけではなく、いろいろな事が入っているのですね。
まだ他の面を見る事ができなくても、辛いだけではないのですね」
院長は笑顔で言った。
「そうですよ。新たな生き方をしなくても大丈夫です。
過去もそのままでいいのです。
現在も、未来もそのままで大丈夫です」
洋子は本当に楽になった。
意識を変えなければ幸せになれないのだと思っていた。
マイナス思考からプラス思考に変えなければ、と思っていた。
でも、そんな事は簡単にできない。
ところが、そのままでいいのだった。
辛い出来事を思い出さないようにしなくてもいいのだった。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
HP「気の空間・氣功療法院」検索
ブログだけなら楽天「水上陽平の独善世界」検索 が読みやすい
（過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ～)
