当広場では、大西康之氏の著作は『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』『三洋電機 井植敏の告白』を取り上げましたが、このたび同氏は新書『東芝解体 電機メーカーが消える日』を出しました。
きびしい洞察力で、「三洋電機」を縦横に研究されましたが、今回は東芝の苦境から電機業界の将来を見渡している。
大西氏は読書人の雑誌『本』(講談社)6月号に「電機メーカーが全滅するか?」を寄稿している。
三洋電機の経営危機については「半導体、液晶パネルで身の丈を超えた投資をした」と簡潔に。さらに三洋、シャープ、東芝とつづく後退の流れの原因を新書では詳しく分析しているという。
構造的な問題として少々ヒントを述べている。「筆者は1つの答えに行き当たった。東京電力とNTTである。戦後の復興期から、東電と電電公社の設備投資は国家予算に匹敵し、その恩恵に浴して電機産業が育った。つまり日本の電機メーカーは東電とNTTの下請け・・・」
いわば国営的な大規模の「電力」と「通信」事業体の下に総合家電がその位置に甘んじてきてしまった。原発事業の構造などはその典型かもしれない。電力会社の傘に日立、東芝、三菱。たしかにアップルやグーグルなどのようなプラットフォーム企業は出てこなかった・・。
「日本メーカーが得意としてきたデジタル家電の機能はポケットにすっぽり収まるスマホに集約された」とも大西氏。
またまたするどい分析、なんとか日本の電機メーカーは全滅せず生き残りをはかってもらいたいものです。「下請け状態」を脱して。
東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書) | |
大西 康弘 著 | |
講談社 |