水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・378」

2014-10-31 19:37:01 | Weblog



カルテ番号 の・7(11)

看板を見て、ここが予約制になっていることを知った。
彼女も見落としていたのだろう。
いきなり訪ねて、診てもらえるのだろうか?
それとも、ここで、帰ろうか。
駐車場で、少し考えていたら、治療院から院長らしき人が出てきた。
駐車場にいるから、不審に思われたのかもしれない。

このままでは気まずいので、野上香織はウンドウを下げて挨拶した。
「あのう・・・予約していないのですが、診てもらえますか?」
口が勝手に動いた。
「どうぞ、お入り下さい」
院長は微笑んで、入り口のドアを手にもっているタオルで拭いた。
どうやら、ガラスを拭きに出てきたようだ。
そして、治療院に入ってしまった。

野上香織はバッグを持って、車から出た。
院長が男の人だと知ってからも、まだ心は軽い。
普段のように、身構える緊張感が無い。
何だか、楽だぞ。
どうなるのか、わからないが、楽だぞ。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・377」

2014-10-30 19:13:27 | Weblog



カルテ番号 の・7(10)

笑ったら、何だか心が軽くなった。
どうなるか、わからないけれど、彼女の奨めに乗ってみようかと思った。
「私にとっては、大チャレンジだけど、行ってみようかな。
私も、何か変えないと、前に進めないわ。
その場所、詳しく教えて」
「もちろん。
香織さんが、どう変わるのか、楽しみだなぁ」

今まで、軽い付き合いだったけれど、彼女と知り合いでよかった。
もしかしたら、軽い付き合いの人の中にこそ、本当の心許せる人がいるのかもしれない。
心の中まで踏み込まないからこそ、大切な付き合い方ができるのかもしれない。
その夜、野上香織は久しぶりに、穏やかで不安の無い時間を過ごせた。
早速、明日は彼女から聞いた治療院に行ってみようと思う。
今までなら、考えるだけで気が重かったのが、今回は何も感じない。

次の日になっても、気持ちは楽なままだった。
治療院の院長は、もしかしたら女の人かもしれない。
私が安心して、向かえるなんて、とても不思議だ。
教えられた治療院は、すぐ見つかった。
こんな山奥に・・・という印象だった。
嫌な感じはしないが、本当にやっているのだろうか?


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・376」

2014-10-29 19:13:13 | Weblog



カルテ番号 の・7(9)

野上香織は彼女の言葉に愛情を感じていた。
本当に自分の事を想って話してくれている。
確かに、このままでは、いずれ沈んでしまいそうだ。
もし、変われるなら・・・でも・・・無理・・・
「気持ちは、ありがたいし、私も変われるなら変わりたい。
でも、男の人に触られるだけで、とても辛いの」

彼女は野上香織の言葉を聞いて、急に笑顔になった。
「そう、それよ。
何故、私が閃いたのか、その時は解らなかった。
私の勘って、自分でも解らないけれど、必ず理由があるのよ。
私、香織さんの事情なんて知らなかったけれど、今の言葉で解ったわ」
野上香織は、ますます面食らった。
「どういうこと?」

彼女は少し得意げに話し出した。
「私が見たのは、気功の治療院。
きっと香織さんの身体には触れないと思うわ。
そうよ、多分、大丈夫よ」
そうかもしれないが・・・
「その気功で、私の何が変わるの?」
「そんなの、知らないわよ」
彼女のあっけらかんとした、その言い方で可笑しくなった。
彼女もつられて、久しぶりに、大笑いした。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・375」

2014-10-28 19:10:03 | Weblog



カルテ番号 の・7(8)

野上香織は、自分の秘密を話すべきか迷った。
そして、それとなく話してみることにした。
「私は・・・男の人が苦手なの。
何というか・・・怖い・・・感じかな。
だから、整体とかは無理。
普通のお医者さんも、よほどでなければ行かない。
それも、その時は、とても辛いけど無理しているわ」

彼女は黙って聞いてくれている。
「私、一度結婚しているでしょ。
そして、よく解ったの。
私は男の人がダメなんだって。
元の夫は決して乱暴な人じゃなかったわ。
暴力もふるわれたことはない。
むしろ、優しい人だった。
それでも・・・怖い気持ちが抜けなかった。
彼は悪くないけど、とても一緒には暮らせなかった」

