水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」
カルテ番号 ち・3(10)
千葉亜紀のメモ帳は続く。
{秘密は持ってはいけない、と思っていました}
「社会的に作られて常識ですね。
実際には、秘密を持たない人なんてありえません。
小さな子供もそれなりの秘密があり、高貴な人も秘密をかかえています。
もちろん秘密がいけない、と煽った政治家や官僚や先生達も沢山持っています。
人にとって秘密は息をするのと同じようなものですよ」
{先生の話を聞いているだけで、秘密にしていた事が軽くなりました}
「でも話さなくていいですからね」
{はい}
そして千葉亜紀は目を瞑った。
だが、すぐ目を開けてメモ帳に書いた。
{頭が気持ちいいです。とっても}
再び目を閉じると、やがて寝息に変わった。
二時間が過ぎ、起こされた千葉亜紀はぼんやりしていた。
母親が用意してくれたサンドイッチと飲み物をテーブルに広げた。
普段は一日一食、夜中に食べるだけなのだが、人との付き合い時は普通にする。
目立たぬように暮らすのは長寿族の宿命なのだ。
そして午後も千葉亜紀はすぐ寝入ってしまった。
時間がきて、母親は迎えにきたので起こした時、一段とスッキリした顔になっていた。
玄関を出るとき、深くお辞儀をした。
「先生、ありがとう」
小さいが声になっていた。
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(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 ち・3(9)
千葉亜紀はメモ帳をめくって、それを見せてくれた。
どうやら自宅ですでに書いてきたようだ。
{私は家を出て一人で暮らしたいのですが、大丈夫ですか?}
「実際には家族内で話し合って決めるのでしょうね。
でも、一人暮らしが出来るかという質問なら問題ないですよ。
もう成人しているのですから、亜紀さんが強い態度で両親と向き合えばいいことです。
もうすぐ声は出ますから、働くのも問題ないでしょう」
{嬉しい。私、声が出なくなった原因があります}
「人はいろいろな出来事と出会います。
嫌な事でも、知りたくない事でも、とても辛い事でも出会います。
でも、それを言う、言わないはどちらでもいいのですよ。
回復するのに影響はありません。
どうしても言いたい時、言っても大丈夫な相手に話せばいいことです。
言っても大丈夫な相手とは、亜紀さんと深く係わらない相手です。
つい、親友とか身内とかに話したがるけれど、深い絆の人には言わない方がいいようです。
基本的には、秘密にして下さい。
秘密は多く持てるようになって下さいね。それがいいオンナになる条件の一つです」
千葉亜紀はその言葉をしばらく反芻していた。
{わかりました。私、秘密にします。
一生かどうかは判りませんが、今は秘密にしても平気な気がします}
「年齢を重ねると、大きな秘密だと思っていた事がとても小さいモノと気づきます。
そういう人生を歩んで下さい。
秘密を沢山持つのは、とても充実した、素敵な人生になれるのですよ」
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カルテ番号 ち・3(8)
予約日の午前中、千葉亜紀本人が運転してきた。
あまり運転に慣れていないので、早めに出発して休み休み来たのだという。
笑顔でメモ帳を見せてくれた。
{運転、楽しかったよ}
「先生、本当にありがとうございます。
あの日から明るい娘に戻りました」
今回の母親は落ち着いていた。
考えてきたのだろう。
母親は挨拶すると、すぐに言った。
「先生、私はゆっくり近くの日帰り温泉を楽しんでいます。
帰りの時間頃に来ますので、よろしくお願いします。
それと、これは先生の分まである昼食用のサンドイッチと飲み物です」
自分がいない方が娘の為になる、と思っての言葉だった。
「はい、四時頃迎えに来て下さい」
千葉亜紀はジャージに着替え、メモ帳とボールペンを持ってマットに仰向けになった。
腹部を触るまでもなく、以前の固さはないようだ。
タオルケットをかけて、頭に手を当てる。
千葉亜紀は早速メモ帳に書いて見せた。
{眠ってしまう前に、少しお話いいですか?}
「もちろん、何でも好きなようにして下さい」
