昨日(18日)はまさに「北京秋天」とでもいうべき見事な快晴に恵まれて絶好のドライブ日和。
かねて予定していた福岡のオーディオマニア宅3軒をハシゴした。朝、9時に出発して丁度1時間半ではじめの訪問先のKさん宅に到着。Kさんとは同じSPユニット「AXIOM80」の愛好者として、そして真空管マニアとして親しく交流させてもらっている。
1か月に1回ほどのペースでお互いの家を行ったり来たりなので、どういう音かは熟知しているのだが、何せKさんは真空管アンプをパワーアンプだけで7台ほど持っておられるので訪問するたびに違うアンプとの組み合わせで聴かせていただいているのでまったく飽きることがない。
音声信号への繊細な反応とスピード感において「AXIOM80」の右に出るユニットはないと思っているが、これまた駆動するアンプの性格の差をこれほど如実に出すSPも珍しい。
今回は真空管2A3シングル・アンプで駆動されていたが、使用されている真空管2A3は稀少管とされる最初期の一枚プレートのもの。
「2A3」真空管といってもピンからキリまであって、いろんなタイプがあるがこの「一枚プレート」ものが最高峰とされている。RCAがライバルのウェスタンの300Aに負けじと満を持して発売したのがこの「一枚プレート」もので、これで300Aを駆逐したそうだがさすがにそれにふさわしい実力の持ち主であることを確認した。
この一枚プレートものは1年ほど前のオークションで16万円(ペア:RCAカニンガム)という破格の値段で落札されていたがマニア垂涎の的であることは間違いない。
1時間ほど堪能させてもらってから、今度はKさんのクルマで一路福岡市の中心部「天神」へ。二件目の訪問先は老舗の和菓子屋さんのGさん宅。
新たにプッシュプルアンプを組み立てられたとのことで、その試聴が主な目的。ジェンセンの口径46センチウーファー
(フィールド型)とウェスタンの555ドライバー+ストレート・ホーンの威力は前回の訪問で十分認識しているが、今回はそれに輪をかけたような音が出ていた。
数多くの場数を踏んだKさんが「これまでウェスタンの555ドライバーを使っているお宅をいろいろ聴いてきましたがその中ではベストの音でしょう。」と断言されるほどだから間違いなし(笑)。
Gさんによると「(555に取りつける)ホーンはいろいろ試してみましたが、カールホーン(曲がりくねったホーン)はどうしても正確な位相が取れなくて使いこなせませんでした。このストレート・ホーンにしてからやっと落ち着きましたが、低音域との位相がピタリと合うと、リスナーの周りを音が取り囲むようになります。」とのことで、我が家ではまだまだの感を深くした。
それにしてもアンプ技術者のGさんはとても器用な方だし、飽くなき探究心の持ち主なのでこれからも様々な工夫をされていかれるに違いない。
Gさん宅の試聴を終えて、次に向かったのが同じ福岡市内の郊外にお住みのNさん宅。
ここでもGさん宅と同様にあの名管の誉れ高い「WE300B」真空管を駆逐されて、新しい出力管に変更されていた。
音質も前回のときよりもずっと上回っていて、Kさんともども「素晴らしい音ですねえ!出力管を替えて正解でしたよ。」
Nさんも今となってはWE300Bにまったく未練はないそうで、つくづくオーディオはブランドじゃないですよねえ(笑)
持参していた「有山麻衣子」さんのCDをじっくりと聴かせていただいた。
このCDにはKさんもゾッコンで大好評。この前の福岡の3人組も感心していたので、聴く人すべてが魅了されている。
企画・指揮した「宇野功芳」(音楽評論家)さんによると「声の訓練を日常受け続けるプロの歌手には絶対こんな声は出ない。ぼくはクラシックの歌手にアレルギーを持っている人にこそ、このCDを聴かせてあげたい。なまじ専門の声楽を習っている人は文句をつけるかもしれないが、芸術の一番の敵は常識なのだ。」
1時間半ほど聴かせていただいて、5時頃に辞去して夕闇迫る中をKさん宅へ急いだ。ベンツの高速安定性には脱帽しました(笑)。
「秋の夕べはつるべ落とし」で、Kさん宅に到着したのは6時頃だったがもうすっかり暗闇状態。
「夜の高速道の運転」は危険回避の意味でタブーにしているが、今日1日こんなに楽しい思いをさせてもらうと不満は言えない(笑)。
不安とはうらはらについビュンビュンとばして、1時間半で見事に自宅に到着。
テレビを観ている巨人ファンの家内が「また6点も取られている」と怒り狂う中、小さくなって夕食を取ったことだった(笑)。