「怪我の功名」という言葉がある。
ご存知の方も多いと思うが、広辞苑によると「過失が思いがけなく良い結果を生むこと。また、何気なしにやったことが偶然に好結果を得ること」とある。
今回の出来事がこの意味にピッタリ当てはまるかどうかは分からないが、それに近いことが起きたので、以下経緯を述べてみよう。
前回のブログ「口径30センチのフルレンジ + ツィーター」で3タイプのシステムが一堂に写った画像を掲載したところ、さっそくメル友のSさん(千葉県)から問い合わせがはいった。
「ご愛用のAXIOM80(以下「80」)が見当たらないようですが、どうされたんですか?」
Sさんからは10年ほど前に「AXIOM80」(復刻版)を信じられないような安値で購入させてもらい「最初期版」を手に入れるまで愛用させていただいたので、いわば恩人に当たる方である。
さっそく弁明(?)した。
「80を引退させようとは夢にも思っていません。ご案内のとおりその透明感たるやどんなスピーカーをもってきても敵なしというのが実感ですからね。今回はブログの話題に口径30センチのユニットを登場させたので特集する意味でつい悪乗り(?)をしてしまいました。さっそく入れ替えます。要らぬご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」
さっそく深~い反省のもとに本日(26日)の早朝、起き抜けに入れ替え作業を行った。ものの10分もあれば済むので文字どおり朝飯前の仕事(笑)。
かといって、以前のままフルレンジで使用するのもあまり面白くないので、遊び心を起こしてワーフェデールの「コーン型ツィーター」(赤色マグネット)をそのまま据え置いて高音域を担当させることにしてみた。いわば実験である。
したがって、パイオニアのネットワークを使って8000ヘルツまでは「80」に受け持たせる。それ以上はウェスタンのブラックタイプのコンデンサー「1.2μF」の出番で、ワーフェデールを8000ヘルツ(6db/oct)でローカットしてみた。
さあ、どんな音が出るんだろうかと朝からハラハラドキドキでいささか心臓に悪いが興味の方がずっと優る(笑)。
丁度その時「ご飯ですよ~」の声がかかったが「いいところだから、ちょっと待ってくれえ~」。
はたして、出てきた音といえばこれがまた素晴らしい(笑)。駆動するアンプは「WE300Bシングル」(1951年製オールド)
「80」と「ワーフェデール」の組み合わせにまったく違和感がない。流石に同じイギリス勢だ。
しかも「80」の高音域の良しも悪しくも独特のクセが抑えられているので、拘りなく音量が上げられる、すると「80」の弱点だった低音域の量感が増えるというまさに好循環。
これを「怪我の功名」というのかなあ(笑)。
「80」にツィーターを加えるなんて口径30センチのユニットと入れ換えでもしない限り絶対に浮かんでこない発想だった。
とはいえ、早朝からいきなり重たいユニットを上げたり下げたりしたので少し腰に鈍い痛みが走りだした。
オーディオと健康とどちらを取るか、もちろん前者だとは思うが・・・(笑)。
8月27日(日)早朝≪追記≫
昨日(26日)は一日中、ああでもない、こうでもないとベストポイント探しに躍起になった。
ツィーター(ワーフェデール)のローカット値をいったいどこに設定すればいいのか、というわけで手元のコンデンサーを総動員した結果、スプラグの「0.39μF」(マイクロ・ファラッド)がベストポイントだった。周波数でいえば1万6千ヘルツあたりと随分遠目の値で「ツィーターは生かさず、殺さず」の教訓を身に染みて感じた。
それはそれで一件落着だったが、念のため駆動するアンプを「WE300Bシングル」から「Px25シングル」に取り替えたところ、今度はAXIOM80をフルレンジで鳴らす方が「自然な佇まい」となって圧倒的に良かった。つまりツィーターは追加しない方がいいというわけ。
ツィーターは無くて済むものであればそれに越したことはない。
結局、我が家では「AXIOM80」を鳴らすときは「PX25シングル」に限るというわけで、これは同じイギリス勢同士なので相性の問題になるのだろうか。
そういえばJBLを鳴らすときは「WE300Bシングル」が同じアメリカ勢同士のせいかとても相性がいい。
国際化が進んだ近代の製品ならともかく、1950年代前後の製品ともなるとアンプとスピーカー間の国籍のマッチングはとても大切のようだ。
このことに気付いただけでも収穫なのでこれをもって「怪我の功名」としよう。
とにかくオーディオに限っては、移民、難民の受け入れ反対!?(笑)