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カルテ番号 ち・3(7)
母親が戻って来た。
「急に宿泊は出来ないから、また次の時にするように、と」
千葉亜紀は素直に頷いた。
「先生、娘の声は出るようになりますか?」
「大丈夫でしょう。でもあと数回はかかると思います」
「数回で治るのでしょうか?」
「多分・・・亜紀さん次第ですが」
母親は、まだまだ訊きたい事があったのだろう。
だが、もう帰ると父親に言われたようだ。
「近いうちに、また予約を入れます。よろしくお願いします」
千葉亜紀は半分残念そうに、半分微笑んで手を振った。
母親としては、久しぶりに見る娘の明るい仕草だった。
そして2日後に予約の電話があった。
今度は母親と二人で来るという。
今度も宿泊は出来ないが、4時間の予約になった。
あれから声が出ないだけで、娘の様子は以前のようだという。
この分なら、声が出るのも早まりそうだ。
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カルテ番号 ち・3(6)
千葉亜紀は起き上がると、自分のバッグからメモ用紙とペンを取り出した。
いつも持ち歩き、伝えたい事を書いて見せるためだろう。
さらさらと書いて母親に見せた。
{今日、泊まれないかな?明日も気功を受けたいの}
この近くは温泉地だから宿は幾つもあるが、その予定で来たわけではない。
母親は迷っていた。
娘がこれほど積極的に主張するのはなかったからだ。
それだけ、今日の体験に光を見出したということなのだろう。
「ちょっと待って、おとうさんと相談するから」
そして、車の中で待っている父親のところに行った。
その時、千葉亜紀に訊いた。
「亜紀さん、このまま声が出ないかと心配だった?」
千葉亜紀がうなずく。
「それは大丈夫ですよ。元のように話せます。
でもね、急がないほうがいいですよ。
亜紀さんの中で調和がとれてからの方がいいから。
例え、今日泊まれなくても、また来ればいいのですから。
今度は一人でもお母さんと二人でも来られるでしょ」
千葉亜紀が大急ぎでメモ用紙に書いた。
{先生、心が読めるの?}
「そんな事はできません。何もわかりませんよ。
ただ、何となく言っただけですよ」
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カルテ番号 ち・3(5)
心の悩みは複雑だ。
誰かに打ち明けたいが、秘密にもしたい。
悩みは奈落の闇の奈闇(なやみ)でもある。
闇を覗きたい気持ちもあるが、闇に近づきたくない気持ちもある。
自分から闇をさらけ出す場合でも、全てさらけ出す事はない。
まして治療者であろうとも、他人からなど覗かれたくないのだ。
首の後ろと頭部に手を当てて、そのまま氣を送る。
「大丈夫。眠くなったら眠って下さいね」
首の後ろから固さが消える。
そのまま、寝息に変わっていった。
もはや母親は何も言わないで、その様子を見ているだけだった。
手足の様子から、固さが抜けたのがわかる。
何も言わず、何も訊かず、時間が過ぎていく。
「千葉さん、ゆっくり目を覚まして下さい。
今日はここまでにしましょう。
特に声を出そうとしなくていいですからね」
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カルテ番号 ち・3(4)
誰でも病になると原因を知りたがる。
原因を知らないと治せないと勘違いするようだ。
原因を知り、そこから治療するのは通常の医者や治療者の方法だ。
医者や治療者でもない患者や家族が原因を知っても対処できない。
それでも原因を知りたがる。
千葉亜紀の母親も同じく原因を知りたがり、探りたがる。
「先生、原因はなんでしょう?」
「さぁ、わかりませんし、知るつもりもありません」
「原因が解らなくてもいいのですか?」
「回復するのに問題はありません。
原因追究から治療する方法がほとんどですが、私は違います。
原因など探さなくても生命力は上がります。
逆な言い方ですと、原因追究しても生命力は上がりません」
それを聞いていた千葉亜紀が微笑んで頷いた。
そして微笑みながら、涙が流れた。
それを見た母親はハッとして、黙った。
今まで、どうしたんだ、何があったのか、と追求していたのだろう。
