記事をupするタイミングがちょっとずれてしまったが、去る3日(金)にオーディオ仲間のKさん(福岡)が我が家に試聴にお見えになった。
「新年初の試聴会」になるわけで、年明け早々に幸先のいい好スタート!今年もオーディオに明けてオーディオに終わりそうな予感がする(笑)。
Kさんとは同じ「AXIOM80」の愛好者として昨年3月に交流を始めて、爾来およそ月1回のペースで行ったり来たりの相互訪問が続いているが、多大のノウハウをいただいて大いに感謝している。
Kさんによると「一度聴かせていただいたら2度目の訪問はまず無いのですが“AXIOM80”だけは別格です」とのこと。
おそらく「AXIOM80」に注ぐ愛情と評価にかけては日本でも有数の方だろう。欠点もいろいろあるユニットだが、あの透明感を一度でも味わうとまるで中毒患者のようになってしまう。しかも、システムのどこかをちょっとでもいじったら見事に反応してくるので、ある意味では恐ろしい存在である。
「いい音とはいったい何?」
このユニットからどれだけ勉強させてもらったことか、とても一言では語り尽くせないが、Kさん曰く「私たちはまだこのユニットの能力を十分に引き出していません。お互いに情報交換しながら切磋琢磨して競い合いましょうよ」。
強力なライバル出現だが「もちろん、望むところです。」そのうちKさんが“うらやましがる”ような音を絶対に出してやる~(笑)。
さて、この日は9時半ごろに「今から出発します。」との電話があった。前回のときは降雪のため山間部で随分ヒヤリとされたようだが今回は見事な快晴なのでひとまず安心。
10時半過ぎに早々とご到着されたので「あれっ、今日は随分早かったですね!」
「いやあ、(高速道を)ポルシェ911が20台以上集団で疾走していましたので、負けじと(BMW 7シリーズ)ついていきましたら思いのほか早く着きました。世の中にはお金持ちが沢山おりますなあ!」
おそらく高級スポーツカーの代名詞みたいな「ポルシェ」には保有する喜びとともに「愛好者の集い」みたいなものがあるのだろう。
オーディオの分野でも負けてはならじ、孤高のユニット「AXIOM80」にも同好会のようなものが欲しいが、このブログを通じて再三呼びかけているものの、これがサッパリ反応なし。
うまく鳴らすのが極めて難しいユニットなので、持て余している人が多いのかな(笑)?
さて、今回の試聴会のテーマは次の3点
☆ 昨年末に改造してもらったプリアンプの試聴
☆☆ 新旧真空管の聴き比べ~エレクトロ・ハーモニクス(エレハモ)の300BとWE300B(1950年代のオールド)との比較試聴~
☆☆☆ 小出力の真空管アンプ(0.5ワット)でJBL375ドライバー(16Ω)を鳴らす
まずはじめに☆について。
「まったく別のプリアンプを購入したような印象を受けました。周波数レンジや音の抜け、音色の艶など随分良くなってます。ただ、交換したコンデンサーのエージングには相当時間がかかりますよ。ちょっと音にキツサを感じます。少なくとも数か月はみた方がいいと思います。聴いていくうちにもっともっと良くなりますよ。」と、Kさん。
「このプリアンプは使う真空管によってガラリと違う表情を見せますので選択に迷ってます。まだ試行錯誤の段階ですが6DJ8の同等管としてECC88、6922、7308などいろんな種類がありますが、今のところECC88が一番相性がいいようです。これからもっと鳴らし込んでベストマッチを探してみるつもりです。」
次に☆☆について
真空管マニアの誰もが気になる存在といっても過言ではない「WE300B」だが、近年の値上がりは凄まじい。
先般のブログでも取り上げたように程度のいい1950年代初頭のものがオークションで61万円(ペア)もする。いわば部品なるものがアンプ本体の価格を軽く超える逆転現象が起きており、まったく本末転倒だが古典管は再生産が利かないので需要と供給の市場原理が働くとこうなる。
そこで、類似の他の銘柄の300Bに視線が向けられるわけだが、さすがに人気の球だけあって種類も実に豊富で枚挙にいとまがないほど発売されている。自分だって、日常的に使用するのは300Bの類似管で十分なのでなるべく値段の安い中国製を使用することにしている。(要するにケチなのです~笑~)
今回、Kさんにわざわざ持参してきてもらったのはエレハモの300Bゴールド(ロシア系)。昨年の12月にエレハモの「2A3(低出力仕様)」のペアを購入したところ、予想以上に良かったので二匹目のどじょうを狙ってみたわけ。
はじめにWE300B(モノ×2台)でじっくり聴いてから、エレハモに差し換えた。
「このアンプは非常にいい整流管を使ってありますね。エレハモが実に好ましい鳴り方をしてます。WE300Bに比べると下(中低音域)がちょっと薄味のような気がしますが、十分聴けます。値段からすると立派なものだと思います。」と、Kさん。
「整流管にはWE422Aを使ってますが相性がいいみたいですね。うまく鳴ってますので中国製がダメになったら次はエレハモのゴールドを候補の一つにしたくなりました。」と、自分。
ところで試聴盤としてこの日活躍したのは「AXIOM80」が一番得意とするボーカルの分野だが、とりわけKさんが感心されていたのが「石川さゆり」の8400円のCD(ステレオサウンド社)。
「石川さゆりがこんなに“うまい”とはついぞ知りませんでした。凄い歌手です。ものすごく情念が籠った歌い方ですね。」
「値段が値段ですから、録音も抜群ですよね。同シリーズとしてほかにも美空ひばりの“愛燦々”(あいさんさん)が発売されていますが、欲しいのは山々ですが彼女の全盛時代に比べるとちょっと声の張りとか艶が落ちるようですからいくら録音が良くてもと、ためらってます。彼女の絶頂時の最高のライブ録音とされているCD盤をご存知ですか?」と、言いながら引っ張り出したのが次のCD(2枚組:現在廃盤)。
これは昭和48年、彼女が30代後半のときの東京厚生年金会館大ホールでのライブ録音だが、(美空ひばりの)いろんなCDを持っているが、これ以上の歌唱力を発揮したCD盤にはいまだに巡り会わない。この中からKさんが大好きな「佐渡情話」を聴かせてあげた。
以下、続く。