「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~二つの実験~

2011年03月25日 | オーディオ談義

20日〔日)の大宰府訪問から4日が経過。

その間、我が家のシステムに対してずっと手を拱ねいておくというのも芸のない話。

記憶の新しいうちに何とか少しでも現状を改善しようとチャレンジするのがオーディオ・マニアの”しぶとい”ところ。それもなるべくお金をかけないで・・・。

☆ 実験その1

現在使っているスピーカー・ボックス〔以下、ボックス)は昨年3月に近くの住宅修理会社の知り合いにつくってもらったもの。

横幅40cm、高さ130cm、奥行き34cmの寸法で、その中に4本のSPユニットを納め、吸音材として「羽毛」を木綿袋に入れてぎゅうぎゅう詰めに押し込んでいる。

一番上に「アキシオム80」〔中高域用)、その下を定在波を防ぐために斜めの分厚い板で仕切って、フォステクスの3本のユニット(低域用)を取り付け。

ボックスをつくるときに一番迷ったのが下の方に穴を開けるかどうか。

低域用ユニットを2~3本内蔵している通常の市販品は全てといっていいほど穴を開けている。SPユニットのコーン紙が前後に気持ちよく振幅しやすいように背圧を逃がすための「空気穴」というわけだろう。

結局、ボックスをつくった後で穴を開けるのは面倒なので最初から直径4cmの穴を4個開けておいた。

           

これまで何の疑問も抱かずおよそ1年あまり、この状態でずっと聴いてきたわけだが、この穴を全部つぶすと低域がどう変わるんだろうかと大いに気になってきた。

そこでクルマで1時間ほどの品揃えが豊富な「量販店」で仕入れてきたのが「木栓」。

直径が5cmあってなだらかにテーパーがかかっているので4cmの穴を塞ぐのに最適。
片チャンネル4個の穴だから全部で8個購入。

ワクワクしながら帰宅して早速実験開始。

木栓の頭をゴム・ハンマーで優しくコツンと叩いて打ち込んでやれば隙間なくピタリと収まる。外すときもハンマーでコツンと木栓の端を上から叩けば簡単。

  


この木栓で4個全てを塞いだとき、あるいは1個から3個まで塞いだときなどいろいろ試してみると、低域が想像以上にさま変わりするので実に面白い。

4個全開のときは、伸び伸びと鳴る印象だがやや締まりが無くなって野放図になっていくのがよく分かる。これまでこの音で聴いてきたのだ!

一方、全部〔木栓で)詰めたときは低域ユニットの背圧の逃げ場がないので振幅が窮屈になるものの、逆に小さな振幅のせいで制動力の利いた低音になる。

結局、量感を択ぶか、歯切れの良さを択ぶかという単純な二者択一問題になるのだが後者のほうが大宰府で聴いたときの低音に近づく印象を受けた。

「全部詰めたほうがいい」と迷うことなく結論に達した。40ヘルツ以下はスーパー・ウーファーの守備範囲なので量感が多少落ちても差し支えなし。

こういうときに目標となる音が耳に焼ついていると助かる。

わずか2千円足らずの投資だったがこれで1歩前進~。

☆ 実験その2

現在使っているアンプはWE(ウェスタン)300B(1950年代の3桁番号、以下「オールド」)を使った真空管アンプ。(中高域用:モノ×2台)。

            

このWE300Bという真空管は、周知のとおり音質と耐久性の両方を兼ね備えた出力菅の「王者」として、もう70年近くも君臨している。

しかし、10年以上前から中国とか東欧、ロシアなどから300Bと同規格の真空管が出回り始めた。

とにかく価格が大幅に安いのがメリットでオールドに比べるとおよそ10分の1程度だが、その割には結構使えるというのが自分の印象。

3年ほど前にGD4300B(中国製)を購入して実際に使っているが、テレビを試聴している限りオールドと何ら遜色なし。

つい先日、オーディオ仲間の湯布院のAさんがお見えになったので、CDの試聴にこの4300Bと「オールド」〔写真左)との比較実験をやってみた。

          

試聴盤はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲4番の第二楽章。演奏はグリュミオーで指揮はコリン・デービス。かなり古い録音だが、いまだにこれを超える演奏はない。

始めに4300B,次にオールド、そしてまた4300Bの順番で差し替えた。

じっと目を瞑って聴いておられたAさん、やおら「分かりました」と一言。

「4300Bも大変な善戦ですが、明らかにオールドの方が一枚上です。高域方向への抜けと情報量が違います。4300Bは高域部分が華やかですが中域から高域にかけての部分がちょっと薄いですね。一方のオールドはきちんとしたピラミッド型の音になっています。」

同様の感想を持ったが、これまで真空管をピンからキリまでいろいろ買い漁っての所見だが、近代の真空管ほど高域にクセがあって華やかに鳴るので”ちょっと聞き”はいい。

一方、1950年代前後の真空管は実に穏やかで、聴いた当初は物足りなさを覚えるが時間の経過とともに音の厚みでじわっと本領を発揮してきて長時間聴いても飽きがこない。

この傾向は例外なくそうで、はじめからハイ上がりの派手な音を出す真空管はとかく要注意である。とはいえ、これはあくまでも個人の好みの問題なので念のため。

ところで最近久しぶりに国産の300Bの同じ規格品として注目を浴びている高槻電器〔本社、京都市)のTAー300Bについて。

価格がペアで10万円前後とまずまずだが、是非一度試聴してみたいので、直接本社にメールしてみた。

「貴社のTAー300Bに大変興味があります。2~3日試聴させてもらえないでしょうか。アンプとの相性がよければそのまま購入します。そうでないときはすぐに返送します。」

いきなり、見ず知らずの人間を信用してもらえるはずがないので「オーディオ関係のブログを4年半ほどやってます」とタイトルを添えて送っておいた。

日頃、カミさんから「一文〔いちもん)の得にもならないブログ」と揶揄されているので、せめてこういうときぐらいは役立って欲しい~。

2~3日してから返事が来て「販売のほうは○○という会社に委託してますのでそちらのほうに持ち掛けてください」という”つれない”返事にガックリ。ちょっと虫がよすぎたかなあ。

しかし、心血を注いでつくった自信作ならそれなりの熱意があってしかるべきだが、こうも取り付く島がなくては買う気が起こらないのも事実。

音楽とかオーディオはそもそもある種の「熱」に浮かされないと、とてもやってられない趣味。

丁度、メル友の京都のKさんとやりとりをしていたときだったので、この顛末を報告したところ「残念ですね、聴いたらぜったい欲しくなるという展開に持っていく体制がオーディオ業界は不十分ですね」と返信があった。

この業界が低迷を続けて随分と久しいが、こういう「熱気」が感じられない淡白さに一因があるのかもしれない。


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