民主党の代表選は野田佳彦氏を選出した。そして今日、野田氏は首相に指名された。短期間に日本では首相が何人も代わると嘆く人がいるが、その心配には及ばない。一人の人物が長期間政権を掌握している国の独裁型に比べれば日本は正反対。リーダーがコロコロ交代しても揺るがないほど柔構造な社会なのだと思いたい。裏を返せば実質は“官僚独裁”ともいえなくはないが・・。
さて、代表選では5人の候補が名乗りをあげたが「原発再稼働」に反対する考えを示したものはゼロ。いずれの候補も脱原発を自身の見解として表明するには至っていなかった。
私は必ずしも小沢一郎氏を全面的に信頼はしていないが、5/27の「ウォール・ストリート・ジャーナル」でのインタビュー会見では、同氏の大震災・原発対応、エネルギー政策には注目していた。内容的には、脱原発に近い見解と評価できた。ただ小沢氏は、その論の延長でいったならば、なぜ代表選で原発推進の海江田氏支持になるのか、さっぱり分からなかった。もっとも原発問題などの政策的なことは、党内人選基準としてのプライオリティー(優先順位)は高くないのかもしれない。原発、古くは一連の公害問題に象徴される「命より経済が優先」の考えは長く続いた前政権以来のもの。野田新内閣にはぜひこれに終止符を打ち「命優先」、特に「こどもの命優先」の政治を実現してもらいたい。
以下、WSJ誌(Q)と小沢一郎氏(A)インタビューから一部抜粋
Q:小沢氏が指揮を執っていれば、最初の段階でメルトダウンが起きて危ないということは国民に大きな声で言っていたか。
A:言うだろう。隠していたらどうしようもない。それを前提にして、対応策を考えねばならない。当面は福島の人だが、福島だけではない、このままでは。汚染はどんどん広がるだろう。だから、不安・不満がどんどん高まってきている。もうそこには住めないのだから。ちょっと行って帰ってくる分には大丈夫だが。日本の領土はあの分減ってしまった。あれは黙っていたら、どんどん広がる。東京もアウトになる。ウラン燃料が膨大な量あるのだ。チェルノブイリどころではない。あれの何百倍ものウランがあるのだ。みんなノホホンとしているが、大変な事態なのだ。それは、政府が本当のことを言わないから、皆大丈夫だと思っているのだ。私はそう思っている。
Q:原子力エネルギーをどう考えるか。
A:しょせん、過渡的エネルギーとしてはある程度、大口電力供給のためにも仕方がない。だが、高レベルの廃棄物を処理できないからいずれ、新しいエネルギーを見出さなければいけない。そのように私は言ってきた。まさに今、こういう自然災害のなかで、原発の事故まで起きて、これを食い止めると同時に、長期的なエネルギー政策をしっかりと考える必要がある。
ドイツ公共TV(ZDF)放映8/26 ドイツ人記者が細野原発担当大臣へ検査の不備を追及 「福島原発事故、その後(日本語字幕)」さすが脱原発の先進国、取材視点に曇りがない。
ドイツZDF-Frontal21 福島原発事故、その後(日本語字幕)