STAP細胞をめぐって、今月に入って小保方晴子さん、笹井芳樹さん(理化学研究所副センター長)の両氏の記者会見が相次いで行われた。この間に『natureダイジェスト』(2014.03号)も読んでみた。
論文撤回することはない
小保方さんは「論文は撤回しない」、笹井さんは「撤回した方がいい」と見解は分かれましたが両者ともSTAP細胞の可能性は否定していない。ケアレスミスはともかく論文内容に致命的な欠陥が認められないのなら研究は続行すべきです。
われらが武田邦彦先生の見解も「小保方さん頑張れ」のスタンスに変わりはない。私も撤回することはないに一票。まだ研究は始まったばかり。これからが本番だと思う。
序章段階のようにみえても『natureダイジェスト』によると、この研究すでに5年を要している。ストレスによって多能性を獲得する、体細胞を幹細胞化できる、ということは「素晴らしい成果」(同誌笹井氏)だという。
ちなみにSTAP細胞のSTAPは「Stimulus Triggered Acquisition of Pluripotency:STAP」の略。「刺激性惹起型の多能性獲得」のこと。
革命的な研究は大胆仮説から
大きな革命的な研究は、大胆な仮説に基づいて出発することは、ガリレオの時代から変わることはない。
この研究が注目されたのは、理化学研究所の小保方晴子博士をリーダーとしたユニットチーム、山梨大学の若山照彦教授、ハーバード大学(米国)の組織工学研究者Charles Vacanti の3者による英国科学誌『nature』1/30への発表からでした。
小保方さんが蒼白な表情で会見した時、後ろに共同研究者がずらっと並んでも良いのにと思った。そこに笹井氏、もしくは若山氏、理研のトップ級幹部も同席してもおかしくない。むしろ彼女一人が単独会見している様子は哀れに映った。
理研が結論を急いでいる背景の一つは、今「特定国立研究開発法人」への昇格話しがあり、危うくなった責任を小保方さん一人に背負わせて幕引きを図るという見方もあるという。また研究者の雇用形態にも問題がある(いわゆるポスドク問題)。リーダーの多くは1年~5年の有期雇用。任期中に成果を挙げなければ雇用が更新されない。それだけに若手研究者の立場が弱い。若山教授が理研から山梨大に移ったのも任期付きの研究者生活に不安をもっていたからではないか・・(『サンデー毎日』2014/4/20参照)
話がソレましたが、いずれにしろ再生医療への貢献も大いに期待できるビッグな研究テーマ。引き続き小保方さんにエールを送りたい。
STAP事件簿 小保方さんの記者会見 / 武田 邦彦