ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

今を大事に、自然にゆだねる

2024年06月18日 | 医療・福祉
世の中は 今日よりほかはなかりけり
昨日は過ぎて 明日は知られず

今という 今こそ今が 大事なり
大事の今が 生涯の今


故中村仁一医師の『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書2012年)の詩の一節です。大胆な提言です。
副題は「自然死のすすめ」、著者71歳頃の書。

がんについて「何の手出しもしなければ痛まず穏やかに死ぬ。年寄りには、がん死が一番のおすすめです」「がん死は“死刑囚”である私たちに近未来の執行日を約束してくれている」とも。

私も身内を含めがんによって痛み苦しんだケースを身近にみています。手術、抗がん剤、放射線の治療で一旦は鎮静化させても再び更に武装化したがんの残党が逆襲してくるということもあった・・。

幼い子どもさんや若い人たちと老人とでは、がんへの対処法も明らかに異なります。『70歳からは大学病院に行ってはいけない』(和田秀樹著)でも似たお話を読みましたが、いずれも対象は70歳位からの高齢者に向けての金言でしょう。加齢によって病気が増え重くなることはごく当然のこと、自然の摂理と思います。

高齢者にとっては「早期発見の不幸」「手遅れの幸せ」・・
がんや難病をどうとらえるか、それへの対処法をいかに選択するか。そのようなことを議論できるだけでも幸せです。昔も今も戦争や災害で亡くなっていく人たちのことを思うと治療や生き方について、いかに選択するかを考える猶予の時間をいただいているだけでも、そのありがたさに感謝したいと思います。

枯れている植物に肥料をやりつづけるか、人間の場合無理に苦痛を与えていることをしてはいないか。一年草は花を咲かせて種ができると枯れる。これらを著者は自然界の掟(おきて)と言う、まこと同感。

人間の生命には誰も限りがある。死を止めることはできない。自然死、それがいい。自然の神々しさを気づかされ心穏やかになる書でした。

尚、著者中村仁一先生は2021(令和3)年肺がんでお亡くなりになっています。合掌。


 


きょうの曲は70年代の英国ブリティッシュサウンド10CCのI'm not in love 
矛盾に満ちた少年の恋心です♬

10cc - I'm Not In Love (1975)
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