水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」
カルテ番号 め・3(14)
心が休まったと思ったら、手足に微弱な何かを感じた。
微かな電気のような感じとでもいえばいいのか。
電気といっても、不快な感じはしない。
手足に帯電している。
少し手足から、出ているのかもしれない。
太極拳をしている時、マレに似たような感じがあった。
「先生、手足に電気のようなモノを感じます。
これが、気功でしょうか?」
院長は微笑んで言った。
「人によって様々な感じ方をします。
明木さんは、長らく太極拳をしていましたから、出てきたのでしょう」
出てきた?何が?
「これは、先生の氣ではないのですか?」
「半分はそうでしょうね」
半分?
どういう意味だろう。
不思議だが、とても気持ちが良い。
不思議だが、とても、愉しい。
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
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18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
カルテ番号 め・3(13)
太極拳が出来るようになった・・・
その意味が礼子には解る。
礼子も、そう言えるようになるには10年かかった。
単なる型や人に見せる程度なら、一ヶ月でも出来る。
だが、そんなものは名ばかりの太極拳だ。
言葉でもなく、見た目でもなく、もちろん一通りの出来具合でもない。
出来るようになった、と言えるには、それだけの深さがある。
「では、今日は太極拳のお話が聞けるのですね。
楽しみです」
院長は言った。
「やっと、扉から入れたばかりの新人です。
まだまだ奥には何があるか知りません。
でも、扉の内側に入れた話は、普通の人には通じませんからね。
私も明木さんとの話は愉しみですよ」
よかった。
見てもらえる。
出来るようになった人なら、見てもらえる意味がある。
上手いとか、手直しとか、そういう事ではないのだ。
綺麗とか、凄いとか、そういう事ではないのだ。
お互い、見るだけで、その年輪を感じていただける。
それは、ずっと一人でやってきた礼子だから判る。
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カルテ番号 め・3(12)
「先生に質問があります」
礼子は話の途中で、思い出した。
「はい、なんでしょう?」
「どうして、太極拳をするように指示したのですか?
先生は普段、太極拳を指導したり薦めたりはしていませんよね。
なのに、どうして・・・あのメールで・・・」
治療院のHPを見て、太極拳を薦めている言葉は一つもなかったのだ。
だから、とても不思議だった。
院長は、少し困った顔をした。
「どう説明していいのか、困りますが・・・
私は、理屈とか経験とかではなく、勝手に言葉が出ます。
明木さんに太極拳を薦めたのも、そうでした。
どうしてだか、私にも解りません。
でも、続けてくれるなら、脱却できる、と。
それは、確信に近いような直観です」
礼子は不思議だとは思うが、納得している。
現実に、今の回復した自分がいるのだ。
「他の人にも、太極拳を薦めた事があるのでしょうか?」
院長はアッサリと言った。
「いいえ。明木さんだけです。
というか、私も最近、やっと太極拳が出来るようになったのですから。
私は、約15年かかってしまいました。
明木さんほど、熱心ではなかったし・・・」
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カルテ番号 め・3(11)
院長は軽く腹部を触ってから、頭に触れていた。
「お腹はやわらかいですね。
いいですよ」
礼子は、何だか身体が温かくなって、ぽやっとしていた。
話したい事が沢山あるのに、気が緩んでしまっていた。
「いい気持ちです」
それでも、目を瞑ったまま10数年前からの事を少しずつ話し出した。
50歳前から、次第に気持ちが暗くなってきた事。
そして、閉じこもりがちになり、布団の中からも出たくなくなってきた。
そんな礼子に夫は優しかった。
それが、申し訳なく思って、自分を責めた。
子供が出来なかったせいもあって、礼子はより自分を責めた。
そして、夫の急逝。
どうしていいか、わからなかった。
生きているのが辛かったが、死ぬ勇気もなかった。
八方塞がりだった。
そして、偶然、ここのHPを見つけた。
メールを出すのさえ、かなり勇気がいった。
そんな話を、院長は黙って聞いてくれていた。
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カルテ番号 め・3(10)
表の治療院の看板など錆びている。
お金持ちそうには見えない。
多分、お金を請求するのが苦手な人なのだろう。
「先生は、こうメールで書いていました。
私が回復したら、連絡下さい、と。
だから、今回、やっと先生に会いに来たのです。
ぜひ、先生に、今の私を見てもらいたい、と思いました」
院長は優しく笑って言った。
「そうでしたか。
お礼をされるほどの事はしていませんが、それは、嬉しいですね。
それで、どうします?
気功も体験していきますか?」
礼子は、今までの事を聞いて欲しかった。
「いろいろ、先生とお話したいです」
院長は頷いてから言った。
「お話は気功しながらでも出来ますよ」
院長がそう言うからには、気功するのも意味があるのかもしれない。
「では、お願いします。
私、気功って初めてだから、よくわかりません」
「難しい事は何もありません。
マットに寝て、思うようにお話して下さい」
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カルテ番号 め・3(9)
「先生、憶えていらっしゃいますか?
