「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオの推進力 ⇔ 欲と不満

2017年12月21日 | オーディオ談義

我が家のオーディオには欠かせない真空管アンプだが、知らず知らずのうちに溜まってしまって現在では8台(うち2台は知人に貸し出し中)にもなってしまった。

そのうち使うアンプが絞られてくると、出番の廻ってこないアンプがどうしても出てくる。それほど広い部屋で聴いているわけでもないし、置き場所にも困るので12月という比較的ふところが豊かになる時期を当て込んで1台くらい知人のNさんに頼んでオークションに出してみようかと思い立った。

さて、どのアンプを出そうか~。

目を付けたのが、同じ型式のアンプが2台もある「171A」シングルアンプ。

    

比較的小ぶりのアンプだが、最初に左側のアンプをオークションで購入し、大いに気に入ったので予備として同じアンプをさらに1台購入したもので、それぞれ改造を施したものの基本的に同じなのは出力管が「171A」(ナス管)、整流管が「280」(ナス管)、インターステージ・トランス内蔵、出力トランスも回路も同じという双生児だが、唯一違うのが前段管である。

左側のアンプの左端にあるのが「6SN7」(数値的には12AU7と同等)、右側のアンプの左端にあるのが「AC/HL」(英国マツダ:最初期版)。

どちらに定評があるかとなると「通」の方にはもうお分かりですよねえ(笑)。

「英国マツダ」の凄さには自分もゾッコンなので、比較的ありふれた「6SN7」を使ったアンプの方をオークションに出すことにした。

そうなると故障品を出品するわけにもいかないので、改めて無事にちゃんとした音が出るかどうか確認してみなければいけない。スピーカーはお気に入りの「ワーフェデールの2ウェイ」である。

じっくりと聴いてみたところ、これがまあ想像以上に「いい音」がして驚いた。

とても素直な性格で聞きわけが良く、行動もすばしこい優等生を連想させるような音。出力はたったの1ワット前後なのにまったく不足はない。

実はこのアンプは、先日知人の80坪ほどもある広いホールでフィリップスの口径30センチのユニットを試しに鳴らしてみたところパワー不足を露呈してとても印象が悪かった曰くつきのアンプだった。

部屋の広さとスピーカーが変わればアンプはこんなに豹変するものだろうか・・・。

こんなに音のいいアンプをオークションに出すなんて滅相もないとすぐに気が変わった(笑)。

俄然ヤル気になって、今度は本腰を入れて「AC/HL」の方を引っ張り出して試聴した。

   

出力管は「171」(トリタンフィラメント)、整流管はSPARTONの「480」(メッシュプレート)にグレードアップ。

まったく惚れ惚れするような音が出た。

小型のシャーシの中に「こじんまり」と収まった回路、小型の出力トランス、小出力の真空管といった「小型」ならではのメリットを最大限に生かしたスピード感溢れるサウンドで、これなら我が家のエース級の「WE300B」や「PX25」アンプとも十分太刀打ちできるし、むしろ上回る部分さえある。

ルンルン気分になって、今度はスピーカーを換えてオールJBLの「変則3ウェイシステム」にしたところ、途端に色褪せてしまった。これはアカン。歪み気味の音になっていかにもパワー不足。

ワーフェデール(イギリス)は箱の力をうまく利用して鳴らすようにできているので小出力でも十分通用したが、JBLともなると箱の力を借りようとしない音づくりなのでユニットの能力をフルに引っ張り出してやらないと勝負にならない。アンプにかなりのハイパワーを求めてくるのだ。

そういうわけで「あちらを立てればこちらが立たず」というのか、我が家では4系統のスピーカーがあるがこれらをすべて完全無欠に鳴らしてくれる万能タイプの真空管アンプは残念ながら今のところ存在しない。

つまり、6台ともにごく微細な点でいずれも「帯に短し、たすきに長し」の感があり、毎日がアンプとスピーカーの相性探しに費やされているといっても過言ではない程。

とはいえ、自分で言うのもなんだがちょっと要求水準が高すぎるのかもしれない。

オーディオの推進力は何といっても「欲と不満」だから、ま、仕方がないか(笑)。



 


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