いやはや大変にご無沙汰しておりました。
いつの間にか寒くなってきましたね。長いこと記事の更新をしていなかった理由は、まず忙しかったこと。そのほとんどが例によって人形作りそのものや材料の土の準備、水簸(すいひ)作業であったり、納めに追われていました。
「干支の酉(鶏)作り③」と言っても①②の延長線上のことなので取り分けて大きな新しさはありません。塗りあがっている様子を画像に撮ってみました。
これら全てずいぶん早くから頼まれていた某店へのお納め分です。前回の「干支の酉(鶏)②」の画像と見比べてもらえるとわかるかと思いますが、配色を少し整理してみました。これら「つがいの鶏」または「夫婦鶏」は12年前に「これは今戸?」と思われるぼろぼろの人形をもとに形を起こしたものなんですが、今回は同じ形でありながら、前回とは違う配色で、「鶏のぴいぴい」のうちにあるお手本パターンから抽出した配色というつもりでいます。
まず、鶏の地色を単なる胡粉の白地にしないで、きら(雲母粉)でパール地にすることで、江戸時代の今戸人形にみられるような古典味が出るか?ということ。また各地の古い人形の中にも見られることですが、赤や緑の発色をよりきれいにさせるために黄色を下に置いて色を響き合わせることで楽しい色合いになるのではないかと考えました。その昔「こけし」にもハマッていた時代の見聞からも例えば昭和戦前の鳴子のこけしの「黄鳴子時代」という様式でも発色を引き立たせるための工夫としてこうしたことをやっていたのを思い出します。
ちょっと手前味噌のような話になってしまいますが。この「おんどり・めんどり」の形状としては全国どこにでもありそうな汎庸なものですが、昨日お納めに伺ったお店の人から「美しいくていい感じ」って言ってもらえてうれしいですね。
できれば、干支の酉に向けてはまだまだ案があるので、たくさんできるかどうかは別として作って世に出したいという気持ちはまだあります。その前に二重、三重、四重、5重に控えているお納めもこなしつつ進めていきたいと思います。