彼女は静かな声で言った。
「そうだったの。
そういう原因で離婚していたのね。
私も、まだ夫婦しているけれど、いろいろあるのよ。
だからといって、香織さんの気持ちが簡単に解るなどとは言えない。
それでも、今のままでは、香織さんは沈んでしまう。
偉そうなことは言えないけれど、人は変われる時があると思う。
誰でも変われるかどうか、わからないけれど、変わる時があると思う」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・374」

2014-10-27 19:43:02 | Weblog



カルテ番号 の・7(7)

「もう一つ、私は秘密にしていたけれど、勘が鋭いのよ。
女は誰でも勘が働くけれど、私はちょっと特別みたい。
私の母も特別だったわ。
ただし、残念ながら意識して使えないの。
いつ、どんな時、その勘が出てくるのか、判らない。
それを使って、何かをする、ってことは出来ないの。
でもね、そんな勘だけど、出たら、ほぼ当たっているのよ」

彼女は、少し変わっているな、とは思っていたが、そういう能力があったのか。
「久々に、その勘が出たわけ。
イキナリ、香織さんの顔が浮かんだのよ。
これは、香織さんにとって大きな変わり目だと思ったわ。
安心して。私の勘は悪い方には起こらないわよ。
勘が出るのは、良い方に変わる時だけのお知らせなのよ」

そんな話を信じられるか、といえば、信じられる。
彼女との今までのお付き合いで、充分信じることができる。
それでも・・・多分、無理なのだ。
「あのね、その勘の話は信じられるわ。
それに、最近、特に気落ちしている自分にも気づいているわ。
あなたの心配りにも感謝している。
でもね、その治療院に行こうとは思わない。
理由は・・・あるけど・・・行きたくないの」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・373」

2014-10-26 19:13:11 | Weblog



カルテ番号 の・7(6)

彼女の口調がいつもと違っていた。
「私も香織さんも、あまり心の中は話さないタイプでしょ。
でもね、何となく解るの。
私もね、いろいろあったから、明るく振る舞うようにしているわ。
私は一人で出歩いたり、いたずらを考えたりしているけど、似たタイプだと思っていたわ」
彼女から直接聞いたことはないが、夫婦関係の悩みがあったらしい。
かなり深刻な時期もあったと、それとなくウワサを聞いた。

「誰だって、いろいろあるわよ。それが普通。
でもね、最近の香織さんは壁に当たっている感じがするの。
そして、そういうことは、誰にも話さないでしょ。
自分で気づいているかどうか知らないけれど、ちょっと深刻な気がしていたわ。
他の人には気づかれていないと思うわ。多分、私だけ。
生きる力というのか、そういうのがくすんでいると感じていたの。
でもね、私は勝手に余計なお節介はしない、というポリシーもあるのよ。
だから、常に気にしていたわけじゃないわ」

野上香織も彼女といると楽なのは、そういうところだ。
人の生活や生き方に決して口出ししない。
女性は、つい、他人の生き方や行動に口を出しやすい。
でも、彼女は人の内部に踏み込まない。
どういう行動をしても、批判などしない。
その彼女が、今回、こういう話をしているのは、とても珍しい。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・372」

2014-10-25 19:05:01 | Weblog



カルテ番号 の・7(5)

野上香織は面食らった。
元々、彼女は他人を少し驚かす癖がある。
いたずら好きなのだ。
野上香織のポカンとした顔を見て、彼女はまた、うふふ、と笑った。
「ごめんなさい、説明しないと解らないでしょ。
でも、嘘じゃないのよ」

彼女はマシンで淹れたカフェオレを、ゆっくり飲んでから話してくれた。
「その看板、といってもサビついた看板なんだけどね。
気功治療院と書いてあったの。
そして、治療院を見た時、香織さんの顔が浮かんだのよ。
ここだ、と思ったの」
野上香織は、戸惑ったまま
「ちょっと待って、私どこも悪くないわよ。
治療なんて必要ないわ」と口をはさんだ。

彼女は優しく野上香織をみつめて言った。
「香織さん、あなたはいつも変わらぬように振る舞っているわ。
といって、無理しているようには見えない。
自然な振る舞いで、明るいわよ。
同性として、立派だなぁ、と思う。
心も身体も調子が悪い時だってあるのが普通。
でも、悪い感情を出したことがない。
もちろん、誰かの、あるいは、何かの悪口も聞いたことがないわ。
お店を経営している、プロだと思うわよ」


