のっけから、いきなり「乱暴な言い方」になりますが・・、
通常の音楽愛好家とは違って「オーディオ愛好家」を自認する方で、「中高音域」にTRアンプを使っている方がいるとしたら、どんなに偉そうなことを宣おうと、筆者はその人の「耳」をいっさい信用しないことにしています。
とはいえ、「お前ごときに信用されなくても痛くも痒くもない!」と言われるのがオチですけどね~(笑)。
で、「TRアンプ」と一口にいっても「ピンからキリまであるぞ!」という反論があるでしょうが、実は真空管アンプもピンからキリなんです。
そこで、こういう論理が成り立ちます。
「中途半端な真空管アンプよりも、十全なTRアンプの方がいい・・」、これは「中途半端なレコードシステムよりも十全なCDシステムの方がいい・・」と似てますね(笑)。
ところが・・、いかなる十全なTRアンプでも真空管アンプには太刀打ち出来ません。これは、高級機が居並ぶ「オーディオフェア」で確認済みです。もちろん、クラシック向きのスピーカーを鳴らす限りにおいてはという条件付きの話ですから念のため。アンプとスピーカーは運命共同体ですからね。
で、我が家では現実に真空管アンプが10台ありますが、お値段も様々だけどそれなりの長所があっていずれも「断捨離」からは程遠いものばかりです(笑)。
さて、そういう中でもベストの真空管アンプを求めて長年彷徨してきましたが、この程ようやく満足すべきアンプに辿り着きました、とはいえ何しろ50年以上かかったんですよ・・、50年と一口に言っても、とても気の遠くなるような年月です!
で、人一倍「血(お金)と汗(手間)と涙(失敗)」を流した積りなので、それなりの「一家言(いっかげん)」の有資格者だと思ってますが、何ごとにも「上には上」があるもんです!
たとえば、出力管の王様とされる古典管「WE300A」。
なにしろペアで「160万1千円」(オークション)という金額には誰もが目を剥(む)くでしょう。たかが真空管ごときに~(笑)。
もちろん、値段が高けりゃ性能もいいというわけでもないでしょうが、多額の金額の裏打ちとなるそれだけの「熱意と研究心」には敬服するばかりで一つの推測材料にはなりますね。
古典管(出力管)の王者は「WE300A」(アメリカ)で決まりだ!
ところが、どっこい・・。
英国にも「負けず劣らず」の立派な代物があるんですよねえ(笑)。
8年前の記事をご記憶だろうか。
「幻の超銘球P.A.40(DA30系)」がそれ。
その内容だが「北国の真空管博士」が希少管とされる「V503(英国)」をなぜ手放されたのか、伺ってみると次のような理由だった。
これが英Ediswan社のP.A.40です。
ちなみに、これが姿かたちがそっくりの「V503」(エジソン・マツダ)です。
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はたして銘管「WE300A」(アメリカ)と「P.A.40」(英国)のどちらが先に作られたのか?
言い換えると「真似をしたのはどっちだ?」(笑)。
ことはアメリカ管と欧州管の技術力の差にまで及んできます。
ちなみに、その筋の専門家の間では後者の方が「一枚上」とされているようです。個人的には長い歴史と伝統に裏打ちされたクラシックと歴史の浅いジャズのそれぞれの鍛えられた環境の違いが物語っているような気がします。
ちなみにヨーロッパはアメリカと違って第二次世界大戦の主戦場になったので度重なる爆撃などの破壊が繰り返され随分貴重な真空管が失われてしまったのは周知のとおり。
その点、アメリカ球は「WE300B刻印」(1940年代)をはじめとして、今でも往時の銘管がまっさらの新品で出てくることがあるから戦禍を直接蒙らなかった国のメリットは計り知れない。
真空管アンプにも夢が必要だとすると、さしずめ「P.A.40」あたりは「WE300A」と並んで代表的な「手に入りにくい」真空管として有力な候補にあたるのは間違いない。