さて、やっと借りられました。
なにしろ、森先生の家族シリーズは、よみやすくて とってもイイ話ばかりなので、
人気が高くて・・・。
でも、毎回感心させられるのですが、本当に 描写がお上手なんですよね、森先生。
今回は、全8編の作品集ですが、
ある時は、正社員になることにこだわって職を探し求める 若き青年だったり、
またある時は、離婚後、両親の助けを借りながら、幼い娘を育てていくキャリアウーマンだったり、
また、それぞれの 年取った親だったり…
今回、あとがきにも書かれていますが、ちょうど こちらの発刊準備を進められている最中に
あの、3.11の大震災が起こったそうです。
その時に、森先生が連絡を取られた多くの方々が、まずは 開口一番
「そちらは、大丈夫ですか…?」
と、相手を心配する言葉をかけられたとのこと。
自らが被災しているにもかかわらず…。
この あとがきは、大変深いです…。
自分自身の記憶をたどってみると、 確かに… 自分もそうでした。
森先生は、こうした何気ない 人間の“情” に 普段から敏感でいらして、
それらを ひとつひとつ 大切に扱っていらっしゃるがゆえに、
素敵な作品を生み出されるのですね。
また、今回のタイトル=「分け前」とは、
家族で分け合うことによって、持ち分を減るのではなく、増やすということ
なのだと…。
確かに、どの作品も これが根底になっていて、それぞれの事情を抱えながらも
“家族” ならではの心の繋がりが描かれています。
今回は、中でも、「それでも鳥は空を飛ぶ」が 気に入りました。
まだ 小学5年生なのに、翼くん、 すっごくイイ奴 なんです。
本当に、こんな ステキな男の子、身近にいるかも・・・ と思いながら、母性本能をくすぐられました… (笑)。