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・371」

2014-10-24 19:09:57 | Weblog



カルテ番号 の・7(4)

ある日、常連のお客さんの一人が来店してくれた。
店の一角にイス、テーブルがあり、そこでお茶を飲めるようにしてある。
常連さんは特に買い物をしなくても、いつでも飲み物を出す。
おしゃべりに来てくれるだけでも、人がいるのは店の繁盛につながるのだ。
あまり社交的でない野上香織には、そこからの情報もありがたい。
できるだけ気楽に寄れるように、本や雑誌も揃え、解放している。
最近は勝手にコーヒーを飲めるように、マシンも備え付けてある。

他にお客さんもいないので、いつものように話し相手になっていた。
「私ね、イライラすると一人でドライブするでしょ。
この前、ダムを見に行ったのね。
その帰り道だけど、何だか気になる店を見つけたの」
彼女は野上香織よりも5歳年上になる。
今年、一人息子が東京の大学に行って、夫婦だけになった。
もともと、あまり会話の無い夫婦らしく、彼女は一人の行動が多い。

「どんな店?レストラン?」
「違うの。くたびれたような治療院」
治療院?予想外の答えだった。
「何が気になったの?」
彼女は、うふふ、と笑った。
「う~ん・・・なんて言えばいいのかな?
ヒラメキ?のようなもの?」
何だか、ちっとも意味がわからない。
「多分、楽になりそう」
そう言って、また彼女は、うふふ、と笑った。
「そう、よかったじゃない」
「違うわ。香織さん、あなたの事よ」
「え!」


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・370」

2014-10-23 19:31:26 | Weblog


カルテ番号 の・7(3)

普通の女性のように、恋愛がしたいとは思わない。
子供も産みたいとは思わない。
経済的には仕事をしてくれる相手と結婚すれば楽かもしれない。
世間的には、打算的な結婚は嫌われるようだが、そうは思わない。
古今東西、結婚は割合が多かれ少なかれ、打算的だと思える。
それでも、男性と暮らす苦痛とはつり合いがとれない。
結婚は・・・嫌だ。

異性が苦手な自分だが、同性愛者ではない。
同性は苦手ではないが、恋愛的に好きにはなれない。
性同一性障害という言葉が出始めたが、それでもない。
自分が女性でよかったと思う。
自分が男になりたいなどと、恐怖感さえ湧く。
男は、生理的に、とても嫌いなのだ。

でも、でも、寂しいのだ。
男性に対しての、本当の気持ちを話したことなどない。
こんな気持ちを解ってくれるとは、思えない。
多分、普通の女性は理解できないと思う。
すくなくても、家族を含め、今まで誰もいなかった。
話さなくても、無理だとわかる。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・369」

2014-10-22 19:03:16 | Weblog



カルテ番号 の・7(2)

親友というほどではないが、数人、一応の友達付き合いはしている。
全て女性だ。
男性との交際はしない。
友達付き合いとしても、男性とはしない。
誰にも話していないが、野上香織は男性が、とても苦手なのだ。
一度結婚してから、それがよくわかった。
離婚して以来、男性とは距離を置いている。

婦人服専門店にしたのも、男性客の相手をしなくてすむからだ。
仕入れなど、仕事上では差し障りなく会話もするが、親しくなることはない。
そういう雰囲気が出ているのか、最近では野上香織に近づく男性はいない。
婦人服なので、オシャレは意識するが、あくまで営業として割り切っている。
スタイルも顔も仕草も、充分気を配っているが、男性を意識してはいない。
女性には優しいが、男性は近寄りがたい、キリッとした生き方を目指している。

人前ではイキイキとして振る舞うが、最近は物忘れと共に、心が沈みがちだ。
夜、一人で食事をしている時や、テレビを見ていると、孤独感が湧いてくる。
以前はなかった。
一人が気楽だった。
といって、女友達とつるんで外出するのも好きではなかった。
短い時間で、軽い、上辺だけの話ならいいが、長く一緒にいるのは苦痛になる。
その原因もわかっている。
自分は、女として欠陥品かもしれない。


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