「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽愛好家のご来訪

2014年08月02日 | オーディオ談義

去る27日(日)に福岡から「音楽愛好家」のMさんとNさんがお見えになった。

わざわざ「音楽愛好家」としたのは、明らかにオーディオよりも音楽への比重が大きい方々だからである。たとえば自分の場合でいえば、音楽:オーディオの比率が6:4だとすると、およそ8:2ぐらいの比率といってもいいくらい。

奇しくも、ご両名ともタンノイ・オートグラフを愛用されており、Nさん宅には昨年の11月に訪れている。当時の写真を再掲すると、

         

         

レコード愛好家の垂涎の的であるトーレンスの「リファレンス」を2台も持っておられて、当時ウットリとその音に聴き惚れたものだった。

こういう方々に我が家の音を聴いてもらうのはたいへん光栄だし、ありがたいことだが、その一方では不安がいっぱい(笑)。

我が家の2系統のシステムのうち「AXIOM80」はフルレンジだし、十分鳴らし込んでいるので無難なユニットとしてある程度評価していただく自信はあるが問題は第二システムのタンノイとJBLの混成旅団(以下、「混成旅団」)である。

                

ウーファーにタンノイの「HPD385A」、中高域に「JBL375」とJBL「075」と、おそらく日本どころか世界でも類を見ない組み合わせだから、「タンノイの回し者」とまで言われた作家の「五味康祐」さんが、もしご存命なら“怒髪天を衝く勢い”できっと怒られたに違いない。

生粋のタンノイ愛好家のNさんたちからも試聴の結果、叱責(?)のひとつやふたつは覚悟しておかねばなるまいというのがホンネで「これは音が鳴っているだけだ。音楽を聴くシステムではない!」なんて断罪されたらどうしようとハラハラドキドキ(笑)。

しかし、現役を退いてからもこういうハイテンションを味わったり、数多くの愛好家の方々との交流の機会が得られるのだから、まったく「音楽&オーディオ」の趣味“さまさま”である。

当日は午後2時半頃にお見えになった。Nさんの我が家へのご来訪はたしか4度目くらいなので、迷わずご到着。

さすがに混成旅団を最初に聴いてもらう勇気はないので、先に「AXIOM80」をきいてもらい、ある程度満足していただいたところで「混成旅団」を聴いてもらおうという作戦を立てた。

まず持参していただいた中からNさんがおもむろに取り出されたのが次のCD。

       

さすがに音楽愛好家のNさん!崇拝してやまない「ジネット・ヌヴー」(女流ヴァイオリニスト:飛行機事故で死亡)のファースト・レコーディング集を聴けるなんて感激である。

まるで男性みたいな線の太い音がいきなり鳴り響いた。誰もが「これが女性の弾く音ですか?」と驚くことだろう。1940年代の録音だから音質は悪いが、芸術性はそれを軽く凌駕する。しかも、ヴァイオリンを得意とする「AXIOM80」ならではの音の佇まいに、システムの主(あるじ)としてもちょっと鼻が高い(笑)。

「ヌヴーのヴァイオリンは三味線でいえば棹の部分が太いそうですよ、力の入れ具合をよほど工夫しないとうまく鳴ってくれません。」と、Nさん。

「そうですか、道理で。まるで男性顔負けですよね。ヌヴーがもっと生きていたら、世界のヴァイオリン界もさぞや変わっていたことでしょう」。ずっといつまでも聴いていたかったが、沢山のCDを持参されていたので3曲ほど聴かせてもらって次の曲目へ。

音楽好きのNさんのレパートリーは実に広い。クラシックからタンゴ、ラテン、歌謡曲、演歌までいろんなジャンルを聴かせてもらったが、特にラテン系がお好きなようで、「日本人の郷愁に相通じるものがありますよ」とのことだった。ちなみにアルゼンチンの名花ヒメマリア・イダルゴのレコードをお持ちなのには恐れ入った。

その一方、Mさんが持参されたCDは往年の名指揮者フルトヴェングラーによるベートーヴェンの交響曲シリーズ。はじめに1944年録音の「第3番英雄」、そして同じく1940年代の録音の「第九」。

交響曲の再生は「AXIOM80」には無理なので、ようやく混声旅団の出番となった。幸い、フルヴェンのCDは1940年代のSP録音なので、音質はイマイチだしどうやら馬脚を現さないで済みそうだとホッと一息(笑)。

なお、Mさんの音楽好きもNさんと負けず劣らずで、フルヴェンのCDが済むと、今度は同じくベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲群(12番~16番)を所望された。

これら後期の作品の中で自分が秘かに白眉と考えているのは「第14番」(作品131)である。

「ブッシュ弦楽四重奏団のはありませんか」と、問われたものの、惜しいことに手元にあるのは「アルバン・ベルク」「バリリ」「カペー」「スメタナ」各四重奏団だけ。

仕方なくアルバン・ベルク四重奏団をきいてもらったが、大の愛聴盤なのでついお客さんを忘れて聴き耽ってしまった。ただMさんは違和感を持たれたご様子で「ちょっと鋭角的な演奏ですね~。」と一言。これはJBLの音質の影響が大いにありだろう。

結局、お二人が所望されるCDを片っ端から聴いているうちに3時間以上経過して時刻は夕方6時ごろになった。お帰りになろうと腰を上げられたところで、持参された中でテレサ・テンのCDが残っているのを(自分が)発見。

「もう一度聴きましょうよ」と、お引止めしてとうとう延長戦に持ち込み「時の流れに身を任せて」有終の美を飾った(笑)。

最後に一番気になる質問「AXIOM80と混成旅団とどちらがお好きでしたか?」と、ストレートにお訊ねすると「AXIOM80のボーカルが印象的でしたね」とのことだった。

ただ混成旅団の方も全面否定ではなかったので、これでやっとひと安心。

山でいえばどうやら7合目ぐらいには到達したかな~(笑)。

 


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