ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

社民主義のゆううつ?

2020年12月19日 | 社会民主主義ノート
「社民主義のゆううつ」をテーマに3人のひとの意見が紹介されていた。朝日新聞2020年12月18日『耕論』欄

社会民主党の分裂が決まった今、同党が掲げてきた社会民主主義は、どうなっていくのかが問われています。

「21世紀には、大衆運動の選手交代がはっきりしました。たとえば、アフガニスタンで砂漠を農地に変えた中村哲さんの活動には社会貢献と社会改革を一体化する可能性があります。自主的小グループの活力が世界的に高まっていたのです。そのようなパワーを党の糧にできなかったのは、大労組依存と小グループ軽視、もう一つはヨーロッパの社民主義の軽視です」(社民党員、沖縄在住、元村山首相秘書官 78才)

「社民党は、前身の社会党が新党結成に失敗し、行き場がなくなった勢力が生き残りのために存続させたという印象が強く、社会民主主義を実現するために結成されたとは理解していません。社会党・社民党の失敗は、社民主義の失敗ではありません。日本では、社民主義はいまだかつて試みられたことはないのです。格差が広がる今日、社民主義への要請は高まっているといえます。一方で、それを担う政党があるかと言えば心もとない」(法政大学教授、64才)

「民主主義が根付いている社会を実感できたのはスウェーデンに滞在して。同国の新型コロナの危機に対する強さも深く根付いた社会民主主義が育んだものなのだと思います。かつて日本でも社会党の女性党首がブームを巻き起こし平等や多様性を重視した社民主義を掲げていたことを知ると、そういう政党が大きな勢力を保ち続けていたら、日本の政治や教育現場はどうなっていただろうという思いはあります」(東京学芸大学大学院生、25才)

以上、お三方に共通していえることは、社会民主主義に問題があるわけではない。むしろ格差が広がる今日、社会民主主義的な平等や多様性を包摂することは必要であり、ますます強く求められているとおっしゃっていますね。

たとえば自民党政権であっても社民主義的な政策は十分とは言えないまでも取り入れることは可能だし実際、貧弱ながら取り入れてきた面もある。そうなると「社民主義=社民党の看板」とも言えなくなる。社会民主主義の旗手は社民党だけなのだろうか。多くの現実的な有権者の心に響く会心の政策とはいったい何なのか。
このことが具体的に示されないと「社民主義のゆううつ」は、これからも続くことになるのかもしれません。。


中村哲さん的な社民主義」が世界にも日本にも求められているのではないでしょうか。

【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔


銃撃から1年・・・中村哲さんの遺志は アフガンの今(2020年12月4日)
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わかりづらい?社会民主主義

2020年12月06日 | 社会民主主義ノート
「中道はわかるようでわかりづらい道だ」


群馬・東毛の誇る農民運動家、須永好の今風に言うならツイッター(つぶやき)です。
政治の中道をめざしていた須永翁の心情も社会民主主義であったと思います。
中道はわかるようでわかりづらい道だ、令和の時代になっても変わらないつぶやきだと思いますね。
社会民主主義は、この国の巷(ちまた)では、まだまだ正しく理解されていないように感じます。

ある若い世代のユーチュバーが、社会民主主義の世界組織「社会主義インター」のことを危険な極左団体のように思い込んで非難を
している認識には驚きです。「社会」や「主義」の響きに強いアレルギーがあるようです。それも無理ありません。20世紀は社会主義、共産主義の実験の失敗つづきでしたからね。

さて「社会民主主義」を広辞苑ではどう書かれているでしょうか。
「(歴史解説部分略)マルクス主義の立場をとる共産主義者の主張とは区別するため、議会を通じて漸進的に社会主義に到達しようとするさまざまな改良主義的社会主義の主張の総称」

ここで「さまざまな改良主義的・・」とあります。「さまざま」がまた混同の一因でしょうか。社会民主主義は多元的な価値を認め合う思想だけに、それそのものの定義からして多様となっていますね。
ちなみに「民主社会主義」と「社会民主主義」は同じことと私は解釈しています。これにも別解を持つ人もいるようですが。