その度に、亜紀は辛かったに違いない。
その事に、今、母親は気付いたのだ。
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カルテ番号 ち・3(3)
人は大きな悲しみや苦しみや衝撃を受けると心身に影響が出る。
元々の生命力やその時の生命力などによって、影響の大きさは変わる。
生命力は免疫力でもあるし回復力でもある。
回復力は調和力といってもいい。
つまり、影響の大きさ、そこからの回復は全て生命力次第でもある。
生命力を基盤にして、様々な薬を含む治療法が有効となる。
どんなに優れた治療法や薬であろうとも、基盤次第なのだ。
回復するにはやはり生命力を使う。
回復に使う生命力が少なければ、優れた方法でも効果は出にくい。
まして心がからむと、その傾向はより大きくなる。
方法が合わないと、例え回復に使える生命力も潜ってしまう。
通常は時間という調和力が後押しもするので、時が回復の手伝いとなる。
失声症も一か月から数か月で自然と治る事が多いようだ。
だが、心に強い鍵がかかった場合、数年しても改善しないこともある。
心の鍵を無理に開けようとすると、何もしないよりも回復し難くなるのだ。
優れたカウンセラーなら見極めて、解明などしない。
だが何もしない方法を選べるような優秀なカウンセラーは少ないと思う。
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カルテ番号 ち・3(2)
何も訊かないので母親がじれたのか話し出した。
「2年前からなのです。
大学を卒業し、家から通える銀行に就職しました。
仕事も順調にこなしていたようでしたが、ある日職場の上司から連絡がありました。
連休明けの月曜日でした。
朝から何も話さない、声が出ないようです、という内容でした。
熱などは無いようですので、そのまま自分で帰宅してきました」
母親はその日を思い出したのか、顔を曇らせて話を続けた。
「その日もですが、次の日になっても何も話せないので銀行は休ませました。
それからは幾つもの病院に行きましたが、症状は変わりません。
3か月して銀行には退職届をだしました。
頭に異常はなく、ショック性の失声症という診断は同じで、薬も出ません。
心療内科で原因を解明する、ということで通いましたが、娘がとても嫌がり、かえって良くないと思い、それからは嫌なところには行かないようにしています。
今回は娘が何故か乗り気のようなので、すぐ連れてきたわけです」
通常は何かショックや過大なストレスの蓄積からなるといわれているようだ。
その為、治療法としてはカウンセリングや心療療法の幾つかをするようだ。
だが、見たくない原因の究明などしなくてもいいと思っている。
原因など解明しなくても身体や心は回復する。
心の場合は、むしろ下手にいじると潜ってしまい、こじれることさえある。
あるいは、表面だけ治ったふりをしてしまう。
だから、心のショックは訊き出さない。
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カルテ番号 ち・3(1)
「あの~、何処の病院でも治らないのですが、診てもらえますか?」
電話で話してきたのは母親だという。
「どういった症状でしょう」
「失声症といわれました。声が出ないのです。あ、娘の事です」
「本人が望むなら、連れてきて下さい」
それが昨日のことだ。
両親と共にやって来たのは、大人しそうな娘だった。
父親は車の中にいると言って、治療院には入ってこなかった。
母親も大人しそうな感じだった。
「どうぞ楽にして下さい。簡単な記入事項だけ書いて下さい」
一言も話さないが、本人が丁寧に書いていった。
それによると、千葉亜紀、26歳、住所は茨城県だった。
母親はいろいろ話したいようだったが、早速マットに横になってもらった。
「話しながらできますからね。少し身体を触りますね」
お腹は固い。首も固い。手足は棒のようだった。
「緊張してますか?」
千葉亜紀の身体は固いのだが、表情だけは柔らかい。
大丈夫というように、少し微笑んで首を振った。
それを見ていた母親が驚いた表情をした。
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