CD番号 WHRA6007(2枚組)
収録年 1956年
評 価 (A+、A-、B、C、Dの5段階評価)
総 合 B
指揮者 B ブルーノ・ワルター(1876~1962)
管弦楽団 B メトロポリタン歌劇場管弦楽団
合唱団 B 同 上 合唱団
ザラストロ A+ ジェローム・ハインズ
夜の女王 A- ロバータ・ピーターズ
タミーノ B ブライアン・サリヴァン
パミーナ A- ルシーン・アマーラ
パパゲーノ A- セオドア・アプマン
音 質 C
私 見
1956年のメトロポリタン歌劇場におけるライブ録音である。魔笛の台詞は通常はドイツ語だがこの盤は英語で、♯5のカラヤン盤のイタリア語とは違って、終始、多少の違和感をぬぐえなかった。
指揮者のブルーノ・ワルターはトスカニーニやフルトヴェングラーと並び称される大指揮者で、あのカ-ル・ベームの師とも言われているが、特にモーツァルトの作品には定評があり、ワルターの魔笛で遺されているのはこのセットだけなので貴重な盤である。
さて視聴結果なのだが、それがどうも残念なことにこの盤はやや期待はずれのようだ。どこといって悪いところが無いのだが、それかといって心を打つような魅力にも乏しい。盛り上がりに欠けていてやや退屈感を覚えてしまう。
歌手では、タミーノ役に声の艶と張りがもっと欲しい。その他の歌手は全て水準以上の出来栄えである。
ところで、二,三の指揮者の話によると、一般的にオペラにはかなりの不確定要素がつきまとっているといわれている。例えばまったく同じメンバーで前回素晴らしい公演が出来たからといって、次の公演はどうにもならないほどダメな公演に終わる危険が決して無いとは言い切れないそうだ。
原因が分るようで分らないが、生身の人間が集って役割分担をしながら出来上がる作品にはそういう波というものがあるらしい。とにかくそういう場合は運が悪いとしかいいようがないそうである。
この盤も運の悪さに尽きるのかもしれないが、あえて原因を突き詰めるとワルター80歳のときの収録でやや気力と体力が十分ではなかった(?)のかもしれない。