社会民主主義の定義としては(1)民主主義(2)混合経済(資本主義経済の肯定)(3)社会改革の徹底、を三位一体とする見方があります。(『国境を超えた社会民主主義』新田俊三編著 日本評論社)

須永好先生、たしかにわかりづらいです。中道、社会民主主義は。



【須永好、すながこう】1894-1946 群馬県旧強戸村生。旧制太田中を経済的事情で中退後、家業の農業に従事するかたわら農民運動に携わる。郷里強戸村を理想郷へと小作農民を組織しわが国初の革新自治体「無産村強戸」を実現。戦後は日本社会党結成に奔走、日本農民組合初代会長 衆議3期(戦前戦後通算)。


 
理想社会への道は険しい・・

Otis Redding-ドック オヴ ベイ
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社民党、退潮のリアル

2020年11月20日 | 社会民主主義ノート
先週14日に社民党の臨時党大会があり分裂が決定づけられました。

「社民党の体たらく」「旧社会党の老人たち」、ポツンと一軒家をもじられ「ポツンと一人政党」「オワコン(終わりのコンテンツ)党」など言いたい放題のマスコミ見出し。
たしかに社会党時代から75年の歴史を持つ社会民主党(社民党)の後退には歯止めが効かずに今日に至ってしまいました。

「なぜ社民党は凋落したか」「党首福島瑞穂の責任は」と疑問も投げかけられている。
いろいろな事情がありますが、私の見方は至って簡単。

これまでの有力な支持団体であった労働組合(連合)が社民党を見放したからです。

もし創価学会が公明党の支持をやめたらどうなるでしょうか?

財界、企業が自民党に人財を送らず手を引いたら、自民党は今の形を保てますか?

社民党の前身、日本社会党は「総評(労組)の政治部」と言われていました。労組あっての党でした。このことは自民党が「財界の政治部」と称されるのと同じです。

福島瑞穂でなく誰が党首になっていても「人」「財」がなければ選挙は勝てない。スポンサーが離れればその組織は衰退するでしょう。個人の人気には限りがあります。

2011年3.11原発震災以降、特に原発政策をめぐっての差異が顕著になり、電力連合など右派勢力を抱える連合と社民党との関係はますます冷え込んでいきました。これまで労組の人財支援で成り立っていた政党としては致命的なことです。

社民党は、今回4時間に渡る臨時党大会の模様をYouTubeですべて公開しています。ここまで党の透明性を打ち出している姿勢は十分に評価されて良いでしょう。
また機関紙「社会新報」では、「佐高信の視点」の欄で「党首は参議院議員でなく衆議院から出馬して勝負しないのはおかしい」と佐高信の厳しい意見をそのまま掲載している。
自党の機関誌が自党の党首批判を正面から載せる機関紙が他にあるでしょうか?自民党?公明党?共産党?にそれができるだろうか。

社民党の持つ捨てがたい党内民主主義の良さが党大会のYouTube全開示、また自党機関紙での党首批判などでも示されています。

福島瑞穂党首が「社会民主主義の党」をさかんに強調している。
ところでそこまで言う「社会民主主義」とは一体どのような考えなのでしょうか。「民主主義」や「社会主義」のイメージはそれぞれ描きやすいと思いますが「社会民主主義」は案外、正確に理解されていないのではないか思われます。当方、ポポロ通信舎でももう一度その検証をシリーズで行ってみたいと思います。

カテゴリー「社会民主主義ノート」を設けます。当方の学習過程をお示しするということで、特にご訪問者さまと議論をたたかわせるつもりはございません。「降りかかる不条理に抗す」シリーズのように気の向くままの連載になるかと思います。末永くご覧いただければ幸いです。
(敬称略)


写真は臨時党大会、毎日新聞から。


“社会民主主義”の国、スウェーデンのポップグループ、アバ(Abba)の「 Money, Money, Money」
お金がすべてではありません、されどお金が物事を左右しますね。
金・金・・金・・・



ABBA Money Money Money
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