10年前、メールで相談料を払うと私が申し出た時の事」
院長は軽く頭を振った。
「すいません。全く憶えていません」
礼子は笑って言った。
「多分、そうだと思いました。
そして、今日、お会いして、確信しました」
礼子は思い出すように、ゆっくりと言った。
「先生とのメールは、数は少なかったけれど、とても私の心に染みました。
どうしてだろう?
何度も、自問しました。
そして、多分、先生は・・・どう言っていいのか・・・
相手に負担にならないように、軽く答えてくれていたのだと思います。
軽いけれど、とても、深い、というか・・・。
重く受け止めれば、相手にも重さが伝わってしまいます。
だから、先生の軽さは、優しさだと思っています」
院長は照れたように笑った。
「それは、かいかぶりかもしれませんねぇ。
私は、軽佻浮薄の生き方に憧れていますから・・・。
それに、単なる忘れん坊です。
日常生活に支障があるくらい、忘れてしまいます。
明木さんの事は思い出しましたが、相談料の事は忘れてしまいました。
メールだけの相談なんて、通常は、いらない、と答えるだけなのですが・・・」
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カルテ番号 め・3(8)
「ごめん下さい。予約していた明木です」
「どうぞ、上がって下さい」
院長は思ったより若かった。
そして、思ったより普通だった。
もっと、人並み外れた仙人のような人を想像していた。
髪も普通だし、髭も生やしていない。
「運転、大丈夫でしたか?」
「はい。以前なら考えられない事でした。
あの・・・その節は、本当にありがとうございました」
やっと、直接お礼が言えた。
「そうでしたね。
家から出られない状態だったのでしたね。
よく、続けていましたね。
御自分で、克服したのですよ。立派ですよ」
その言葉で、礼子はまた涙がこぼれてしまった。
そうなのだ。
この10年間の事を知っているのは、この院長だけなのだ。
礼子は、一言お礼を言うのが、一つの目的で来たと思っていた。
ところが、一言、褒めてもらうのも、秘かな目的だと気づいた。
お礼も言うのも、褒めてもらうのも、とても嬉しい。
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カルテ番号 め・3(7)
紹介した瞬間、礼子は時期が来た、と感じた。
これで、やっと会える。
外で太極拳をしても、自分の世界でいられる。
他人を意識しなくても、平気になれた。
平気だからこそ、外で自分の事が出来る。
本当に、うつ状態から、脱却したのだ。
その後、その女性から連絡があった。
あの院長に会ってきた、と。
そして、自分の求める方向が見つかった、と。
目が覚めた、とも、言っていた。
よかった、と思う反面、少し嫉妬した。
自分が10年も会えないのに、何のこだわりもなく会える人がいる。
嫉妬もあるが、自分も会いに行けるキッカケになったのも事実。
礼子は、自分も会いに行った後で、彼女といろいろ話したい、と思った。
何度もコンビニで休み休み向かった。
緊張は無いが、胸がいっぱいになるのだ。
どう、お礼の言葉を言おう。
そして、ぜひとも、院長に見てもらいたい。
10年間、してきた太極拳を。
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カルテ番号 め・3(6)
10年同じ事をすると、多少は自分なりの自論も生まれる。
幾冊か本も読んだ。
たまにTVなどで紹介される場面も見た。
それぞれのとらえ方があるのだろう。
他人に見てもらい、アピールするのも勝手だと思う。
多くの人と、動きを揃えて太極拳をするのも有りだろう。
だが、礼子は最初に院長に言われた言葉が響いている。
生命力を上げる為にするのなら、他人の目は関係ない。
盆踊りやマスゲームをするわけではない。
自分の内部、自分の生命力に目を向ける。
外でする必要はない。
だからこそ、外で出来るようになるのは意味がある。
外で出来ないのは、外を意識しているから。
今年になって、その壁を乗り越えた、と思った。
少し前に、公園で話しかけてくれた女性がいた。
同い年くらいだろう。
礼子とは事情は違うだろうが、壁を乗り越えようとしていた。
いつの間にか、他人の状態がみえるようになっていたのだ。
以前は、自分の事ばかり考えていて、他人の心の思いやりまで気が回らなかった。
そして、あの院長を紹介したのだ。
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カルテ番号 め・3(5)
亡き夫の遺族年金と生命保険で、何とか生活は出来る。
夫が残してくれた、と感謝している。
そう思えるようになったのも、1年以上経ってからだ。
夫の急逝以降の一年間は、よく憶えていない。
ひたすら、部屋の中で太極拳をしていた。
3年経ったら、心が落ち着いているのに気づいた。
買い物などの外出が負担でなくなっていた。
気がついたら、人と話せるようになっていた。
それらは、極自然に変わっていった。
気がついたら、振り返ってみたら、変わっていた。
何度もあの先生にメールをしようと思った。
でも、まだ、立ち直ったという自信はない。
この太極拳を外で出来るようになったら、会いにいこう。
公園などで、人が見ていても出来るようになったら・・・
いつしか、それが目標となった。
自己流で覚えた太極拳を外でするには勇気がいる。
本当は、人の目など関係ないのだが、心には壁があった。
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